子育て中のママが働く際には正社員、パート、アルバイト、派遣などさまざまな働き方の選択肢が考えられます。中でも「派遣」は、子育てをしながら働くママにおすすめの雇用形態です。

このコラムでは、子育て中のママが派遣で働くメリットとデメリットについて解説しています。仕事と家庭を両立させるコツもまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。

子育て中のママが派遣で働くメリット

子育て中のママが、派遣で働くメリットは次のとおりです。

以下、それぞれ詳しく解説します。

求職活動が不要

子育て中のママにとって、仕事探しの時間や労力を最小限に抑えられることは大きなメリットになります。派遣会社が自分の希望条件に合った求人を紹介してくれるため、自力で求職活動をする必要がありません。

履歴書の添削や面接対策といったサポートを受けられる場合が多く、長期間のブランクがあっても安心です。複数の候補を比較して選べるため、子どもの保育園や学校の予定に合わせた働き方を実現しやすくなります。

契約以上に働く必要がない

派遣社員は、契約によって業務内容、勤務時間、勤務地などがあらかじめ明確に定められているため、契約を超えて働く義務がありません。これは子育て中のママにとって、大きな安心材料になります。

正社員は突然の残業や休日出勤が発生することがありますが、派遣社員には契約範囲を超える業務や残業を断る権利があります。そのため、保育園のお迎えや子どもの体調不良時にも柔軟に対応しやすいのがメリットです。

業務範囲が限定されているので過度な責任が生じることは少なく、ワークライフバランスを保ちやすい点も魅力です。

福利厚生が受けられる

派遣は不安定な働き方と思われがちですが、条件を満たせば、次のような福利厚生が受けられます。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 有給休暇
  • 産休・育休

派遣会社によっては、独自の福利厚生サービスとして育児支援や相談窓口などを提供しているところもあります。個人事業主や短期アルバイトとは異なり、労働者としての法的な保護を受けられる点が派遣の大きな魅力です。

福利厚生の具体的な取得条件

派遣社員が各種福利厚生を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。社会保険については、週の労働時間が20時間以上かつ月収88,000円以上、さらに2ヶ月を超える雇用見込みがある場合に加入対象となります。健康保険と厚生年金については、正社員の4分の3以上(週30時間以上)の労働時間で加入が原則ですが、上記の条件を満たせば短時間労働者でも加入可能です。

有給休暇は、6ヶ月継続勤務し、その間の出勤率が8割以上であれば取得権が発生します。産休については雇用期間に関係なく取得できますが、育休は子どもが1歳6ヶ月になるまでに雇用契約の終了が明らかでないことが条件となります。これらの条件は派遣会社によって詳細が異なる場合があるため、登録時に確認することをおすすめします。

比較的時給が高い

派遣社員の時給はアルバイトやパートに比べて高めに設定されているケースが多く、短時間勤務でもしっかりと稼ぎやすいのが特徴です。都心部であれば、一般事務やデータ入力などの求人が時給1,500円以上に設定されていることも珍しくありません。

高時給で働ければ、週3日・1日6時間といった時短勤務でも月10万円以上の収入を安定的に確保できるでしょう。専門スキルを持っていれば、さらに高時給の案件も選択可能です。

限られた時間で効率的に収入が得られる派遣の働き方は、子育て中のママと相性が良いといえます。

子育て中のママが派遣で働くデメリット

派遣という働き方にはデメリットもあるため、事前に確認しておきましょう。

契約更新されないこともある

派遣は基本的に有期雇用契約なので、一定期間ごとに契約が終了し、更新されるかどうかは派遣先企業の判断に左右されます。たとえ職場で評価されていたとしても、業績の悪化や組織変更などを理由に更新されないケースは珍しくありません

更新されなければ収入が途切れてしまうため、定期的に次の仕事を探す必要があります。

契約範囲内の仕事しかできない

派遣社員は契約時に定められた業務内容に沿って働くのが原則です。やる気や能力があっても、基本的に契約外の仕事には携われません。

「もっと専門的な業務を任されたい」「他の仕事にチャレンジしたい」と思っても、派遣契約にない業務を行うことは原則として禁止されています。そのため、スキルアップの機会が限られてしまうケースは多いです。

正社員と比べて責任のあるポジションに就くことも難しいため、キャリアを積極的に広げたい場合には物足りなさを感じることがあるでしょう。

基本的に契約期間中は辞められない

派遣社員は決められた期間いっぱい働くことが契約で定められており、辞めたいと思っても簡単に辞めることはできません。

もちろん、やむを得ない事由がある場合には退職できますが、今後仕事が紹介されにくくなる可能性が高いです。自由な働き方に見えますが、一定の責任や制約があることを理解しておく必要があります。

ママが仕事と家庭を両立させるコツ

仕事と家庭を両立させるためには、どちらも無理をせずに取り組むことが重要になります。以下、具体的なコツをまとめているので、チェックしておきましょう。

優先順位を決めておく

仕事と家庭を両立するには、その時々の優先順位を明確にしておくことが大切です。子どもの行事、家庭の用事、職場での締切などすべての優先度を高くしてしまうと、心身ともに疲れてしまうでしょう。

優先順位を明確にすると日々のスケジュールに余白ができるため、急なトラブルに対応しやすくなります。全部同じようにやるよりも、今やるべきことに集中するほうが仕事も家庭も効率的に回せます。

仕事も家事育児も完璧を求めない

「子育ても仕事もちゃんとやらなければ」といった思いが強すぎると、自分を追い込んでしまいます。どちらも完璧にこなすのは難しいため、時には妥協しましょう。

家事が多少残っていても、子どもがいつもより遅く寝ても、それだけで育児や家庭がダメになることはありません。できなかったり、助けてほしかったりする旨を素直に伝えることは、仕事でも家事育児でも必要になる立派なスキルです。

人と比べるのではなく、自分なりのやり方で家庭と仕事を両立させることが、安定して働くためのポイントです。

家族の協力を得る

ママが安心して働くには、家族の理解と協力が不可欠です。パートナーが家事や育児を分担するのはもちろん、子どもにもできる範囲でお手伝いをお願いしましょう。

協力を得るためには、なんでも自分一人で頑張りすぎないことが大切です。「この時間が忙しい」「この作業に手が足りない」と具体的に伝えることで、周囲は動きやすくなります。

定期的にスケジュールや役割について話し合い、「共通の目標を持っている」という意識を育てるのも効果的です。チームとして助け合って動ける仕組みを作ると、無理なく両立が可能になります。

必要に応じてサポートサービスを活用する

「家族だけでは回らない」「もう少し余裕が欲しい」というときは、外部のサポートを積極的に活用しましょう。次のようなサービスが考えられます。

  • 家事代行
  • ベビーシッター
  • 一時保育・ファミリーサポート制度
  • 宅配食材 など

こうしたサービスはお金がかかるからと敬遠する人も多いですが、余裕ができることで、家庭の雰囲気がよくなったり仕事への集中力が上がったりと効果は大きいです。

公的支援や自治体の補助が使えるケースもあるので、情報収集をして積極的に活用しましょう。

具体的なサポートサービスと活用のコツ

子育てと仕事の両立を支援するサービスには、公的なものから民間のものまで様々な選択肢があります。

公的支援では、各自治体が運営するファミリーサポートセンター事業が特に有用です。これは地域の子育て経験者が子どもの送迎や一時預かりを行ってくれる制度で、1時間あたり700円~900円程度の手頃な料金で利用できます。また、保育園や幼稚園の一時保育サービスは、冠婚葬祭や通院などの際に利用でき、1日あたり2,000円~4,000円程度で預けることができます。

民間サービスでは、家事代行サービスが働くママの強い味方になります。週1回2時間程度の利用でも、掃除や料理の負担が大幅に軽減され、家族との時間を確保しやすくなります。近年では1時間2,500円程度から利用できるサービスも増えており、以前より手軽になっています。

ママが派遣登録する際の注意点

子育て中のママが派遣登録をする際は、自分の希望条件と派遣会社の対応力が合っているかどうかを慎重に見極めましょう。登録時には、次のような希望を遠慮せず正直に伝えることが大切です。

  • 希望する勤務日数や時間
  • 勤務地
  • 急な休みへの対応
  • 残業の可否

育児中であることを伝えることで、「子どもが急に熱を出したときはどうする」など実際の働き方に関する具体的な対応を確認できます。

派遣会社によっては「子育てママ歓迎」「時短案件多数」と謳っていても、実際にはフルタイム前提だったり、保育園の送迎に間に合わない案件ばかり紹介されたりするケースもあるため注意が必要です。実際に紹介される案件をよく確認し、信頼できる派遣会社で働きましょう

働くママには派遣がおすすめ

派遣社員は契約に基づいた業務範囲や時間で働くため、子育て中のママと相性の良い働き方です。契約にない業務をする必要はなく、決められた時間を超えて働く義務もありません。

アルバイトやパートに比べて時給が高いケースが多いため、効率的に稼ぎやすいのもメリットです。家族の協力を仰ぎ、必要に応じてさまざまなサポートサービスを活用すれば、両立も難しくないでしょう。

派遣登録する際は、希望に合った職場を紹介してくれる派遣会社を選ぶと安心です。