年齢が上がるにつれ、「派遣社員は何歳まで働ける?」「60代からでも大丈夫?」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、派遣社員として働ける年齢と、シニア層が派遣で働くメリット・デメリットについて解説していきます。派遣の仕事が見つけやすくなるコツもまとめているので、あわせてご覧ください。
派遣社員として働けるのは何歳まで?

派遣社員には、原則として、定年や年齢制限がありません。60代以上の年齢でも、派遣登録や就業することが可能で、定年退職後の再就職手段として派遣を選ぶ人も増えています。
ただし、年齢による体力やスキルの差、最新ツールへの対応力などが懸念されることが多く、実際の求人では30代〜40代を中心とした案件が大半です。そのため、50代以降になると紹介数は減りますが、豊富な経験や専門スキルがある方、業務に慣れている方などは、仕事が見つかりやすい傾向にあります。
シニア層が派遣で働くメリット

シニア層が、派遣として働くメリットは以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経験が活かせる
シニア世代にとって、長年積み上げてきた知識や職務経験は、最大の強みです。派遣社員として働く際も、即戦力として重宝されるケースが多くあります。
企業側も「若手の育成役」や「繁忙期の戦力」としてシニア人材に高い期待を寄せており、とくに、現場感覚や判断力を必要とする業務で評価されやすいです。年齢よりも、スキルや人柄を重視する現場もあり、キャリアの延長線として活躍できる選択肢になります。
3年ルールの対象外
労働者派遣法には、同一の派遣先で働けるのは原則3年までという「3年ルール」が存在しますが、これは60歳以上の派遣社員には適用されません。そのため、60歳を超えた派遣社員は、同じ職場・同じ業務で3年を超えて働き続けることが可能です。
この制度により、派遣先企業も安心してシニア層を受け入れることができ、労使双方にとって長期的に安定した就業が実現しやすくなります。とくに、定年後も働きたいと考えている人にとって、期間制限がないのは非常に大きなメリットです。
基本的に定年がない
派遣社員には、明確な「定年」が設定されていないことが多く、年齢の上限で退職を求められるケースはまれです。もちろん、体力や就業条件による制約はあるものの、本人が希望し、企業との条件が合えば70代でも派遣社員として働くことは可能です。
近年ではシニア歓迎の派遣求人も増えており、さまざまな職種で、体力に応じた働き方が選べます。定年後にもう一度活躍したい人にとって、派遣は、年齢に縛られない再スタートの場といえるでしょう。
シニア層が派遣で働くデメリット

シニア層が、派遣として働くデメリットも確認しておきましょう。
すぐに仕事が見つからないこともある
派遣に年齢制限がないとはいえ、実際の求人紹介では年齢に応じたミスマッチが発生しやすく、すぐに仕事が見つからないことがあります。とくに60代以降になると、以下のような職場では敬遠されがちです。
- PCスキルが必須
- 若い社員との連携が必要
- 一定の体力が求められる
また、長年正社員として活躍していた人では、派遣の仕事内容に物足りなさを感じたり、希望条件に見合う仕事が少なかったりするケースも少なくありません。このほか、派遣会社によってはシニア向けの求人を扱っていない可能性もあるので、注意が必要です。
未経験の仕事には就きにくい
派遣社員は、年齢よりも、経験の有無やスキルが重視される傾向にあるため、未経験の職種に就くのは難しいかもしれません。一般的に、派遣は即戦力を求められ、短期契約で成果を出すことが前提になっているため、育成コストをかけにくいのが企業側の本音です。
たとえば、IT関連や貿易事務、医療事務といった専門職では、実務経験がないと紹介対象にならないこともあります。年齢に関係なく、未経験から始めたい場合は、まずは職業訓練や資格取得などの準備をしてから応募するとよいでしょう。
働きすぎると年金が減る
60歳以降の方が働く場合、働きすぎると受け取れる年金額に影響が出ることがあります。とくに注意したいのが「在職老齢年金制度」で、これは厚生年金を受給している人が一定以上の給与を得ていると、年金が減額される仕組みです。
たとえば、賃金と年金の合計が51万円を超えると、超えた分に応じて年金の支給がカットされます。そのため、高時給案件やフルタイム勤務を選ぶと、「働いた分だけ損をする」と感じることもあるでしょう。
この制度については現在、政府や経済界から見直しや将来的な廃止を求める声が上がっており、厚生労働省でも基準額の引き上げや制度の見直しが検討されています。しかし、具体的な廃止時期は決まっておらず、当面は現行制度が継続される見込みです。働く際は最新の制度内容を確認し、年金と給与のバランスを考慮した働き方を選択することが大切です。※2025年6月時点
派遣の仕事が見つかりやすくなるコツ

シニア層は、以下の点を意識することで、派遣の仕事が見つかりやすくなります。
希望条件をしぼりすぎない
派遣の仕事を探す際、「絶対に土日休み」「時給は最低○○円」「自宅から30分以内」など、条件を細かく設定しすぎると、紹介される案件が極端に少なくなる可能性があります。もちろん譲れない条件はあるでしょうが、すべてを満たす求人は少ないため、条件に優先順位をつけることが大切です。
せっかく派遣に登録しても、紹介されなければ就業できないため、条件を緩め、まずは働いてみるといった姿勢も重要です。
派遣の担当者と良好な関係性を築く
派遣での仕事探しでは、担当者との信頼関係が、仕事紹介の質とスピードを左右します。担当者は、求職者の希望や性格、スキルを総合的に見て最適な案件を紹介するため、しっかりコミュニケーションをとりましょう。
また、面談では、自分の経験や希望条件を正直に伝えつつ、「少し条件が合わなくても挑戦する」「学ぶ姿勢がある」といった気持ちを伝えると、より積極的に案件を紹介してもらえる可能性があります。
人柄や対応力もスキルの一部と見られるため、メールや電話のレスポンスを早めに返したり、定期的に近況を報告したりするなど、小さな積み重ねが信頼につながります。
複数の求人に応募する
仕事探しのチャンスを広げるには、1件にこだわらず、同時に複数の求人に応募しておくことが有効です。派遣の求人は、すぐにクローズされるケースも多く、1つの案件に絞っていると機会を逃しかねません。
また、派遣会社によって保有している案件が異なるため、複数の派遣会社に登録して同時進行で求人情報を受け取るのもおすすめです。ただし、同じ求人に複数の派遣会社経由で応募するとトラブルになることがあるため、管理には十分な注意が必要です。
シニア層が派遣先で活躍するためには

シニア層が派遣社員として活躍するためには、実績のある派遣会社を選ぶほか、仕事への取り組み方が重要です。
シニア層に特化した派遣会社を選ぶ
まず、年齢に理解があり、60代以上の就業実績が豊富な派遣会社を選ぶことが大切です。一般的な派遣会社では、40代までの案件を中心に扱っているケースが多く、60歳以降の求人が極端に少ない場合があります。
これに対して、シニア専門の派遣会社や、シニア歓迎の求人を多く取り扱う会社なら、次のように、年齢やライフスタイルに合った仕事を見つけやすいです。
- 体力に無理のない業務
- 週2〜3日の勤務
- 経験を活かせる職種
シニア層向けの派遣会社から紹介される就業先では、ミスマッチが起きにくく、無理のない範囲で能力を発揮できるでしょう。
派遣先の業務に素直に取り組む
シニア世代が派遣先で信頼され、長く活躍していくためには、「素直さ」と「柔軟さ」がポイントになります。豊富な経験は大きな強みですが、同時に、自分のやり方にこだわりすぎないことも重要です。
派遣先の企業文化や業務フローを謙虚に学び、指示を素直に受け入れる姿勢があれば、年齢を超えて職場に溶け込みやすくなります。また、若い社員と協力して動く場面では、過去の経歴を押し出すのではなく、サポートの役割を意識すると信頼されやすいです。
年齢に関係なく、「一緒に働きたい」と思われる存在になることが、派遣先で活躍する最大のポイントです。
派遣は何歳でも働ける
派遣社員には原則として定年がないため、就業先と条件が合えば、何歳まででも働くことが可能です。ただし、若い世代に比べて求人が少ないため、仕事を見つけるのが難しい場合もあります。
スムーズに派遣先を見つけるためには、派遣会社の担当者と良好な関係を築くほか、条件を絞りすぎない、複数の求人に応募するなどの工夫が大切です。また、シニア向けの案件に特化した派遣会社を選べば、ミスマッチを防ぎやすくなります。