事務職からの転職を考えるにあたり、「事務スキルは役に立つのか」「異業種は難しい?」と不安を感じる方は少なくありません。しかし事務職で培われるスキルは、汎用性が高いものが多く、多くの業種で活かせる傾向にあります。

このコラムでは、事務職からの転職で活かしやすいスキルや、おすすめの業種について解説します。転職を成功させるポイントもまとめているので、ぜひ最後までチェックしてください。

事務職が転職を考える理由

事務からの転職を検討する理由として、昇給しづらい点や業務に飽きやすい点などが挙げられます。また、将来への不安も転職を考えさせる要因となっています。

ベースアップしにくい

事務職が転職を考える理由の一つとして、給与が上がりにくい点が挙げられます。事務職は会社運営に欠かせない存在である一方、営業のように業務が売上や利益に直結しないので、昇給の優先度が低くなる傾向があります。

とくに業務内容が安定している場合、今の業務を問題なくこなしているだけでは評価につながりません。営業成績や販売実績と異なり、成果を数字で示しにくい点も、昇給の壁になっています

繰り返しの業務に飽きる

事務職はルーティンワークが多く、日々の業務が一定の流れで進むことが多いです。請求書の処理、データ入力、電話対応、書類作成など、業務内容が固定化されやすく、慣れれば簡単にこなせるようになります。

一方で、この慣れが刺激の少なさにつながり、成長実感を得られない原因にもなっています。とくに向上心のある人ほど、変化のない毎日に閉塞感を抱きやすいです。

キャリアパスが見えにくい

事務職は、専門職や営業職のように経験を積めば昇進・昇格が明確というケースが少なく、数年後の自分がどのポジションにいるのか想像しづらい傾向があります。事務職のまま昇進できる枠は限られており、管理職を目指す道はあるものの、ポストが少なく競争率が高いのが実情です。

また、ほかの業界や職種へ転職する際に強みとしてアピールしにくいと感じる人も多く、将来の選択肢を広げるために、早めの転職を検討する要因になっています。

転職で活かしやすいスキル

事務から転職する際、アピールできるポイントが少ないと感じる人は少なくありません。しかし、実際には次のように事務職で培われたスキルが強みになっていることがあります。

コミュニケーションスキル

事務職は社内外の調整役を担うことが多く、上司や同僚、他部署、取引先など、立場や目的の異なる相手と日常的にやり取りを行います。

その中で求められるのは、相手の意図を正確にくみ取り、誤解が生じないように情報を整理して伝える力です。また、クレームや急な依頼への対応では、感情を抑えつつ冷静に対処する姿勢も身につきます。

転職活動では、これらを「調整力」「聞く力」「丁寧な対応力」といった具体的な表現に言い換えることで、アピールポイントとしての説得力が高まります

PCスキル

事務職で身につくPCスキルは、業界を問わず活かしやすい実務能力です。日常的にWordやExcel、メール、社内システムを扱うため、正確かつ効率的に作業を進める力が養われます。

たとえばExcelの関数や表作成、データ整理を通じて「情報を扱う力」が自然と身についている人も多いでしょう。これらのスキルは、事務職に限らず、営業支援、経理補助、在宅ワークなど幅広い分野で活用できます。

また、PC操作に慣れていることは、新しいシステムやツールへの適応力が高いことの証明にもなります。転職時には、「どのソフトを、どのレベルで使えるか」を具体的に示すことで、即戦力として評価されやすくなるでしょう。

業務の組み立て能力

事務は複数の業務を同時進行で進める場面が多く、締切や急な依頼に対応しながら全体の流れを管理するといった経験を積みやすい職種です。この中で、作業を進める順序、相談するタイミングなどを判断する力が養われます。

こうした能力は職種を問わず評価される汎用スキルであり、業務改善やチームサポートの場面でも重宝されます。転職活動では「業務を整理してミスや遅延を防いだ経験」のように、具体的なエピソードとセットにして伝えると、再現性のある強みとしてアピールできます

事務からの転職におすすめの業種

転職を検討するにあたり、現在事務職をしている人におすすめの職種・業界を紹介します。

事務・総務職

事務からの転職先として、同じ事務や総務職は最もスムーズに移行しやすい選択肢です。これまでの業務経験をそのまま活かせるため、即戦力として評価されやすい点が大きなメリットです。

総務職では、備品管理や社内ルールの整備、社員対応など、幅広い業務を通じて会社全体を支える視点が求められます。事務経験者は業務の正確性や調整力に長けているため、こうした環境の変化にも順応しやすい傾向があります。

IT・Web業界

IT・Web業界は、専門性が高そうに感じられますが、実際には事務経験で培ったPCスキルや情報整理力、コミュニケーション能力が活かせる業務が多く存在します。たとえば、IT事務やカスタマーサポートなどでは、技術知識よりも「正確な対応」や「調整力」が重視されるケースが少なくありません。

変化のスピードが速い業界なので、学ぶ姿勢や柔軟性が評価されやすく、事務職で身につけた段取り力がキャリアの幅を広げるきっかけになるでしょう。

サービス業

サービス業は、事務職で培った対人対応力を活かしやすい業種です。受付、カスタマーサポート、店舗運営サポートなど、人と接する機会が多く、丁寧な言葉遣いや気配りが求められます。

また、電話応対や社内外との調整経験は、顧客満足度を高める要素となります。一方で、勤務時間や休日体系が不規則な場合もあるため、ライフスタイルとの相性を見極めることが重要になります。

介護職

介護職は、利用者や家族、他職種との連携が欠かせず、丁寧なコミュニケーションや記録の正確さが求められます。事務職で培った報連相や書類管理の経験は、介護現場でも大いに役立つでしょう。

また、介護業界は慢性的な人手不足により、未経験者を受け入れる体制が整っている職場が多く、資格取得支援制度を設けているケースもあります。人の役に立っている実感を得やすい仕事であり、社会貢献性の高さに魅力を感じて転職する人も少なくありません。

転職を成功させるポイント

転職する際、勢いで決めてしまうとミスマッチの原因になりかねません。辞める理由を明確にしたうえで、しっかりとリサーチをしてから転職することが大切です。

辞める理由を明確にする

転職を成功させるためには、まず「なぜ今の仕事を辞めたいのか」を自分の中ではっきりさせましょう。給与、業務内容、人間関係、将来性など、不満に感じている点を曖昧なままにすると、転職先でも同じ悩みを抱える可能性が高くなります

たとえば「給料が低い」という理由でも、その背景にあるのが評価制度への不満なのか、生活とのギャップなのかによって、選ぶべき職場は変わります。辞める理由を整理することは、転職先に求める条件を明確にする作業です。

転職先の業種・業界をリサーチする

転職後のミスマッチを防ぐためには、業種や業界について事前に十分なリサーチを行うことが欠かせません。仕事内容や必要なスキルだけでなく、業界全体の動向、働き方、将来性まで把握しておくことで、「思っていた環境と違う」という失敗を避けやすくなります。

とくに異業種へ転職する場合、表面的なイメージだけで判断すると、実際の業務とのギャップが生じる可能性が高いです。企業の公式サイトや求人情報だけでなく、口コミやインタビュー記事など複数の情報源を活用しましょう。

マッチングサービスを活用

転職活動を効率的に進めるためには、マッチングサービスの活用が有効です。転職サイトやエージェントなどを利用することで、自分一人では見つけにくい求人に出会える可能性が広がります。

とくに事務職経験者は、スキルの棚卸しや強みの言語化が難しいと感じることが多いため、第三者の視点でアドバイスをもらえる点が大きなメリットになります。

自分に合った転職先を探そう

事務職で培われるコミュニケーションスキルやツールを扱う能力は、転職の場面でも強みとして活かすことができます。これらは同じ事務職でも重宝されるほか、異業種へ転職する場合でも活用できます。

ただし、勢いで転職してしまうとミスマッチにつながる恐れがあるため、事前に辞める理由と転職先候補のリサーチをしっかり行い、慎重に進めることが大切です。転職にあたって第三者の意見は役に立つので、マッチングサービスなどを活用するのもおすすめです。