工場のリーダーを打診されたものの、辛かったらどうしよう、「自分にできるのか」と悩んでいませんか。リーダーは、チームの責任者になるので今までと比べると大変ですが、やりがいがある仕事でもあります。

まずは仕事内容を知り、リーダーになる大変さだけでなく、メリットも考慮し検討してみるとよいでしょう。

この記事では、工場のリーダー職が辛いと感じる原因と対策について解説しています。リーダーの仕事内容や向いている人にも触れているので、リーダーになる際の参考にしてください。

工場のリーダーの仕事とは

工場のリーダーは、どんな仕事内容なのでしょうか。職場によって異なりますが、リーダーの仕事内容は主に以下の4つになります。

作業員の管理

工場のリーダーは、作業員に作業の指示を出したり人員の配置を行ったりするほか、休みや遅刻早退などの退勤管理を行う場合もあります。1日の作業内容や、事前に決まっていた作業の変更などを伝え、問題なくラインが稼働するように作業員を配置するのが大きな役割です。

新人が入ってきたときには教育担当となり、一人で作業ができるようになるまでのスケジュールを立てることもあります。

生産ラインの管理

生産ラインを滞りなく稼働させるのもリーダーの仕事です。ラインを止めないよう作業員のフォローをしたり安全に作業しているか気を配ったりする必要があります。

自分が専任する工程がないので、全体を見ながら問題があれば適宜指示を出さなければなりません。ラインが順調に稼働していれば常に見ている必要はなく、空いた時間に他の仕事をこなすことも可能です。

ただし、ラインでのトラブルが多いと対処に追われることになり、思うようには仕事が進まないこともあります。

各種書類の作成

リーダーは、報告書や企画書といった書類の作成も行わなくてはなりません。手書き書類のほか、データを入力する際にはパソコンを使わなければならないケースもあります。

リーダーになると各種会議に出席する機会も増えるため、それぞれの会議に必要な書類を作成する必要があります。書類は、ひな形があるので作成に困ることはありませんが、「分かりやすく書く」「内容が欠落しないように書く」といった数多くの注意点があります。

トラブル対応

リーダーになると、チーム内で起こるすべてのトラブルに関わることになります。機器の故障や不具合、製品の不良などに対応しなければなりません。事故などによってラインが止まってしまえば、事故処理や復旧対応だけでなく、事故の報告書も作成することになります。

トラブルの内容によっては他の部署とのやり取りが必要になり、応援や分担をお願いに行くようなケースもあります。チーム内の雰囲気を良くするため、人間関係のトラブルにも対処する必要があります。

工場のリーダー職が辛いと感じる原因と対策

工場のリーダー職が辛いと感じる原因は人それぞれですが、主に以下の3つの理由が考えられます。リーダーになって辛いと感じたときには、プレッシャーを軽くする対策をとりましょう。

人間関係

工場のリーダー職は、チームのメンバー同士はもちろん、上司と部下との橋渡し役になる場面も数多くあります。上司の要望に応えながらも部下のモチベーションを維持しなければならない、といったように板挟み状態になることも少なくありません。

全ての立場の人が納得できるよう要求に応えるのは不可能なので、相手をフォローしつつ、やんわりと無理な状況であることを伝えるなど、実現が難しい要望は諦めることも大切です。

責任が重い

リーダーになるということは、チームの責任者になるということです。リーダーは、ラインで起こるさまざまなトラブルの責任を負わなければなりません。

たとえ自分が作った製品でなくても、不良品が出ればリーダーとして謝罪する必要があり、報告書や再発防止案の書類を作成しなければなりません。自分は悪くないのに怒られるというのはストレスが溜まります。あくまでも「リーダー職として怒られている」「個人として怒られているわけではない」と、自分の人格とは切り離して考えることが大切です。

嫌われることがある

リーダーをしていると、言いたくないことも言わなくてはいけない場面が出てきます。部下に仕事での注意点を伝えたり、改善して欲しいことを伝えたりしますが、場合によっては嫌われてしまうこともあるでしょう。

いくら正しいことを言っても、言い方を工夫したとしても、残念ながら嫌われるときは嫌われるので、「これも仕事」と割り切ってしまいましょう。ただし、相手の態度によって業務に支障が出る場合はしっかりと話し合う必要があります。

リーダー職のメリット

大変なことばかりに目が行きがちなリーダー職ですが、以下のようなメリットも存在します。

  • 手当がつく
  • スキルが身につく
  • やりがいを感じられる

工場勤務で大きく給料を上げることは簡単ではありませんが、リーダーに昇格すれば手当がつき、月々の給料がアップします。

さらに、役職はボーナスにも反映されるので、年収が上がることが期待できるでしょう。コミュニケーションやマネジメントのスキルが身につくほか、機器の操作などの知識も増えます。

大変な仕事であることには間違いありませんが、目標を達成できたときやトラブルを乗り切ったときには、作業員時代とは違うやりがいを感じられます。

工場のリーダーに向いている人

工場のリーダーには、コミュニケーション能力が高く、トラブルに臨機応変に対処できる人が向いています。「コミュニケーション=話す能力」だと思うかもしれませんが、部下が悩みを抱えている場合には、聞く力がとても大切になります。

トラブルが起こった際の聞き取りでも、相手から情報を引き出すことができないと、正確な対処ができない場合があります。

トラブルに対処できる冷静さもリーダーには必要です。機器の故障や製品の不良は、出ないに越したことはありませんが、起こってしまった場合には、適切に対応しなければなりません。

問題が起こったとき、自分では解決できないと思ったらすぐに上司に相談できる、できる人に任せるといった臨機応変さも大切です。リーダーはストレスが溜まりやすいので、プライベートの時間で上手くリフレッシュできる人もリーダー職に向いているといえるでしょう。

工場のリーダーに向いていない人

なんでも一人でやってしまうような人や、人から評価されたいと強く思っている人は、リーダーには向いていない可能性があります。「リーダーは一人でなんでもやる」というイメージがあるかもしれませんが、リーダーには、チームメンバーを信頼して仕事を任せることも大切になります。

また、リーダーはチームのパフォーマンスで評価されることが多いため、「上から評価されたい」と強く思うあまり、ミスの多いメンバーに強く当たってしまうような人はリーダー向きとはいえません。

人によって「リーダー」のイメージは異なりますが、「メンバーを引っ張り、率いていく」だけがリーダーではありません。チームメンバーと力を合わせる、困ったときには人に頼るといったことができるのもリーダーの大切な資質といえるでしょう。

工場のリーダー職を辞めたいと思ったときの対応

工場のリーダーは責任が重く、トラブル対応や人間関係のストレスなどで「もう続けられない」と感じてしまうこともあります。そんなときは感情的に判断せず、冷静に状況を整理してから次の行動を考えることが大切です。ここでは、リーダー職を辞めたいと感じたときに取るべき対応を解説します。

自分が「なぜ辞めたいのか」を整理する

辞めたい理由を明確にすることから始めましょう。「人間関係がつらい」「責任が重い」「自信が持てない」など、原因によって対処法は異なります。例えば、上司や部下との関係に疲れている場合は、部署異動で改善する可能性があります。
一方で業務量やプレッシャーが原因であれば、仕事の分担やサポート体制を見直すことで解消できるかもしれません。紙に書き出してみると、自分が何に悩んでいるのか客観的に見えるようになります。辞める前に「改善できること」「自分ではどうにもならないこと」を整理しておくことが重要です。

信頼できる上司や人事に相談する

辞めたい気持ちが強くなってきたら、信頼できる上司や人事担当に相談しましょう。感情的に退職を申し出るのではなく、「今の状況では業務がうまく回らない」「サポートが欲しい」といった形で現状を共有します。

職場によっては、リーダー職を一時的に外れる「降格」や「配置転換」を提案してもらえるケースもあります。会社にとっても、経験のある人材を手放すのは損失です。そのため、柔軟に対応してもらえる場合もあるでしょう。相談する際は、「辞めたい」ではなく「どうすれば続けられるか」という前向きな姿勢を見せると、話がスムーズに進みます。

一時的に休養を取るのもおすすめ

心身の疲労が限界に達している場合は、一度休養を取ることも立派な対応策です。責任感が強い人ほど無理をしてしまいがちですが、体や心を壊してしまえば元も子もありません。

有給休暇の消化や短期休職制度を利用して、少し離れた場所で休むだけでも気持ちがリセットされることがあります。休養中に自分のキャリアを見直すことで、「やっぱり続けたい」「違う道に進もう」と冷静に判断できるようになります。無理に頑張るよりも、一度立ち止まる勇気を持つことが結果的に長期的なキャリアを守ることにつながるでしょう。

異動や降格を検討する

「リーダー職そのものが合っていない」と感じる場合は、異動や降格を申し出ることも選択肢の1つです。「責任は減らしたいけど今の職場では働き続けたい」という場合は、現場の作業員として戻ることも可能です。

特に大手企業や製造ラインの多い工場では、部署異動や役職変更の柔軟性があるケースが多いです。リーダーとしての経験を活かして現場に戻れば、業務効率化や新人育成などで再び評価されることもあります。

工場のリーダー職に関するよくある質問

工場のリーダー職に関するよくある質問に回答します。

Q. 部下との関係がうまくいかないときはどうすればいいですか?

人間関係の悩みは、リーダー職で最も多い問題の1つです。まずは相手を変えようとするのではなく、「なぜ伝わらないのか」「相手が何を求めているのか」を意識して接しましょう。

強く叱るよりも、原因を一緒に考えたり、努力を認めたりすることで関係性が改善することがあります。それでも難しい場合は、上司や人事に相談して第三者を交えた相談を行うのも効果的です。

Q. リーダー経験は転職で評価されますか?

非常に高く評価されます。リーダー職で培ったマネジメント力・コミュニケーション力・問題解決力は、製造業に限らず他業種でも通用します。、品質管理・生産管理・製造オペレーター・物流管理などでは、リーダー経験者が即戦力として歓迎されるでしょう。転職活動の際には、「何人をまとめたか」「どんな改善を行ったか」など、具体的な実績をアピールすることで評価が高まります。

工場のリーダーが辛い時には対策を

工場のリーダー職は、生産ラインの管理から、作業員の勤怠管理、トラブル対応などチームに関わるすべてのことに対処する必要があります。

リーダーになると役職手当やボーナスで年収が上がりますが、責任とともに業務が増えるので、「辛い」と感じることが多くなるかもしれません。特に、一人でなんでもこなそうとする人は、ストレスや疲れが溜まりやすくなるので、適度にリフレッシュすることが大切です。

どうしても辛いときには無理をせず、先輩や上司に相談してください。場合によっては役職を降りることや転職を検討してもよいでしょう。