定年を迎えるなどして退職したあと、60代で派遣社員を検討する人は少なくありません。しかし、「60代から派遣として働ける?」「そもそも採用される?」と不安を感じる方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、60代が派遣で働くメリットと派遣会社選びのポイント、採用されやすくなるコツなどを解説していきます。派遣社員として働く際の注意点もまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。

60代からでも派遣で働ける

近年、シニア派遣の分野は広がりを見せており、60代からでも活躍できる求人が増えています。企業側が派遣という形態を選ぶ理由は、必要な期間・時間だけ人材を確保できる柔軟性にありますが、同時に経験豊富な即戦力も求めています。

そのため、60代の長い社会人経験で培った対応力や、安定した勤務姿勢は評価されやすく、若年層にはない強みとして重宝されることも少なくありません。慢性的な人手不足に悩む企業も多く、60代の派遣社員を積極的に受け入れるケースも増えています。

【60代】派遣で働くメリット

60代が派遣社員として働くメリットとしては、定年がない点や3年ルールの対象にならない点などが挙げられます。また、自身のライフスタイルに合わせて、仕事を選びやすいのも利点です。

定年がない

有期契約の派遣社員には、原則として定年が設けられていません。無期契約の場合には派遣会社の定年が適用されますが、契約内容を変更するなどして働き続けることが可能です。

また、派遣は「業務を問題なくこなせるか」「決められた期間・条件で安定して働けるか」といった面が重視されるため、年齢そのものが不利になりにくい傾向があります。実際に、60代以上で派遣社員として活躍し、派遣先企業から評価されている人も多いです。

3年ルールの対象外

派遣には「同一の職場で働けるのは原則3年まで」というルールがありますが、60歳以上の派遣労働者はこの制限の対象外になります。これは、高年齢者の雇用安定を目的とした制度設計によるものです。

そのため、契約が更新されれば、同じ派遣先で長く働き続けることが可能です。定期的な職場変更がなくなると、新しい環境に慣れる負担や人間関係のストレスも軽減されます。

安定した就業を望む60代にとって、3年ルールの対象外である点は、精神的にも大きな安心材料になるでしょう。

体調やライフスタイルに合わせて働ける

60代になると、体調や生活の変化を考慮しながら働きたいと考える人が増えます。その点で派遣は、勤務日数や時間、仕事内容を細かく調整しやすい働き方です。

たとえば、次のような希望がある場合も、派遣会社に相談し、条件に合う案件の紹介を受けることが可能です。

  • 体力が不安なので週3日だけ働きたい
  • 午前中のみ働きたい
  • 通院日を避けたい、など

無理のない条件で仕事を選べるため、体力的な負担を抑えながら継続的に働くことが可能です。また、60歳からは日雇い派遣もできるようになるので、年金の不足分を補う、やってみたかった業種に挑戦してみるといった働き方もできます。

派遣会社選びのポイント

60代が派遣会社を選ぶ際は、以下の点を意識するとよいでしょう。

  • シニア向け求人が豊富
  • サポート体制が充実している
  • 複数の派遣会社に登録する

シニア向け求人が豊富

派遣会社によって得意とする分野は異なり、若年層や専門職向けの求人を中心に取り扱う会社もあれば、シニア層を積極的に受け入れている会社もあります。シニア向け求人が豊富な派遣会社は、年齢に対する理解があり、就業条件の調整にも慣れているのが特徴です。

登録にあたっては、次のような表記が多いかどうかも一つの判断材料になります。

  • 60歳以上も応募可能
  • 年齢不問
  • ミドル・シニア活躍中

無理なく働ける仕事に出会うためにも、シニア向け求人を安定して紹介できる派遣会社を選ぶことが大切です。

サポート体制が充実している

60代から派遣を始める場合は、就業前後のサポート体制がどれだけ整っているかもチェックしておきましょう。たとえば、登録時に丁寧な面談を行い、体調面や希望条件、過去の職歴をしっかり聞いてくれる派遣会社は信頼できます。

就業開始後も、定期的なフォロー連絡や相談窓口があれば、職場での不安・困りごとを一人で抱え込まずに済みます。60代は、従業員が若すぎて社風が合わない、体力的にきつく感じる、といった問題も起こりやすいため、派遣会社が間に入って調整してくれる体制が欠かせません

複数の派遣会社に登録する

前述のとおり、派遣会社ごとに取り扱う求人や取引先企業が異なるため、複数の派遣会社に登録することで、希望条件に合致する求人に出会える確率が大きく高まります。とくに60代向けの求人は数が限られる地域や時期もあるので、複数登録しておくことで「条件に合う仕事が見つからない」という事態を防ぎやすくなります

また、担当者との相性を見極める意味でも、複数社を比較するのは有効です。対応が丁寧か、こちらの希望を尊重してくれるかといった点は、実際にやり取りしてみないと分からない部分でもあります。

60代が派遣の求人で採用されやすくなるコツ

60代が派遣社員として採用されやすくなるためには、自分のスキルを適切にアピールしたり、企業側の不安を取り除いたりする必要があります。

スキルは具体的にアピール

派遣先企業は即戦力を求めているため、職歴の年数よりも、実務で使えるスキルや対応範囲を知りたがっています。たとえば事務職であれば、次のようにできる作業を一つずつ挙げることで、業務のイメージが伝わりやすいです。

  • Wordでの文書作成
  • Excelでの入力・簡単な集計
  • 電話応対や来客対応など

派遣会社との面談では、苦手なことよりも、「問題なくできること」「指示があれば対応できること」を整理して伝えることで、年齢に左右されにくい評価につながります

健康・体力面の懸念を払拭する

60代の求職者に対して、派遣先企業が気にしやすいのが健康や体力面です。そのため、面談時には「無理なく安定して勤務できる」旨を言葉でしっかり伝えることが大切になります。

たとえば、「定期的に通院はしているが、就業に支障はない」「フルタイムは難しいが、週3〜4日であれば問題なく働ける」など、現実的な状況を具体的に説明すると安心感を与えられます。逆に、何も触れずにいると、企業側が不安を抱いたまま選考を進めることになるので注意が必要です。

早期に就業できる旨を伝える

派遣の採用では、「いつから働けるか」が重要な判断材料になります。とくに人手不足の職場では、早期に就業できる人材はそれだけで評価が高まります。

60代の場合、現職を退職して時間に余裕があるケースも多いため、すぐに働ける旨を明確に伝えると採用されやすいです。このほか、就業開始日だけでなく、「長期での勤務が可能」「急な欠員対応にも応じられる」といった情報も、派遣先にとっては大きな安心材料になるでしょう。

60代が派遣社員として働く際の注意点

60代が派遣社員として働く際は、契約更新が約束されていない点に注意しなければなりません。また、働き方や体調によっては、派遣先とミスマッチが起こることもあるため、気をつける必要があります。

必ず契約更新されるわけではない

派遣社員として働く場合、契約が必ず更新されるとは限らない点を理解しておかなければなりません。たとえ勤務態度や業務評価が良好であっても、派遣先企業の部署再編や予算の都合など、本人ではコントロールできない理由で契約が終了することがあります

派遣は「長期雇用が約束された働き方」ではなく、あくまで期間を区切って働く形であることを前提にしておきましょう。

自分のやり方に固執しない

豊富な経験が強みの60代ですが、これまでのやり方に固執してしまうと、派遣先とのミスマッチが生じやすくなります。派遣社員は即戦力として期待される反面、派遣先のルールや手順に沿って業務を行うことが求められます

たとえば、過去の職場では正解だった方法でも、現在の職場では別のやり方が採用されているケースは珍しくありません。その際に、「前はこうしていた」「昔は違った」と主張しすぎると、柔軟性に欠ける印象を与えてしまう可能性があります。

体力的に制約がある仕事も多い

年齢不問の求人でも、実際には体力を要する仕事が含まれていることがあります。たとえば立ち仕事が長時間続く軽作業や、重い物を扱う倉庫業務、スピードを求められるライン作業などは、60代にとって負担が大きくなりやすい分野です。

仕事内容を十分に確認せずに就業すると、「想像以上にきつい」「長く続けられない」と感じる原因になりかねません。応募の際は求人票だけで判断せず、勤務時間、休憩の取り方、作業姿勢などを事前に派遣会社へ確認しておきましょう。

60代も派遣で活躍できる

60歳からでも、派遣社員として働くことは可能で、実際にシニア層で活躍している人も多くいます。派遣の仕事を探す際は、年齢に合った案件を多く取り扱っている派遣会社を選び、複数登録しておくと、希望の職種が見つかりやすくなります。

派遣社員には原則として定年がないため、長く働くことが可能ですが、必ずしも契約更新されるとは限らない点には注意が必要です。