多くの派遣会社では、求職者として登録する際に適性検査(スキルチェック)が行われます。検査といっても、難易度はそれほど高くないことがほとんどです。

しかし、適性検査の結果は求人の紹介に影響するのか、事前に対策しておくべきなのかなど、気になっている方も多いのではないでしょうか。

今回のコラムでは、派遣会社で行われる適性検査の内容について詳しく解説していきます。受ける際の注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

派遣会社で行われる適性検査とは?

適性検査は、派遣会社への登録を希望する方の性格や能力を把握し、以下のようなポイントをチェックするために行われます。

  • 業務を遂行する上で十分なスキルを有しているか
  • 社会人に求められる最低限のマナーを身に付けているか
  • 希望する職種に向いている性格か

派遣会社は派遣先企業と労働者派遣契約を結び、雇用した派遣社員を労働力として提供することで利益を得ています。

派遣会社が紹介した人物のスキルが低い、人間性に問題があるといった理由で戦力として機能しなければ、派遣先企業からの信頼を失ってしまいます。最悪の場合、契約を打ち切られてしまうケースもあるでしょう。

派遣先企業から安定した利益を得るため、派遣会社は派遣先企業に問題なく適応できる人材を求めています。派遣会社は適性検査を通して、契約期間を満了するまで活躍してくれる、安心して送り出せる人材を見極めているのです。

派遣会社で行われる適性検査の内容

派遣会社によって異なりますが、適性検査は以下のような内容であることが一般的です。

  • 性格診断
  • 能力テスト
  • 実技テスト
  • 身体検査

性格診断

性格診断は、その名の通り登録者の性格や人格、情緒を見極めるもの。はい、いいえの二択、あるいは以下のように段階的に設けられた選択肢の中から回答することが一般的です。

  • 当てはまる
  • おおむね当てはまる
  • どちらともいえない
  • おおむね当てはまらない
  • 当てはまらない

性格診断を通して、派遣会社は登録者が社会人に求められる最低限の社会性やストレス耐性を有しているかを判断しています。紹介した人材がストレスに耐えられずすぐに離職してしまうと、派遣先企業に迷惑をかけてしまうためです。

適性検査の中でも比較的幅広い業種において実施される性格診断ですが、回答する上で注意したいポイントがあります。詳しくはこの後解説していきます。

能力テスト

社会人として最低限身に付けておくべき学力や能力を有しているかをチェックするために行われるのが、能力テストです。具体的な出題内容として、以下の5点が挙げられます。

  • 四則演算
  • 漢字の読み書き
  • 時事問題
  • タイピング
  • ビジネスマナー

既に社会人として活躍している方にとっては、事前に特別な対策をしなくても簡単に答えられる難易度の問題がほとんどです。

社会経験が浅い方は、インターネットや書籍を通して言葉遣いや身だしなみ、電話応対のやり方など最低限のビジネスマナーを学んでおくと良いかもしれません。

実技テスト

実技テストの内容は、希望する職種によって異なります。例えば、コールセンターでの勤務を目指す方は電話応対を、研究職を志す方は実験器具の使用方法を正しく理解しているかを問われることが多いです。

登録者が派遣先企業で即戦力として活躍できるかどうかを見極める実技テスト。経験者であれば問題なく突破できる可能性が高いですが、未経験で応募する方は事前に対策が必要になるでしょう。

身体検査

登録者の健康状態に問題があると、せっかく派遣先企業に採用されても長く勤務することが難しくなってしまう可能性が高いです。派遣した登録者が健康面の理由で簡単に離職すると、派遣会社は派遣先企業からの信頼を失ってしまうでしょう。

以下のような検査を通して、登録者が派遣社員として健康に働ける人材であるかどうかを判断します。

  • 握力測定
  • 視力測定
  • 色別検査

なお、精密な部品の組み立て作業のように高い視力が求められる職種の場合、矯正視力が一定の数値に達していないと求人を紹介してもらえない可能性があるため注意が必要です。

派遣会社の性格診断における注意点

ほとんどの派遣会社の適性検査で実施される性格診断ですが、回答する際には以下のようなポイントに気を付けるべきです。

  • 正直に回答する
  • はっきりとした回答を心がける

正直に回答する

派遣会社に登録する方の中には、印象を良くして派遣会社からの評価をアップさせるため、直感的に浮かんだ選択肢を変更したいと考える方もいるかもしれません。しかし、性格診断では正直に回答することが鉄則。嘘の回答をすると簡単にばれてしまいます。

派遣会社で実施される性格診断は問題数が100問以上に及び、30分近くかけて回答するケースがほとんど。微妙に表現を変えた、ほぼ同じ内容の質問が繰り返されることも珍しくありません。従って、嘘の回答を織り交ぜながら矛盾なく回答することは難しいです。

加えて、嘘を交えて回答すると、実際とは異なる性格であるという誤った評価を受けてしまいます。自身に合っていない求人を紹介される可能性が高く、採用されてもなじめなかったり、自分を偽って過ごすことを強いられたりしてしまうでしょう。

良い印象を与えようと背伸びするのではなく、自分の直感に従って正直に回答することが望ましいです。

はっきりとした回答を心がける

先述した通り、性格診断では段階的な選択肢の中からの回答を求められる質問も少なくありません。「どちらともいえない」「どちらかといえば当てはまる」というような曖昧な回答を多用しすぎることは避けましょう。

曖昧な回答が多いと、優柔不断、意志が弱いというように判断される可能性があります。ぱっと思い浮かんだ答えを信じてはっきりと回答することも大切です。

  • 相手に勝つことにこだわる
  • 感情的になりやすい
  • 少しのストレスにも耐えられない

とはいえ、上記のような極端な問いに対して無理に「全く当てはまらない」「とても当てはまる」といったはっきりとした選択肢で答える必要はありません。あくまで正直に回答することを意識しましょう。

派遣会社の適性検査に事前対策は必要?

お伝えしているように、派遣会社で行われる適性検査の難易度はそれほど高くありません。しかし、希望する職種や自身の経験によっては、事前に対策しておく方が安心な場合もあります。

まずは、派遣会社の求人検索を用いて、希望する職種の応募資格や条件をチェックしましょう。細かな内容は求人によって異なりますが、複数の求人を確認することで最低限必要とされるスキルが見えてくるはずです。

適性検査では各職種にとって基本となるスキルの有無を確認するため、出題される内容を大まかに予測することができるでしょう。

希望の職種に就く上で求められるスキルの中で自分に足りないものがあれば、適性検査を受ける前に身に付けておくと良いでしょう。具体的には、無料のタイピングソフトを使って練習する、参考書を購入してExcelやWordの使い方を学ぶといった方法が挙げられます。

【業種別】適性検査の特徴

前述した通り、適性検査の内容は希望する職種によって異なります

軽作業や製造業の場合は、パソコン操作や事務処理を必要としない業務も多いため、適正検査を受検せずに求人の紹介を受けられるケースも少なくありません。

一方で、事務職やコールセンター業務では社会人として恥ずかしくないレベルのビジネスマナーを把握しているか、正しくパソコンを操作できるかを厳しく問われる傾向にあります。

職種特有のスキルが求められるケースでは、ビジネスマナーやExcel操作といった一般的なスキルの他に、以下のような検査が行われることが多いです。

・外資系企業→TOEICスコアシートの提出・英語の筆記試験や面接
・経理事務→簿記の能力が必要な計算問題

エンジニアや研究職といった専門性の高い職種の場合、適性検査だけでは正確な能力を把握することが難しいです。そのため、適性検査は実施せず、スキルシートの記入のみを求められることもあります。

内容を事前に予測して適性検査に臨もう

派遣会社で実施される適性検査は、基本的に対策を必要としないケースがほとんどです。しかし、希望する職種や経験の有無によっては、事前にスキルを身に付けておかなければならない場合もあります。

派遣会社への登録を検討している方は、適性検査を想定して自分の現状を見つめ直し、必要に応じて対策して自信を持って臨みましょう。