「履歴書に派遣社員としての職歴はどのように書けば良いのだろう」

履歴書を記入する際、このような疑問を抱く方は多いですが、実際に派遣社員の職歴の書き方は通常の正社員とは少し異なります。きちんとルールを守って記入しないと、採用されにくくなってしまう可能性もあるでしょう。

そこで、今回のコラムでは派遣社員の職歴を履歴書に書く際のルールを詳しく解説していきます。採用されやすくなるポイントも合わせて紹介していくので、現在転職の準備を進めている方はぜひ参考にしてみてください。

派遣社員の職歴を書く時のルール

早速、派遣社員の職歴を履歴書に記入する際のルールを解説していきます。正社員とは異なるポイント、よく間違えてしまうポイントは以下の通りです。

  • 派遣元と派遣先の会社を明記する
  • 就業と入社を書き分ける
  • 契約満了と退社を書き分ける
  • 余裕があれば業務内容も記載する
  • 派遣元の登録会場は書かなくてOK

派遣元と派遣先の会社を明記する

派遣社員の経験がある方にとっては当然のことですが、派遣社員はまず派遣元の会社に登録し、そこから色々な派遣先の会社に勤務することになりますよね。

そのため、多くの方が「履歴書には派遣元と派遣先のどちらを書けば良いの?」という疑問を抱きますが、結論をお伝えするとどちらも記入する必要があります。

具体的な記入方法については後ほど例を用いて解説しますが、派遣元でも派遣先でも、複数の会社に携わっていた場合はその全てを羅列する必要があるということを覚えておきましょう。

就業と入社を書き分ける

正社員とは違い、派遣社員は勤務先の会社と直接雇用契約を交わしているわけではありません。そのため、履歴書に「株式会社◯◯ 入社」と記載するのは誤りです。

正しいのは「株式会社◯◯ 派遣社員として就業」という書き方になります。

知らずに「入社」と書いてしまうケースも珍しくありませんが、転職先の会社に誤解されないように、「就業」と「入社」は確実に書き分けるようにしましょう。

契約満了と退職を書き分ける

「就業」と「入社」を書き分けるように、「契約満了」と「退職」も書き分ける必要があります。よく派遣先での勤務を終了することを「退職する」と表現しますが、厳密には「契約満了」が正しいです。

ただし、派遣元の会社との契約形態によっては「退職」という表現が適切なケースがあります。例えば、派遣元の会社に登録するのではなく、正社員として直接雇用を交わしているケースがこれに該当します。

余裕があれば業務内容も記載する

人によっては複数の派遣先での勤務を経験していることもありますが、もし履歴書の職歴欄に余裕があれば、派遣先の会社名だけでなく、部署名や業務内容も記入するようにしましょう。絶対に書かなければいけないわけではありませんが、どのような仕事を経験していたのかがより相手に伝わりやすくなります。

もし履歴書に書ききれないほどのボリュームになる場合は、履歴書とは別に職務経歴書を用意すると良いでしょう。具体的な業務内容まで、スペースの上限を気にすることなく書き込むことができます。

派遣元の登録解除は書かなくてOK

こちらもよく勘違いされることですが、派遣元の会社の登録解除をした旨は記載しなくても問題ありません。

派遣社員として働きながら転職活動を行っている方も多いですよね。そのような場合、派遣会社の登録を解除するのは履歴書を提出した後になるため、必ずしも登録解除の旨を履歴書に書く必要はないと覚えておきましょう。

派遣社員の履歴書の書き方と例文

派遣社員としての職歴の書き方を具体的に解説していきます。いくつかのパターンが考えられるため、自分が該当する部分を参考にしてみてください。

1つの派遣元/1つの派遣先の場合

まず、派遣元の会社も派遣先の会社も1つずつの場合はこのようになります。1行目に派遣元、2行目から派遣先の情報を記載しましょう。この際、派遣先の情報については1文字分のスペースを空けると、派遣元と派遣先の情報が区別されやすくなります。

会社名だけでなく、部署名や業務内容まで記載することが望ましいですが、1行に無理矢理詰める必要はありません。複数行使っても問題ないため、あくまで見やすさを重視しましょう。

1つの派遣元/複数の派遣先の場合

次に派遣先の会社が複数に渡る場合はこのようになります。基本的に複数になったからといって大きく変わるわけではありません。同じように1文字分のスペースを空けて、会社名・部署名・業務内容・期間を記載しましょう。

複数の派遣元/複数の派遣先の場合

派遣元と派遣先の両方が複数になった場合も同じです。派遣先の情報を書く際にはスペースを空けて、派遣元と区別します。ただ、会社が増えると必然的に情報量も多くなってしまうため、適度に改行するなど、一層見やすさに気を遣いましょう。

派遣社員の職歴を書く時の注意点

派遣社員の職歴を書く時の注意点を解説していきます。主に以下の2点は必ず押さえておいてください。

  • 派遣歴は全て記載する
  • 守秘義務によって派遣先を書けない場合がある

派遣歴は全て記載する

先ほども少し触れましたが、1つ目の注意点は「派遣歴は全て記載する必要がある」ということです。契約期間の長さに関係なく、勤務経験がある派遣先は全て履歴書に記載しましょう。

「少しの期間しか働いていなかったから」という理由で省略してしまう方もいますが、不自然に期間が空いてしまうと、ブランクがあったと勘違いされてしまうかもしれません。また、経歴詐称に該当してしまうことも考えられるため、派遣歴は原則全て記載するということを覚えておきましょう。

守秘義務によって派遣先を書けない場合がある

もう1つの注意点は、守秘義務などの理由から派遣先の会社名を履歴書に書くことができないケースがあるということです。

派遣元と派遣先の間で、具体的な会社名や業務内容を外部に漏らすことを禁止する秘密保持契約が交わされていることがあります。その場合、派遣社員もその契約を遵守する必要があり、履歴書に書くこともできません。

履歴書に記載する際は業種のみを記載し、それ以上の詳細は「秘密保持契約に基づき記載できない」と書き込んでおきましょう。このような例は特に珍しくもないため、面接官も理解してくれます。

派遣社員の職歴を書く時のよくある質問

続いて、派遣社員が履歴書を作成する時のよくある質問を紹介していきます。同様の疑問を抱いていた方はその回答をチェックしてみてください。

  • 派遣先を書く時は部署名まで必要?
  • 派遣社員から正社員は採用されにくい?
  • 職歴欄に書ききれない場合はどうすればいい?
  • ブランクがある場合はどう書けばいい?
  • 手書きとパソコンはどちらが有利?

派遣先を書く時は部署名まで必要?

絶対に記入する必要はありませんが、記入することで有利に働く場合があります。

正社員としての職歴を記入する時も同じことが言えますが、会社名だけでなく、部署名まで記載した方が、応募した会社の人事はより正確にその人の経歴を知ることができますよね。もしその部署での経験が応募先の会社でも活きる場合、大きなアピールポイントになります。

余裕があれば、部署名に留まらず、具体的な業務内容についても簡易的に記載すると良いでしょう。

派遣社員から正社員は採用されにくい?

「正社員に転職する際、派遣社員としての経歴は不利になるのではないか?」という不安を抱えている方も少なくありませんが、実際はそのようなことはありません。例え元派遣社員だったとしても、適切な人材だと評価されれば採用される可能性は十分にあります。

結局のところ、重要なのはその企業にとって採用する価値があることを証明できるかどうかということです。確かにスキルや経歴はその人の評価を左右する判断材料ですが、「派遣社員」という雇用形態が不利に働くことはないでしょう。

職歴欄に書ききれない場合はどうすればいい?

派遣元や派遣先の会社が多く、履歴書の職歴欄に書ききれない場合は職務経歴書を用意しましょう。

あまり聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、職務経歴書とはその名の通り、その人の経歴を記載する書類であり、履歴書に付随する形で利用されることが一般的です。

  • 会社名
  • 部署名
  • 勤務期間
  • 業務内容
  • 実績
  • 培ったスキル

主に上記のようなことを記載しますが、特にフォーマットが定められているわけではありません。詳細に作成しようとすると少し大変ですが、履歴書より自由に自己アピールができるでしょう。

ブランクがある場合はどう書けばいい?

  • 出産
  • 育児
  • 介護
  • 病気

など、様々な理由でブランクができてしまうことも考えられますが、そのような場合は正直に記載することが推奨されます。

例えば「令和◯年◯月 出産のため退職」と記載すれば、相手も理解してくれるでしょう。

手書きとパソコンはどちらが有利?

派遣社員に関わらず、「履歴書を作成する時は手書きとパソコン、どちらが有利なのか」と誰もが一度は考えますよね。

結論からお伝えすると、どちらでも構いません。

  • 手書きの方が人物像が伝わりやすい
  • パソコンで作成してもらった方が見やすい

このような考えを持っている人事もいますが、あくまでその人の意見であるため、履歴書はやりやすい方法で作成してもらって問題ありません。

ただ、どちらにせよ誤字脱字には注意しましょう。作成方法に優劣は付けづらいですが、何かミスがあった事で評価を落としたという例は多いです。

履歴書に記載しなくてはいけない基本情報

ちなみに履歴書に記載する必要がある情報は基本的に以下の通りです。

  • 個人情報
  • 学歴・職歴
  • 所有する資格
  • 自己PR・志望動機

これらに関しては、派遣社員でも正社員でも関係ありません。ここまで解説してきたように、職歴に関しては派遣社員独自のルールがいくつか存在するものの、それ以外の項目については一般的な履歴書の作成手順に沿って記入してもらえれば大丈夫です。

アルバイトは職歴に書かなくても大丈夫?

派遣社員からは離れますが、アルバイトの経験も職歴に記載すべきなのかと気になっている方は多いのではないでしょうか。

確かに派遣社員の職歴を記載するのであれば、同様に正社員ではないアルバイトも記載すべきと考えてしまいますが、基本的にアルバイトに関しては記載する必要はありません。

学生時代や転職活動中にアルバイトをしていた方も「アルバイトの記載は省略しても問題ない」と覚えておきましょう。

アルバイトを職歴に書いた方がいいケース

しかし、中にはアルバイトの職歴も履歴書に書いた方が望ましいケースも存在します。以下のいずれかに該当する場合はアルバイトの職歴も記入すべきと言えるでしょう。

  • アルバイト期間が長期に渡る場合
  • 社会保険に加入していた場合
  • アピールに繋がるアルバイトだった場合

アルバイト期間が長期に渡る場合

そのアルバイトを長期間続けていた場合は履歴書に記載すべきでしょう。具体的に「◯ヵ月以上勤務していれば書くべき」とボーダーラインが決まっているわけではありませんが、推奨は3ヵ月以上です。

職歴に数ヵ月以上の空白ができてしまうと、相手も不自然に感じてしまうため、そのリスクを解消するためにアルバイトでも記載する方が望ましいです。

社会保険に加入していた場合

2つ目は社会保険に加入していた場合です。

勤務時間や収入などの条件を満たせば、アルバイトでも社会保険に加入することができますが、転職先の会社でも社会保険に加入する場合、事務手続き上で前職の情報が必要になります。

記載を省略したからといって経歴詐称などに該当するとは考えにくいですが、スムーズに手続きしてもらうためにも念のため履歴書に記載しておくと良いでしょう。

アピールに繋がるアルバイトだった場合

最後はそのアルバイト経験がアピールに繋がる場合です。

アルバイト先と応募した会社の業種が同じであったり、業務に活かせる経験をしていたことも十分に考えられますよね。例えアルバイトでもそれらは大きな武器になるため、採用の可能性を広げるためにも漏らさず記載するのが望ましいです。

評価されやすい履歴書のポイント

最後に履歴書を作成する上で重要なポイントを紹介します。以下のことを押さえることで、採用される確率が上がるかもしれないので、しっかりと押さえておいてください。

  • 職歴欄は見やすさを重視する
  • 具体的な業務内容で経験・スキルをアピールする
  • 派遣社員をしていた理由を明記する

職歴欄は見やすさを重視する

複数の派遣先を経験している方であれば、必然的に職歴欄に記載する項目は多くなってしまいますよね。それだけアピールできることがあることは素晴らしいことですが、見やすさを損なわないように注意しましょう。

几帳面な方だとつい職歴欄をキツキツに埋めてしまいがちですが、特にそのようなルールはありません。むしろ、しっかりと余白を取り、項目ごとに整理されている状態が望ましいです。

ボリュームが多く、職歴欄に入りきらない場合も職務経歴書を用意すれば問題ないため、無理に短くまとめようとするのではなく、面接官にとっての見やすさを優先しましょう。

具体的な業務内容で経験・スキルをアピールする

性格やスキルなど、人によって様々なアピールポイントを持っていますが、履歴書でアピールする時には業務内容でそれらを裏付けるというのが採用されるポイントです。

ただ漠然と長所を述べるだけだと、説得力に欠け、面接官にも響きません。

例えば「責任感が強い」とアピールする場合でも、「現場でもリーダーを任され、上司からも信頼されていた」といったエピソードがあると良いでしょう。

派遣社員をしていた理由を明記する

可能であれば派遣社員をしていた理由を明記しましょう。

特に派遣社員から正社員に転職する場合、面接官によってはなぜ雇用形態を変えようと思ったのか疑問を持たれてしまうかもしれません。その会社を志望した理由はもちろんですが、派遣社員をしていた理由を説明できれば、その説明にもなるかもしれません。

ワークライフバランスや給与形態など、相手に伝えても差し支えない事情であれば、誠実に記載することをおすすめします。

ルールに沿って履歴書を作成しよう

解説したように、派遣社員と正社員とでは職歴の書き方にいくつかの相違点があります。誤ると印象を落としかねないため、まずは十分にルールを理解しておきましょう。

また、文中でもお伝えしましたが、派遣社員でもこれまでの職歴は余さず記載する必要があります。業務内容を具体的に書くことは自身のアピールにも繋がるため、ゆっくりと時間をかけて作成することをおすすめします。