転職活動中は何社にも応募することがありますが、2社以上から内定を得た場合どうすればよいのでしょうか。「内定は辞退できる?」「辞退しても大丈夫?」と心配になると思いますが、きちんと対応すればトラブルに発展することはほぼありません。

この記事では、内定後に辞退するタイミングと、辞退によるトラブルを避ける方法を解説しています。ぜひ最後までご覧いただき、転職活動の参考にしてください。

転職の内定は辞退できる

結論から申し上げると、内定は辞退することが可能です。内定を獲得すると内定通知書が届きますが、記載された待遇や条件を確認して、内定承諾書を提出するまでは労働契約は成立しません。

転職時には何社にも応募していることが多く、1社から内定を得たあとに別の企業から内定を獲得することもあるでしょう。「内定をもらったものの働きたくない」「家庭の事情で働けなくなった」など、さまざまな理由で内定を辞退することも考えられます。

ただし、「内定承諾書提出後」「入社直前」など、辞退するタイミングによってはトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。辞退する場合は、内定が出てからなるべく早く伝える必要がありますが、迷っているなら内定承諾書の提出を待ってもらうよう頼んでみましょう。

内定辞退のタイミングと注意点

内定を獲得したものの、止むを得ない事情で辞退する場合には、相手の負担を増やさないように早いタイミングで申し出てください。辞退することによるリスクも考え、慎重に行動しましょう。

内定辞退のタイミング

内定を辞退する場合は、内定がわかったらなるべく早く伝えることが大切です。企業は無限に人材を採用するわけではないので、内定を出したあなたの返事待ちで採用選考をストップしているケースがあります。

そのため、いつまでも内定者が入社するのかわからなければ選考を再開することができず、会社に迷惑をかけかねません。できれば、入社する意思を示す「内定承諾書」を提出する前に辞退する旨を伝えましょう。

訴訟トラブルになる可能性に注意

内定承諾書の提出後に辞退する場合は、決して多くないものの訴訟トラブルになる可能性があるので注意が必要です。

「内定承諾書を提出した」というだけで大きなトラブルになることは考えにくいものの、「入社の数日前」「入社前研修の費用を会社が負担している」といった場合には、補償や返金を求められるケースもあります。辞退する際には先方とコミュニケーションをとり、円満に辞退できるよう気を配りましょう。

辞退した会社への再就職は困難

一度内定を辞退してしまえば、同じ会社に再就職するのは困難になります。そのため、入社できない理由をよく考え、慎重に決める必要があるでしょう。

相手からオファーを受けた場合であっても、内定の辞退はネガティブな印象を残すほか、少なからず相手に損害を与えるため、今後のことを考え後悔しないように決断してください。

転職時の内定辞退でトラブルを避ける方法

内定を辞退する際は、ネガティブな印象や損害を相手に与えると、トラブルになりかねません。

以下、内定の辞退でトラブルを避ける方法を解説します。

  • 内定承諾書の提出前によく検討する
  • 入社前研修への参加は慎重に考える
  • 辞退の理由は誠意をもって正直に伝える
  • 転職エージェントを活用する

内定承諾書の提出前によく検討する

採用されると内定通知書が届いて内定承諾書の提出を求められますが、承諾してからの内定辞退はさまざまなリスクがあるため、提出する前によく検討しましょう。

内定通知書には、労働面での待遇や条件が記載されているのでしっかり確認してください。内定承諾書の提出後にも辞退することが可能ですが、会社に与える損害によってはトラブルになる可能性があります。

入社前研修への参加は慎重に考える

入社前には研修が行われることがありますが、この研修や資格取得にかかる費用が会社持ちの場合、内定辞退後に返金を要求されることがあります。

入社前研修は内定承諾書の提出後に行われることが多いですが、研修をして行く中で嫌になってしまうことはあるでしょう。どうしても働けないと思った場合は、理由を上司にきちんと話して辞退する旨を伝えましょう。

辞退の理由は誠意をもって正直に伝える

辞退するときには、必ず理由を伝えましょう。その際、嘘をついたりごまかしたりするのではなく、正直に伝えてください。

内定を辞退するやむを得ない理由には、以下のようなものが考えられます。

  • 家業を継ぐことになった
  • 病気で療養が必要になった
  • 業務内容が事前の話と大きく異なった 

どんな理由であれ、誠意を持って丁寧に先方に伝えることで、悪い印象を与えずに済みます。ただし、「他の会社の方が給料が高い」といった、相手への不満を伝えるような内容であれば言わない方が賢明です。

今後仕事をして行く中で、取引先や関連会社として関わる可能性があることも念頭に置いておきましょう。

転職エージェントを活用する

転職エージェントを利用すると、就活におけるさまざまなサポートをしてくれ、面接の日程調整や待遇交渉はもちろん、内定を辞退する際にも代行してくれるので安心です。エージェント経由で応募した場合は、直接企業に連絡するのではなく、転職エージェント経由で辞退の連絡をしてください。

転職エージェント経由でも、内定承諾書の提出後や入社直前の辞退はトラブルになることがあるので、なるべく早く担当者に相談しましょう。

内定辞退のマナー

内定を辞退する際には、「採用への感謝」「辞退することへの謝罪」をきちんと伝えてください。基本的には電話で伝えますが、場合によってはメールでも問題ありません。以下、それぞれの注意点と例文を紹介します。

電話で内定辞退の連絡をする場合

電話で辞退の連絡をする場合は、出社、退勤時間の間際を避け、相手が対応できる時間帯を選んで電話します。採用担当者が不在の場合は伝言で済まさず、対応可能な時間を確認して折り返すようにしてください。

【内定辞退:電話の内容例】

お世話になっております。内定をいただきました〇〇と申します。

〇〇様(採用担当者)はご在席でしょうか?

この度は、内定をいただきまして誠にありがとうございます。

恐れ入りますが、この度の内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。

他社からも内定をいただきまして、非常に悩みましたが、私自身の将来と適性について真摯に考え、他社への入社を決意いたしました。

本来ならば直接お詫びに伺うべきところ、お電話でご連絡を差し上げ申し訳ございません。 御社にはご迷惑をおかけし誠に恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。

メールで内定辞退の連絡をする場合

担当者と連絡がつかない場合はメールで連絡しますが、きちんと目を通してもらえるよう、「件名」は内容がわかるように書いてください。

【内定辞退:メールの内容例】

 

件名:内定辞退のご連絡(氏名)

本文:株式会社△△ 人事部〇〇様

お世話になっております。内定をいただきました〇〇です。

お電話させていただきましたが、ご不在でしたのでメールにて失礼いたします。

この度は、内定をいただき誠にありがとうございます。

誠に恐縮ですが、頂戴した内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。

面接、選考などにお時間を割いていただいたにもかかわらず、このようなお返事となり、心苦しい限りでございます。

本来ならば直接お詫びに伺うべきところ、メールでのご連絡となりますこと何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

〇〇様をはじめ、皆さまには心より感謝しております。

末筆ながら、貴社のさらなる発展をお祈り申し上げます。

転職時の内定辞退はタイミングが大切

転職時には、内定を得たあとにさまざまな理由で辞退することが考えられますが、タイミングによってはトラブルになるので注意しましょう。なるべく内定承諾書を提出する前に辞退の申し出をし、相手にかける迷惑や与える損害を最小限に抑えることが大切です。

必ず電話やメールで辞退の旨を伝え、お礼と謝罪の気持ちを丁寧に伝えれば、トラブルに発展する可能性は低いでしょう。