今の職場や仕事に何らかの不満を感じていたり、新しい仕事に挑戦したくなったりして退職を考えているけれど、なかなか退職したいと言い出せないという方は多くいます。しかし、退職を言い出さなければ現状は変えられないので、勇気を持って行動を起こさなければなりません。

今回は、退職が言い出せない時の対処法や伝え方のコツについて詳しく解説します。退職を考えている方は、ぜひ最後まで読んで今後の参考にしてください。

仕事を辞めたいのに言い出せない時の心理と対処法

退職をなかなか言い出せない人の代表的な心理と、それに対する対処法をそれぞれ詳しく解説します。

職場の人間関係が悪化してしまうのではないか

退職を伝えることで、上司や同僚と気まずくなったり、心象を悪くしてしまうことが心配で、言い出しにくいと感じる人は多いです。特に人間関係があまり良くない職場では、必要以上に気を遣われたり、陰で悪い噂をされるのではないかと心配になることもあります。

このような場合、気まずくなるのは退職するまでの一時的なものだと割り切ることも1つです。退職までの期間は確かに気まずい思いをすることがあるかもしれませんが、不満がある状態で我慢し続けることの方がストレスになり、精神衛生上望ましくありません。

長期的なメリットを考慮したうえで、行動に移してみましょう。

職場に迷惑をかけてしまうのではないか

自分が退職することで、周りの人の仕事量が増えることを心配して、退職を言い出せないという方もいらっしゃるでしょう。責任感が強く、周囲への配慮を忘れない心優しい人は、その思いから罪悪感を感じてしまうこともあるかもしれません。

このような場合、まずは自分の気持ちを整理し、退職の意志が固まっていることを確認しましょう。会社における人員配置や業務配分はマネジメントの役割であり、個々の従業員が全てを負担する必要はありません。

後任への引き継ぎをしっかりと行い、できるだけ繁忙期を避けるなどの会社側にも配慮をすることで、退職の際にも責任を果たすことができます。退職理由を丁寧に説明すれば、周囲も理解を示してくれるでしょう。

引き止められてしまうのではないか

退職を言い出したとしても、上司から引き止められて説得されてしまうのではないかという心配から、なかなか退職を切り出せないという方もいるでしょう。実際、多くの場合は「本当に退職しなければいけないのか」「問題があるなら解決するから考え直してほしい」など、引き止められる可能性があります。

このような場合、退職の意志が固いことを明確に伝えることが重要です。中途半端な気持ちで退職の意向を伝えてしまうと、引き止められて説得されてしまうことがあります。退職を伝える前に、自分の中で退職の意思が確固たるものであることを確認してから伝えるようにしましょう。

退職を伝える際には、引き止められることを前提として、その上で意思が変わらないことを伝える準備をしておくことが大切です。

どのタイミングで伝えて良いかわからない

退職を伝えるタイミングがよくわからず、なかなか言い出せないという方もいると思います。なかなか上司と改まって話し合いをする場を設けることが難しかったり、上司と自分の予定が合わなかったりすると伝えるタイミングが難しいと感じるでしょう。

結論から言うと、遅くとも退職希望日の1ヵ月前までに伝えましょう。法律では退職希望日の2週間前までに伝えるように定められていますが、引き継ぎや退職手続きに要する時間を考慮すれば1ヵ月前までに伝えておくことが望ましいです。就業規則で退職に関する規定が定められていれば、そちらに従いましょう。

上司とタイミングが合わず切り出せない場合は、社内メールでも良いので大切な話があり話し合いの場を設けてほしいことを伝えておきましょう。注意点として、退職することをメールで伝えてしまうことはマナー違反なので、必ず口頭で伝えるようにしてください。

上司や先輩から怒られてしまうのではないか

人間関係や労働環境が悪い職場では、退職しようとすると上司や先輩から激しく叱責され、退職を認めてもらえないのではないかという不安に駆られることもあるでしょう。特に厳しい職場環境では、退職の意思を伝えることで、周囲からのプレッシャーや責めを受ける場合もあります。

このような場合、直接言い出すことが難しいため労働基準監督署や弁護士に相談することも1つの手段です。退職することは労働者の権利であり、正当な手続きを踏めば何も問題はありません。

もし退職の意思を伝えた際に不当な対応を受けた場合は、すぐに労働基準監督署や弁護士に相談してください。適切なサポートを受けながら、スムーズに退職手続きを進めることができます。

退職を言い出せなかったらどうなる?

もしも退職を言い出せないまま今の状況を変えることができなければ、以下のようなリスクがあります。

  • 体調や精神的な不調が表れる
  • スキルや経験が身につけられない
  • 年々転職に不利になる

体調や精神的な不調が表れる

業務量や残業が多かったり、ハラスメントがあったりする職場で働き続けていると、身体的にも精神的にも大きなストレスが溜まります。その状態を放置していると、過労による体調不良や、ストレスによる精神疾患にかかってしまう可能性が高まります。

自分の身に何かあってからでは遅いです。十分な睡眠が取れない、何もやる気が起きないといった状態が続けば身体がSOSを出しているサインです。早めに医療機関で受診するなどして、事故や病気が起きる前に対処しましょう。

スキルや経験が身につけられない

退職したいという気持ちを抱えながら仕事を続けても、モチベーションが上がらず向上心が湧いてこなくなるでしょう。惰性で業務をこなす日々が続けば、新しいことに挑戦する意欲も湧かなくなり、スキルアップの機会を失ってしまう可能性があります。

そうなれば徐々に社内での評価も悪くなり、ますますモチベーションが上がらないという悪循環に陥ってしまいます。昇進・昇格への意欲が失われれば、キャリアアップも望めなくなるでしょう。

年々転職に不利になる

転職市場は、一般的に若い方に向けた求人数が多くなっています。もちろん、社歴が長いからこそのアドバンテージもありますが、新しい業界や業種に挑戦するのは早ければ早いほど良いと言えるでしょう。

求人によっては、年齢制限を設けている場合もあります。選択肢を広げるためにも、新しい環境に柔軟に対応するためにも、できるだけ早い段階で転職に踏み切ることが望ましいです。

退職を言いやすくする方法

退職をどうしても言い出せないという方は、以下の3つを実践すれば退職を伝えるための第一歩を踏み出せるかもしれません。

  • 転職先を決めておく
  • 家族や友人から客観的なアドバイスをもらう
  • 普段からのコミュニケーションを活発にする

転職先を決めておく

転職先を先に決めてしまえば、退職を言い出しやすい状況を作り出すことができます。転職先が決まっていれば、退職を伝える際の不安を軽減できるでしょう。退職する前に転職したいことを相談する義務はありませんし、働きながら転職活動を行うことも問題ありません。

転職先を決めることがきっかけとなり、気持ち的にも退職を伝えやすくなるでしょう。

家族や友人から客観的なアドバイスをもらう

職場への影響を気にして退職を言い出せなかったり、退職することに罪悪感を感じて言い出せなかったりする場合は、家族や友人など第三者の客観的なアドバイスをもらいましょう。第三者から客観的なアドバイスをもらうことで冷静な判断ができるようになり、自分の状況を落ち着いて認識することができます。

転職経験がなく、現職の会社しか知らないという方は、例え異常な状態だったとしてもそれが普通だと認識していてなかなか問題に気付くことができません。客観的なアドバイスをもらうことで冷静に現状を認識でき、退職しなければどのようなリスクがあるのかに気付くことができて退職に踏み切れるでしょう。

普段からのコミュニケーションを活発にする

退職を言い出しにくいということは、普段から上司とのコミュニケーションが不足している可能性が考えられます。活発にコミュニケーションが取れていれば、退職が言い出しにくい雰囲気や環境にはならないでしょう。

関係が悪化してしまうことや気まずくなってしまうことを心配して言い出せない場合は、まずは普段からのコミュニケーションを活発にするところから始めるようにしましょう。

退職を伝える時の3つのコツ

円満な退職を叶えるためには、以下の3つのコツを押さえて退職を伝えると良いです。

  • 繁忙期を避けて余裕を持って伝える
  • 前向きな退職理由を伝える
  • これまでの感謝を伝える

繁忙期を避けて余裕を持って伝える

繁忙期に退職することを伝えると、退職の手続きを後回しにされたり、退職時期を考え直すように説得されたりと、まともに取り合ってくれない可能性があります。退職を受け入れてもらえたとしても、後任の人が引き継ぎに十分な時間を充てられないことも考えられるため、繁忙期は避ける方が賢明です。

さらに、退職希望日がすでに決まっている場合は、遅くても退職希望日の1ヵ月前には伝えましょう。余裕を持って伝えることで、トラブルに発展するリスクを低減することができます。

前向きな退職理由を伝える

例え現職に不満があって退職を決意した場合でも、それをそのまま上司に伝えることはトラブルの原因になるため、避けたほうが良いです。現職への不満を理由にするのではなく、新しい環境への挑戦にフォーカスして考えると、前向きな転職理由が見つかるはずです。

現職への不満を理由に退職することを伝えると、その部分を改善することを条件に退職を考え直すように説得される可能性も高まります。断りづらくなって結局退職を諦めてしまうことも考えられるため、「新しい環境で頑張りたい」「本当にやりたいことが見つかった」など、前向きな理由を伝えると良いです。

これまでの感謝を伝える

退職する意思や理由だけを伝えると、冷たく聞こえてしまいがちです。伝え方や受け手の解釈によっては、関係が悪化してしまうことも考えられるでしょう。

そうならないためには、これまでお世話になった会社や上司に対して、感謝の気持ちを伝えながら退職の意思を伝えると良いです。相手に冷たい印象を与えず、お互いに気持ちよく話し合いを終えることができるでしょう。

丁寧に退職を伝えて円満退職を叶えよう

退職を言い出せない場合の対処法や、言い出しやすくするコツについて詳しく解説しました。
何らかの理由で退職を言い出しづらかったとしても、伝えてみないことには何も始まりません。そのまま放置していれば、自分の身体に不調が生じてしまう危険があるため、勇気を持って行動を起こしましょう。

ただし、繁忙期を避けたり余裕を持って伝えたりなど、会社や周囲への配慮を忘れてはいけません。円満に退職するためにも伝え方に注意して、お互いが納得する形で退職しましょう。