派遣社員という働き方を検討する際に、キャリアアップができるのかどうかが気になる方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、派遣社員のキャリア形成について詳しく解説していきます。派遣社員が活用できる教育訓練やキャリアアップに有効な方法についてもまとめているので、ぜひチェックしてください。
目 次
派遣社員もキャリアアップが可能

派遣社員にキャリア形成がしにくいというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、十分にキャリアアップが可能な働き方です。特に最近は、専門スキルを持つ派遣社員の需要が高まっており、経験を積みながらキャリアを築いていくケースも増えています。
一般事務から専門的な貿易事務や医療事務へスキルアップしたり、製造業での実務経験を経て、工程管理などにステップアップしたりする例もあります。派遣先企業での実績が評価され、直接雇用に至ることも少なくありません。
キャリアアップ支援制度を備えた派遣会社を選び、積極的に教育訓練や資格取得を活用していけば、派遣という枠を超えて長期的なキャリアを築けるでしょう。
派遣社員が受けられるキャリアアップ教育訓練とは

労働者派遣法では、派遣社員のキャリア支援のため、キャリアアップ教育訓練の提供を派遣元に義務付けています。これはすべての派遣社員が対象で、3年間は年8時間以上、4年目以降はキャリアの節目ごとに、教育訓練やキャリアコンサルティングを提供しなければなりません。
訓練はOFF-JT(業務から離れた座学やEラーニングなど)とOJT(職場内訓練)に分かれており、以下のようなことが学べます。
- パソコン操作
- 電話応対
- ビジネスマナー
- 各職種に応じた専門スキル など
これらは原則として、無償かつ就業時間内に実施されるため、派遣労働者にとっては学びながら働けるという点が大きなメリットになります。
キャリアアップ教育訓練は派遣会社によって異なる
キャリアアップ教育訓練の実施内容や質は、派遣会社によって大きく異なります。法律上はすべての派遣元に教育訓練の実施が義務づけられていますが、訓練の対象者や内容、実施頻度、サポート体制などに違いがあるのが実情です。
eラーニングや資格取得支援が豊富に用意されている派遣会社がある一方で、マナー研修程度しか行っていないようなケースもあります。そのため、スキルアップを重視したい人は、どのような教育訓練が受けられるのかを登録前に確認することが重要です。
派遣社員のキャリアアップに有効な方法

派遣社員がキャリアアップを目指す場合は、仕事で信頼を得るほか、さまざまな方法でスキルアップすることが効果的です。以下、具体的な方法を確認していきましょう。
仕事で信頼を得る
派遣社員としてキャリアを伸ばすうえでまず大切なのは、日々の業務で信頼を得ることです。どんなに短期の契約でも、与えられた仕事に誠実に取り組み適切に対応することで、職場内での評価が高まりやすくなります。
派遣先の社員や上司からの信頼が得られると、契約延長や紹介予定派遣への切り替えや直接雇用の打診など、次のステップに進むチャンスが増えます。信頼されることで任される業務の幅が広がり、スキルの蓄積にもつながるでしょう。
教育訓練やセミナーを活用する
派遣社員は、派遣元が提供するキャリアアップ教育訓練を積極的に活用することでスキルを高められます。多くの派遣会社では、さまざまな知識が学べるeラーニングや集合研修が用意されています。
最近では外部セミナーや資格取得支援制度を取り入れる企業も増えており、これらを上手く活用できれば、計画的なスキルアップが可能です。自分の職種や将来像に合った講座を見極め、継続的に学んでいきましょう。
自主的に学習をする
派遣会社の教育制度だけに頼るだけでなく、自主的に学ぶこともキャリアアップに重要です。ツールの使い方を深掘りしたり、業界の動向をニュースや書籍で学んだりすれば、派遣社員としての価値を高められます。
最近では、YouTubeやオンライン学習プラットフォームなどで手軽に質の高い講義が受けられるので、これらを活用するのもよいでしょう。自主的に学ぶ姿勢は、意欲的として派遣会社に評価されやすくなります。
資格を取得する
資格はスキルの証明として、応募時のアピール材料になります。希望する業務に応じて、以下のような資格があると有利です。
- MOS
- 日商簿記
- 医療事務技能審査試験
- TOEIC など
こうした資格を持っていることで、より好条件の案件を紹介される可能性が高くなります。資格取得の過程で得た知識が実務で生かされれば、現場でも即戦力として評価されるでしょう。
派遣元によっては、受験費用の補助や講座受講のサポートを行っている場合があります。
紹介予定派遣を活用するのも一案
紹介予定派遣とは、派遣社員として一定期間働いたあと、派遣先企業に直接雇用されることを前提とした働き方です。期間は最長6ヶ月で、企業は労働者のスキルや人柄、業務適性を見極められます。
労働者側も職場の雰囲気や仕事内容を事前に確認できるため、入社後のミスマッチ、転職の失敗リスクなどを大きく減らせるのがメリットです。
ただし、直接雇用が前提になる分、書類審査や面接がしっかり行われる点には注意が必要です。派遣先企業の従業員になるという意識を持って選考に臨みましょう。
紹介予定派遣は、派遣という柔軟性を活かしながらステップアップや安定した雇用を狙いたい人にとって有効な働き方です。
紹介予定派遣で成功するためのポイント
紹介予定派遣を成功させるためには、選考段階から派遣期間中まで戦略的に取り組むことが重要です。
まず選考段階では、通常の派遣とは異なり事前面接や書類選考が行われるため、しっかりとした準備が必要になります。面接では単なる派遣スタッフとしてではなく、将来的に正社員として働く意欲や、その企業で長期的にキャリアを築いていきたいという強い志望動機を伝えることが大切です。また、職務経歴書には関連する業務経験を詳細に記載し、企業研究を十分に行って企業風土への理解と適応意欲を示すことで、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。
派遣期間中の6ヶ月間は、単なる「お試し期間」ではなく「実践的な面接期間」として捉える必要があります。日々の業務に積極的に取り組むのはもちろん、業務改善の提案を行ったり、社内のコミュニケーションを重視してチームに溶け込む努力をしたりすることで、職場での存在価値を高められます。
ただし、紹介予定派遣は双方の合意により直接雇用が決定される制度であるため、企業側からの評価を得ることだけでなく、働く側も職場環境や業務内容、企業文化が自分に合っているかをしっかりと見極めることが重要です。この期間を通じて相互理解を深め、長期的に働ける環境かどうかを慎重に判断しましょう。
派遣会社選びで意識したいポイント

スキルアップを目指すうえでは、派遣会社選びも重要になります。以下のようなポイントをしっかり確認しましょう。
教育訓練や資格支援が充実しているか
キャリアアップを目指す派遣社員にとって、教育訓練制度や資格取得支援が整っているかどうかは派遣会社選びの大きなポイントです。自分のキャリアパスに合った教育訓練や職種に特化した専門講座が受けられるか、といった点を確認しておきましょう。
資格試験の受験費用の補助、外部セミナーの受講支援などを行っている派遣会社もあり、これらを活用すれば、働きながら知識とスキルを体系的に伸ばすことができます。
紹介予定派遣や無期雇用派遣の実績があるか
直接雇用を目指すなら、紹介予定派遣や無期雇用派遣の取り扱い実績がある派遣会社を選ぶとよいでしょう。
- 紹介予定派遣:派遣先企業での直接雇用を前提とした働き方
- 無期雇用派遣(常用型派遣):派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結ぶ
これらの制度に力を入れている派遣会社では、人材育成やキャリア支援を積極的に行っていることが多いです。労働力の供給だけでなく、個々の将来を見据えたサポートを提供している派遣会社を選ぶと、安心してキャリアアップを目指せます。
キャリア相談やフォロー体制が整っているか
職場の悩みやキャリアの方向性について気軽に相談できるかどうかは、派遣会社選びにおける大きな基準になります。次のような体制が整っている派遣会社では、一人ひとりに合った成長支援が可能です。
- 就業前の丁寧なヒアリング
- 職務経歴やスキルをもとにしたキャリアプランの提案
- 就業後の定期的なフォローアップ など
就業中にトラブルが起きた場合でも迅速に対応してくれる派遣会社は、労働者の安心感につながります。登録して終わりではなく、成長を支援してくれる存在として派遣会社を選ぶことが、キャリアアップへの近道です。
派遣社員もキャリアアップできる!
派遣社員でもキャリアアップしていくことは可能です。専門的なスキルや知識を身につければ、特定の業務に特化した派遣社員として活躍できます。派遣先の信頼を得て、直接雇用や正社員を目指すのもよいでしょう。
派遣会社には、派遣労働者に対して教育訓練を行う義務があるため、上手に活用すれば、キャリア形成に役立てられます。
ただし、派遣会社によって教育内容やサポート体制が異なるため、それらを確認したうえで選ぶ必要があります。業務の悩みだけでなく、キャリアプランなどを一緒に考えてくれる派遣会社を見つけると、キャリアアップを実現しやすくなるでしょう。