主婦が仕事を始めるにあたって、「派遣かパートか」は、頭を悩ませる問題です。雇用形態が違えば、収入や求められる業務範囲なども変わってくるため、選択によっては働きにくいと感じるかもしれません。

そうした事態を防ぐためには、事前にそれぞれの違いを理解しておくことが大切です。

そこで今回は、派遣とパートの違いについて詳しく解説するとともに、両者のメリットデメリットをお伝えします。派遣、パートに向いている人の特徴もまとめているので、あわせてチェックしてください。

派遣とパートの違い

まずは、派遣とパートの違いを確認しておきましょう。以下4つが、主な違いとして挙げられます。

雇用主

派遣スタッフの場合、実際に働く職場(派遣先)ではなく、派遣会社が雇用主になるのが大きな特徴です。給料の支払いや社会保険の手続き、契約管理などは、すべて派遣元である派遣会社が行います。

一方、パート従業員の雇用主は、その人が実際に働いている店舗や企業です。たとえば、スーパーでパートとして働く場合、そのスーパーの運営会社に直接雇用されることになります。

契約期間

派遣の仕事は有期雇用が基本で、3か月や6か月など、契約期間が明確に定められています。

また、派遣契約は派遣会社、スタッフ本人、派遣先の合意によって更新されるため、合意がなければ継続されません。このほか、同じ派遣先で働ける期間が最大3年と定められている点も派遣の特徴です。

これに対してパートは、契約期間を定めないケースが多く見られます。もちろん、試用期間や更新制の契約もありますが、派遣ほどの縛りは少ないといえるでしょう。

評価・待遇

派遣社員の待遇は派遣先企業、派遣会社双方の評価をもとに決定されます。そのため、評価基準にズレがあったり、どちらかの意見だけが採用されたりして、待遇が横ばいのままというケースも珍しくありません。

一方、パートは直接雇用のため、勤務態度やスキルが認められれば時給アップ、シフトの優遇などが比較的柔軟に行われます。上司と日常的に関わることで、日々の頑張りが評価に繋がりやすいのが特徴です。

ただし、基本時給は派遣スタッフのほうが高く設定される傾向にあります

求められる仕事

派遣では、契約内容に沿った業務をこなすことが求められ、契約外の業務はしないスタンスが前提です。派遣社員は即戦力としてのスキルを求められるケースが多く、決められた業務を正確にこなすことが重視されます。

一方、パートは業務範囲が比較的広く、臨機応変な対応を求められがちです。お客様対応、商品の補充、清掃など業務が多岐にわたる傾向にあり、そのぶん適応力や協調性も評価されるポイントとなります。

主婦がパートで働くメリット

主婦がパートで働く最大のメリットは、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができる点です。家事や育児との両立を前提としたシフトが組める職場が多く、午前中のみ、週3日など、希望に応じて働けます。

また、扶養内で働ける職場も多く、社会保険の負担を避けつつ収入を得られるのも魅力です。求人が多いため、自宅から近い職場を選びやすい、希望に合った職場を見つけやすいといったメリットがあります。

主婦がパートで働くデメリット

パート勤務には、収入やキャリア面での限界があります。基本的に時給制であるほか、ボーナスの対象にならないケースが多いため、収入を大きく伸ばすことは難しいでしょう。

勤務先によっては仕事内容の幅が広く、複数の業務を担当しなければならないことも珍しくありません。このほか、責任が軽い仕事のみを任される場合は、やりがいや達成感を感じにくいといった点もデメリットとして挙げられます。

主婦が派遣で働くメリット

派遣で働く主婦にとってのメリットは、高時給であることと、専門性やスキルが評価されやすい点。一般事務やデータ入力などのオフィスワークを中心に、経験や資格を活かした業務に就けることが多く、短時間でも効率的に収入を得やすいのが特徴です。

業務範囲が決まっているため、契約外の業務を振られないのも安心して働けるポイントです。働く職場を自分で探す必要がない点も、忙しい主婦にとってのメリットといえます。

主婦が派遣で働くデメリット

派遣は契約期間が定められているため、いつまで働けるか分からない不安定さがデメリットとなります。派遣先での立場はあくまで外部スタッフのため、職場に溶け込みにくかったり、正社員やパートとの関係性に気を使ったりする場面も少なくありません。

勤務時間や曜日があらかじめ契約で決められているので、家庭の都合で急な変更がしにくい点もネックになります。

パートが向いている人

パートは次のような人に向いています。

  • 家庭や育児、介護など、自分の生活を優先しながら働きたい
  • 「週に数日だけ働きたい」「午前中だけ」など、柔軟な働き方を希望している
  • 長時間の通勤が難しい など

特別なスキルや資格を求められない仕事が多いため、ブランクがある人、社会復帰を目指す人も心理的なハードルを感じずに始められます。同世代の主婦が多い職場であれば、子どもの発熱や家庭の用事など、急な休みに理解があるケースも多いです。

派遣が向いている人

派遣は、次のような人に向いています。

  • ある程度のスキルや経験がある
  • 効率よく収入を得たい
  • いろいろな職場を経験したい など

事務経験やパソコンスキルがある、接客に慣れているなど、即戦力として働ける人は高時給での就業が可能です。仕事の内容や時間が契約で明確に決まっているため、過剰な業務や急なシフト変更が苦手な人にも合っています。

短期間のみ働きたい、さまざまな業界で働きたいといった希望を持つ人にもおすすめで、柔軟にキャリアを考えたい人にとって魅力的な働き方といえます。

派遣会社を選ぶポイント

主婦が派遣として働く場合は、以下の点に注目して派遣会社を選びましょう。

扱う求人の種類と数

派遣会社を選ぶうえでまず重視したいのが、求人の種類と数です。次のように、派遣会社にはそれぞれ得意とする分野があります。

  • 事務職に強い
  • 医療や介護系に特化している
  • 販売・サービス系の求人が多い

自分のスキルや希望職種に合った求人が豊富にあるかどうかは、希望に沿った職場を見つけるために重要です。求人の数が多いと、勤務地や勤務時間など細かい条件の相談がしやすく、選択肢の幅が広がります。

複数の案件から比較検討できれば、自分に合った職場を見つけやすくなるため、事前に求人が十分にあるかどうかをチェックしておくとよいでしょう。

急な休みが取りやすい

子どもの体調不良や学校行事、家庭の都合などで急な休みが必要になる主婦にとって、休みの取りやすさは大きな安心材料になります。小さな子どもがいる、介護が必要な家族がいるなど、休みが多くなりそうな場合は事前に相談しておきましょう。

派遣会社や担当コーディネーターに、こうした相談をしやすい雰囲気があることも重要です。

扶養内などの条件に対応してくれる

配偶者控除や社会保険料を考慮し、年間収入を扶養範囲内に収めたいと考える方は多くいます。そのため、扶養内での勤務に理解があるかどうかは、派遣会社を選ぶうえで重要なポイントです。

税金に関しては103万円の壁が160万円に引き上げられましたが、社会保険料の負担が発生する収入は変わりません。そのため、扶養の範囲内で働けるよう、就業調整ができるような案件を紹介してくれたり、収入のシミュレーションを行ってくれたりする会社を選ぶと安心です。

「週3勤務OK」や「短時間勤務可」など、扶養内で働きやすい条件の案件を多数扱っているかを確認しておきましょう。

【派遣orパート】主婦は状況に合わせて働き方を選ぼう

派遣とパートは、雇用主や契約期間、評価・待遇など、さまざまな違いがあります。また、シフトの融通、休みやすさも異なるため、自分の状況と照らし合わせ、働きやすいほうを選ぶのがおすすめです。

休みやすさや、スキル・資格を求められない業務内容を重視するならパート、経験を活かして高収入を得たい場合は派遣が適しているでしょう。派遣を選択する場合は事前に状況を伝えて、希望に合った仕事を見つけてもらいやすくすることが大切です。