派遣社員としてしばらく働いていると、「この先時給は上がるの?」「時給がスキルに見合っていないのでは?」といった疑問が湧いてきます。せっかく資格やスキルを得ても、新人のころと同じ時給のままでは、モチベーションも維持できません。
この記事では、派遣社員の時給アップは可能なのかという疑問に答えるとともに、時給交渉を成功させるためのタイミングとポイントについて解説します。
目 次
派遣の時給が上がることはある?
「派遣は昇給しないのが当たり前」と思っているかもしれませんが、派遣社員でも、時給が上がることは十分にあり得ます。
一般社団法人日本人材派遣協会の調査を見ると、過去3年間に昇給した経験があると答えた人は全体の42.3%とあり、昇給の可能性は決して低くないことが分かります。
ただし、待っていても自動的に時給が上がることはないので、昇給したいのなら何かしらのアクションを起こさなくてはなりません。
残念ながら「これをすれば確実に時給が上がる!」という方法はありませんが、昇給を目指してできることはたくさんあります。あなたの時給を上げるために、今日からできることを始めていきましょう。
参照:一般社団法人 日本人材派遣協会|派遣社員WEBアンケート調査結果2022年度
派遣の時給交渉のために必要なこと
派遣の時給アップを望むときには派遣会社と交渉する必要がありますが、交渉を成功させるためにはクリアしなければならない条件があります。以下、時給アップの交渉のために必要なことを確認しておきましょう。
- 普段の勤務態度で信頼を築く
- 資格取得やスキルの習得
- 派遣先からの信用を得る
普段の勤務態度で信頼を築く
「遅刻が多い」「派遣先でトラブルがある」など、普段の勤務態度に問題がある人が時給アップを望んでも、快く受け入れてもらえることはないでしょう。
また、時給交渉は派遣元の担当者に申し入れるため、派遣元の担当者と上手くコミュニケーションがとれていないと難易度が上がってしまいます。
多くの場合、担当者が派遣先企業に対して時給交渉をするので、「この人であれば昇給させてあげたい」と思われるように日頃から信頼関係を築いておくことが重要です。
資格取得やスキルの習得
昇給のためにアピールできる資格やスキルを得ることも大切で、派遣先で「自分にしかできない業務」がある場合には、交渉において大きな強みとなるでしょう。あくまで一部ではありますが、派遣社員の時給アップにつながりやすいとされる資格は以下の通りです。
- 日商簿記
- TOEIC
- マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
- 宅地建物取引士
- 貿易実務検定
- ビジネス実務法務検定
資格でなくても、実務経験で得たスキルがアピール材料になることも大いに考えられるので、スキルアップした際には担当者に相談してみると良いでしょう。
派遣先からの信用を得る
派遣元の担当者に時給交渉をしたあと、最終的に派遣先の企業が了承しなければ時給がアップすることはありません。「この人なら時給アップも当然」と、派遣先が昇給に納得できるよう、自分の信頼度を高めておくことが大切です。
派遣は契約で業務内容が決められているので、契約以外の仕事をする必要はありません。しかし、契約外の仕事をこなしている場合には「業務内容が増えている」ことを理由に昇給を申し出やすくなるでしょう。
人手が足りない場合のヘルプなど、頼まれた業務に対応しておくと、後々の時給交渉に役立つことがあります。
時給交渉のタイミング
やみくもに時給交渉をしても成功する確率は低いので、以下のように適切なタイミングを見計らって時給アップの相談をしましょう。
- 契約前
- 更新時
- 業務内容が増えたとき
- 資格を取得したとき
最も交渉しやすいのは契約前のタイミングです。時給が希望より低く提示された場合には、自身のスキルや他社の時給などを理由に交渉できます。更新時に申し出るときは、担当者がしっかり派遣先と交渉できるよう、更新の1ヶ月前を目安に交渉してください。
このほか、業務内容が追加されたときや資格を取得したときには、その都度必ず担当者に相談しましょう。
時給交渉を成功させるポイント
時給交渉を成功させるためには、タイミングの他にも大切なポイントがあります。上手く交渉できるよう、自分の状況をしっかり把握して、希望を的確に伝えられるようにしておきましょう。
- 1年以上勤続してから交渉する
- 具体的な金額を提示する
- 貢献度をアピールする
1年以上勤続してから交渉する
働き出してすぐに時給交渉をしても、派遣会社も派遣先の企業もあなたのスキルや勤務態度を十分に把握できていないので、失敗に終わる可能性が高いです。
しかし、1年以上勤続している派遣社員であれば「契約継続の回数」や「派遣先からの評価」といったデータが集まり、派遣会社も昇給の判断がしやすくなるでしょう。契約前に交渉できなかった場合には、少なくとも1年勤続してから時給交渉してみてください。
具体的な金額を提示する
ただ単に「時給を上げて欲しい」と言うより、具体的な金額を提示した方が、成功率は高くなります。ただし、あまりにも非現実的な金額を提示すると、派遣会社との関係が悪くなるので注意が必要です。
金額を提示するときには、職種や業務ごとの相場、他社の時給などを参考にすると良いでしょう。
貢献度をアピールする
交渉時には、前述の具体的な金額に対して「なぜこの額なのか」と、説明できるようにデータを準備しておきましょう。
資格やスキルのほか、派遣先への貢献度も大きなアピールポイントになります。たとえば、成果に貢献したエピソードや、後輩指導を任された経験などを交え、派遣先で必要とされていることをしっかり伝えてください。
時給交渉の注意点
交渉は必ず派遣元の担当者に対して行い、間違っても派遣先に交渉しないようにしてください。このほか、時給交渉する際には、以下の点に気をつける必要があります。
派遣先企業との関係が悪くなる可能性がある
昇給の提案に派遣先の企業が納得できない場合には、派遣先の企業との関係が悪くなってしまう可能性があります。自身の評価や企業の業績が良くないときに時給交渉すると悪い印象を与え、最悪の場合は契約が継続されないという事態になりかねません。
状況を把握し、適切なタイミングで交渉することが大切です。
交渉が成立するとは限らない
時給交渉は、いくらタイミングや状況が良くても必ず成立するわけではない、ということを念頭に置いておきましょう。
派遣社員の時給が上がると、それに応じて派遣先企業は派遣元に中間マージンも支払わなければならないので、コストを抑えられる派遣のメリットが少なくなってしまいます。仮に時給が上がったとしても、希望する金額には満たないケースがあることも覚悟しておいてください。
時給が上がらないときは派遣会社を替えるのも一案
いくら交渉してもまったく時給が上がらなかったり、派遣先企業に交渉すらしてもらえなかったりする場合は、派遣会社を替えることも検討してください。
同じ業種や業務内容でも、派遣会社によって時給や福利厚生は異なるので、今よりも良い条件で働ける派遣会社を探して移籍する方が、昇給への近道になるケースもあります。
自由な働き方を可能にするのが派遣のメリットでもあります。現在の派遣会社にこだわらず、より自分に見合った時給で働ける職場を見つけられるよう、柔軟に対応して行きましょう。
【派遣】交渉次第で時給アップは可能!
派遣社員の時給アップは、決して簡単ではないものの不可能ではありません。ただし、待っていても上がることはないので、自ら時給交渉する必要があります。派遣会社に交渉するときは、契約前や更新時などの交渉が成功しやすいタイミングで申し出ましょう。
普段の勤務態度で派遣会社や派遣先の企業から信頼されていると要望が受け入れてもらいやすくなるので、日頃から良い評価が得られるように働くことが大切です。
ただし、交渉したからといって必ず時給がアップするとは限らないうえ、場合によっては派遣先との関係が悪くなる可能性もあるので注意が必要です。時給を上げてもらえない、交渉に対応してもらえないというときは、別の派遣会社に移籍するのも一つの手でしょう。