派遣社員は、あらかじめ期間を決めて働きますが、その契約期間は1か月に満たないものから1年を超えるものまでさまざまです。そのため、主にどのような違いで期間の差があるのかを知っておくことで、仕事が選びやすくなるでしょう。
この記事では、長期派遣の期間の目安や、短期派遣との違いについて解説しています。メリットとデメリットもまとめているので、自分に合った仕事が見つけられるよう、ぜひ最後までお読みください。
目 次
長期派遣とは
長期派遣とは、契約期間が比較的長期にわたる派遣形態を指しますが、具体的に何か月からが長期と決まっているわけではなく、その区別は派遣会社によって異なります。一般的に3か月以上の契約が長期派遣と見なされることが多く、場合によっては1年以上の契約もあります。
同じ職場で長く働けるため、スキルや知識を継続的に磨き、キャリアアップを目指す人に適しているでしょう。また、派遣先企業と良好な関係を築ければ、契約の更新や正社員登用の可能性も高くなります。
【派遣期間】長期と短期の違い
派遣期間の長期、短期には、主に下表のような違いがあります。
長期 | 短期 | |
---|---|---|
期間 | 3か月以上の契約期間を指すことが多い | 3か月未満の契約期間を指すことが多い |
業務内容 | ある程度の期間働くため、正社員と変わらない仕事内容になることもある | 繁忙期のサポートや一時的な業務が多い |
契約更新 | 更新されやすく、直接雇用につながることもある | 更新されないことが多い |
派遣会社によって違いはあるものの、短期は繁忙期のサポートなどがメインになることが多く、一時的なオファーが多いのが特徴です。
一方の長期派遣は、数か月単位で働くため、仕事を覚えやすく更新につながりやすい傾向があります。
長期派遣のメリット
長期派遣には、次のようなメリットがあります。
- 人間関係を築きやすい
- 安定収入が得られる
- スキルが身につく
それぞれ詳しく見ていきましょう。
人間関係を築きやすい
長期派遣では、数か月以上同じ職場にいるため、必然的にコミュニケーションの量が増え、人間関係を築きやすくなります。
良好な人間関係は、仕事のやりやすさや職場での評価につながり、次の契約更新のほか別のキャリアチャンスが得られる可能性もあるでしょう。
一方、短期派遣の場合は、業務に慣れる前に契約が終了することが多く、人間関係を築くハードルが高くなりがちです。
安定収入が得られる
数か月にわたる継続的な勤務が可能なため、短期派遣に比べて収入の見通しが立ちやすくなります。安定した収入があることによって、生活費や将来の計画が立てられ、経済的な安心感が得られるのが魅力です。
短期案件ばかりだと、仕事が途切れるリスクだけでなく、雇用保険の加入条件に当てはまらない可能性があります。
スキルが身につく
長期派遣では、継続的に特定の業務に就けるので、専門的なスキルを深める機会が多くなります。長く働くことで派遣先企業独自の業務プロセスやシステムに詳しくなり、効率的に仕事ができるようになるでしょう。
また、派遣先から信頼されれば高度な業務を任されることもあり、キャリアアップに繋がりやすくなります。このほか、電話や来客の応対といった、一般的な社会人としてのマナーも身につきやすいのがメリットです。
長期派遣のデメリット
一方で、次のようなデメリットもあります。
- 辞めにくい
- 正社員との待遇差を感じやすい
- 契約が更新されない場合もある
メリットとデメリットを知ったうえで、働き方を選ぶことが大切です。
辞めにくい
派遣社員は、やむを得ない事情がない限り、原則として契約期間の途中で辞めることはできません。長期派遣は数か月単位の契約になるため、働き始めてから派遣先が合わないと思った場合でも辞めにくいのがデメリットです。
また、長期間の就業で職場の人間関係が深まり、自分に向けられる責任や期待が大きくなることで、辞めにくいと感じるケースもあります。さまざまな理由で辞めにくいと感じたときには、派遣会社に相談しましょう。相談することで解決策が見つかるかもしれません。
正社員との待遇差を感じやすい
長い間同じ職場で働いていると、派遣先企業の正社員と変わらない業務を行うことも少なくありません。
たとえば、賞与や福利厚生、昇進の機会などの差を不公平だと感じることもあるでしょう。また、長期間働いているにもかかわらず、重要な業務や意思決定の場に関与できないことも、正社員との差を痛感する要因です。
さらに、3年ルールによって安定したキャリアを築くのが難しいと感じることもあり、モチベーションの低下も懸念されます。
契約更新されない場合もある
長期派遣は更新につながりやすいものの、必ずしも契約更新されるとは限りません。企業の業績や、経営方針の変更によっては更新されず、仕事が終了してしまうことがあります。
とくに、同じ企業で長期間働いていると、その企業での安定を期待しやすく、契約更新されない場合に大きな不安を抱える可能性があるでしょう。
また、更新されない場合には次の仕事を探す必要が出てくるため、精神的、経済的な負担が高まるリスクもあります。
長期派遣はこんな人におすすめ
長期派遣は、次のような人におすすめです。
- ある程度の安定が欲しい
- 柔軟な働き方がしたい
- 正社員のような責任は負いたくない
同じ職場で長期間働けるというある程度の安定がありながらも、柔軟な働き方をしたい人に向いています。また、しっかり働きつつも正社員のように責任ある立場にはなりたくない、という人にも向いているでしょう。
多くの場合、さまざまなスキルが身につくまで働けるので、スキルアップを目指す場合にも適しています。
長期派遣の注意点
長期派遣を希望する際は、以下の点に注意しましょう。
3年ルールを知っておく
長期派遣というと、何年も同じ会社で働けると思うかもしれませんが、同一部署への派遣期間には、3年という上限が定められています。
この「3年ルール」は、労働者派遣法に基づく規制の一つで、派遣社員の雇用安定と過度な長期派遣を防ぐために設けられています。そのため、派遣労働者は同一の部署や業務において、原則3年を超えて働くことはできません。
ただし、次の条件に当てはまる場合は、ルールが適用外となります。
- 派遣元で無期雇用契約を結んでいる
- 60歳以上である
- 有期プロジェクトに従事している
- 日数が限定される業務に従事している
- 休業する労働者の代替として従事している
また、直接雇用を申し入れられたり、別の部署や業務に配置転換したりすることで、3年を超えても同じ会社で働くことが可能です。
いずれも、派遣社員の同意があったうえで決定されるので、3年を超えるような場合には、身の振り方について検討する必要があります。
退職は慎重に
長期派遣では、契約満了で退職したい場合は、最低でも1か月前には派遣会社に申し出ましょう。新しい派遣先がすぐに見つかる保証はないので、満了後に別の派遣先を紹介してもらいたい場合は、さらに前から相談しておくのがおすすめです。
長期派遣では、辞めたくなったときにまだ派遣期間が残っている場合があります。このような状況で辞める場合には、契約違反になる可能性があるため、契約書をしっかり確認する必要があります。
派遣先に問題がある場合などは、まず派遣会社に相談し、改善が図れないか検討してもらいましょう。契約期間中の退社は、次の派遣先を紹介してもらいにくくなるといったリスクがあるため、慎重に考えてください。
長期派遣を希望するなら派遣会社に相談
長期派遣を希望する場合は、まず派遣会社に相談してみましょう。派遣会社は、あなたのスキルや経験に合った新しい職場を紹介してくれるだけでなく、契約期間の延長や直接雇用の可能性についてもアドバイスしてくれます。
また、派遣会社と密にコミュニケーションを取ることで、自分に合った派遣先やキャリアプランの提案を受けられる可能性も高まります。
自分に合った派遣期間を選ぼう
派遣期間が長いと、収入が安定する、人間関係を築きやすいといったメリットがあります。一方で、正社員との待遇差を感じやすい、辞めにくくなるなどのデメリットもあるため、慎重に検討する必要があるでしょう。
あなたのニーズに合った派遣期間で働けるよう派遣会社に相談し、アドバイスを元に適した仕事にエントリーしましょう。