工場や医療現場など、24時間体制で稼働している職場では夜勤で働く機会があります。しかし、夜勤が続くと生活リズムが乱れてしまい、体調を崩しやすくなってしまうでしょう。

「仕事中に眠くなって辛い」「疲れているのに昼間に十分な睡眠が確保できない」など、悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。

今回のコラムでは、夜勤の際に生活リズムを整える方法をご紹介します。夜勤のある仕事に就こうと考えている人や、現在夜勤のある仕事に就いている人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

夜勤は健康への悪影響を及ぼす可能性がある

夜勤を続けていると、生活リズムが崩れることで健康へ様々な悪影響を及ぼす可能性があります。夜勤が身体に悪いといわれているのは、以下の健康リスクがあるためです。

  • 生活習慣病になりやすい
  • 睡眠障害になりやすい
  • 事故を起こしやすい

生活習慣病になりやすい

夜勤をしていると、太りやすい深夜帯に食事を摂ることが多くなってしまい、生活習慣病になりやすいといわれています。特に、エネルギーを確保するために、高カロリーの食事を摂りたくなる人が多く、メタボリック症候群や糖尿病のリスクが高まるでしょう。

夜勤は発がん性のリスクを高めるともいわれています。これは様々な調査で繰り返し報告されており、例えば夜勤に従事する女性看護師を対象に調査を行った結果、非従事者と比較して乳がんの発生リスクは約1.5倍になるそうです。

睡眠障害になりやすい

夜勤と日勤を交互に行っている人は、睡眠障害になりやすいです。シフト制で夜勤と日勤が入れ替わることで、毎日同じ時間に眠ることができないと、睡眠時間が不規則になります。

睡眠時間が不規則になることで睡眠障害を起こし、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりして十分な睡眠時間を確保できなくなってしまうでしょう。軽度であれば自力で克服することも可能ですが、中には睡眠導入剤などに頼らないと眠りにつけないという人もいるようです。

事故を起こしやすい

夜勤中、睡魔に襲われてついウトウトしてしまうと災害を起こしてしまうリスクがあります。日中に十分な睡眠を確保できていたとしても、本来人間が眠っている時間である深夜帯は急に睡魔が襲ってくることも珍しくありません。

仕事中だけでなく、退勤時も注意が必要です。車で通勤している場合、夜勤明けも車を運転して自宅まで帰らなければなりません。夜勤明けに運転をしていると、途中で睡魔に襲われ居眠り運転をして事故を起こしてしまうというケースはよくみられます。

夜勤で生活リズムを整えるための対処法4選

健康を保ちながら夜勤を続けていくためには、生活リズムを整えることが最も重要です。夜勤で生活リズムを整えるために、以下のポイントを意識しましょう。

  • 夜勤前の生活を見直す
  • 適度な運動を取り入れて睡眠の質を上げる
  • 食生活を見直す
  • お風呂の入り方を見直す

夜勤前の生活を見直す

夜勤の生活リズムを整えようとすると、夜勤中の過ごし方にばかり意識が向いてしまいますが、夜勤の前日から生活リズムを考えて過ごすことが大切です。日勤から夜勤に切り替わるタイミングは、1日以上休みになることが多いため休日の過ごし方や就寝するタイミングを見直してみましょう。

いつもと同じ過ごし方をしていては、身体は日中活動するときと同じリズムで夜勤を迎えようとします。あらかじめ夜勤と同じような生活をすることで、身体がリズムを切り替えた状態で夜勤に臨めるでしょう。

適度な運動を取り入れて睡眠の質を上げる

夜勤で生活リズムを整えるために最も大切なのは睡眠です。十分な睡眠が取れないと仕事中に眠くなり集中力が低下したり、夜勤が終わったあとにすぐに眠りについて昼間の変な時間に起きてしまったりと、全てのリズムが崩れます。

日中、深い眠りにつくことができないという人は適度な運動を取り入れて身体に多少負荷をかけてみてはいかがでしょうか。適度な疲れがあることで、日中であっても深い眠りにつけるようになるかもしれません。仕事から帰ってきてすぐに寝てしまうと変な時間に起きてしまいますが、仕事終わりに運動することで就寝時間をコントロールし、適切なタイミングで眠りにつくことができます。

遮光カーテンやアイマスクを使用して、部屋を完全に暗い状態にすることもおすすめです。睡眠の質を上げるためにできることを一つずつ取り入れてみましょう。

食生活を見直す

生活リズムを整える上では、食生活を見直すことも大切です。夜勤中は食事の時間が不規則になったり、栄養バランスが偏ってしまったりと食生活が乱れやすい傾向にあります。食事を摂る時間を決めて、深夜帯はなるべくカロリーを控える、食事後すぐに寝ないなど自分の中でルールを作りましょう。

食事の栄養バランスを見直すことも大切です。勤務後の食事では糖質の摂りすぎに注意しましょう。糖質を多く摂ってしまうと、血糖値が上がるため深い眠りができなくなります。反対に、夜勤前の食事ではしっかり炭水化物を摂り、脳が速やかに栄養を吸収できるようにしましょう。

お風呂の入り方を見直す

質の良い睡眠をとるためには、お風呂の温度やタイミングなどを見直すことも大切です。深い眠りにつくためには、睡眠時間の1~2時間前に、あまり熱くない40℃程度の湯船にゆっくり浸かることがおすすめです。

深い眠りにつくために大切なのは、身体の深部温度をグッと下げることです。お風呂にゆったり入ることで、身体の芯までじっくり温め、そこからだんだん深部温度が下がってくるときに深い眠りにつくことができます。つまり、入浴して体温を上昇させることで、体温が下がりやすい状態を意図的に作ってあげるということです。

ぬるめのお湯にゆっくり入ることで身体を芯から温めて、深い眠りにつけるようにしましょう。

夜勤中の生活でNGな行動

夜勤で生活リズムを整えるために、自己流の取り組みをしているという人もいるかもしれません。しかし、以下のような行動は逆効果となってしまうため注意しましょう。

  • 睡眠のためにお酒を飲む
  • 睡眠直前に電子機器を操作する
  • 食事を減らす

睡眠のためにお酒を飲む

アルコールを飲むと脳に鎮静効果がもたらされるため、眠くなります。そのため、夜勤明けの寝つきが悪いという理由で、お酒を飲んでから眠りにつくという生活を送っている人もいるのではないでしょうか。

しかし、良質な睡眠を確保するためにはアルコールを摂取することは逆効果です。寝つきは良くなるかもしれませんが、眠りが浅くなったり、中途覚醒を増加させたりと、結果として睡眠の質が低下してしまいます。たまにお酒をたしなむ程度であれば問題ありませんが、常習的に飲酒している人は注意が必要です。

睡眠直前に電子機器を操作する

睡眠直前にパソコンやスマートフォンなどの電子機器を操作をすることはおすすめできません。電子機器のディスプレイから発せられる光には、ブルーライトが含まれており、メラトニンの分泌が抑制されて眠れなくなります。

布団に入ってから眠くなるまでスマートフォンを操作して暇つぶしをしているという人は多くいますが、睡眠の質が特に大切な夜勤のときは、なるべく控えるようにしましょう。就寝する1時間前には操作をやめることが望ましいとされています。

食事を減らす

夜勤をしていると、深夜帯にご飯休憩の時間がありますが、高カロリーの食事を摂ってしまうと肥満の原因になってしまいます。しかし、食事を抜くこともおすすめできません。

食事を抜いてしまうと、集中力が低下したり力が出なくなったりして、仕事に支障をきたす可能性があります。さらに、1食抜いたことで仕事終わりの食事量が増えてしまうと、それこそ肥満の原因になってしまいます。

食事を抜くのではなく、腹八分目程度の軽食で、タンパク質を多く含むメニューを摂るように意識しましょう。糖質を多く含む食事は疲労感や眠気に繋がるため、少量に抑えることがポイントです。

夜勤が辛いと感じたら

夜勤を続けていても体が慣れず、このまま続けていくことが辛いと感じることもあるでしょう。夜勤が辛いと感じたら、次のような対処法があります。

  • 日勤専従を申し出る
  • 部署異動を申し出る
  • 転職する

まずは、今の職場で夜勤が辛いことを上司に相談してみましょう。夜勤が向いていないと感じるのであれば、日勤専従を申し出ることでシフトの変更や配置の転換などの対処をしてくれる可能性があります。

もし、今の部署で日勤専従の仕事に就くことが難しければ、夜勤のない部署への異動を希望することも選択の1つです。それでも会社が対処してくれなければ、思い切って夜勤のない仕事に転職してみましょう。

無理をして夜勤を続けていると、心身ともに疲弊して何らかの病気を発症してしまうリスクが高まります。健康的な生活を送るためにも、夜勤を続けていくことが難しいと考えたら早めに行動することをおすすめします。

夜勤の生活リズムを整えて健康的な生活を

夜勤の生活リズムについて詳しく解説してきました。生活リズムが乱れてしまうと、仕事に集中できないだけでなく、心身ともに重大な健康被害を受ける可能性が高まります。

生活リズムを整える方法を実践して、夜勤をしていても健康的な生活を送れるように改善しましょう。しかし、夜勤には向き・不向きがあるため、向いていないと感じたら早めに行動を起こすことが大切です。