派遣社員として働くときに、「実際にいくらもらえるんだろう?」と気になる人は多いのではないでしょうか。求人には時給が掲載されていますが、保険料などが差し引かれれば、実際手元に残る金額は変わります。

そこで今回のコラムでは、派遣社員が知っておきたい給料と「手取り」について解説していきます。収入をアップさせる方法もまとめているので、ぜひ最後までチェックしてください。

派遣社員の「手取り」とは

手取りとは、会社が支払う給料の総額から各種税金や社会保険料が差し引かれ、実際に従業員が受け取る金額のことを指します。一般的に、給料からは以下のものが差し引かれます。

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 所得税

実際に引かれる額は社会保険の加入状況や給料の総額によって変わるので、給料明細などで確認しておきましょう。

正社員の場合は住民税も控除されるケースが一般的ですが、派遣社員の給料からは差し引かれない場合が多いです。そのため、住民税は必要に応じて自分で納税します。

手取りと額面の違い

派遣社員の給与明細には「額面(支給額)」と「手取り額」が記載されていますが、実際に受け取れるのは手取り額です。

額面は会社が派遣社員に対して支払う給料の総額で、社会保険料や税金などが差し引かれる前の金額です。派遣社員も正社員と同じように社会保険料などが控除されるため、手取りは額面よりも少なくなります

社会保険に加入すると控除額が増えるため、「思ったより少ない」と感じることもあるでしょう。

手取り額の計算例

時給1,500円で1日8時間、月20日勤務する派遣社員の場合、額面は1,500円×8時間×20日=240,000円になります。しかし、ここから各種控除が引かれるため、手取りは一定額減ります。社会保険に加入している場合、控除の目安は以下の通りです。

  • 健康保険料:11,976円
  • 厚生年金保険料:21,960円
  • 雇用保険料:1,440円
  • 所得税:4,383円

これらを合計すると控除額は39,759円になり、手取り額が算出できます。

240,000円(額面)−39,759円(控除額)=200,241円(手取り額)

所得税は概算になるため、本来の納税額より多く支払っていれば年末調整で還付されます。

派遣の給料の気になるポイント

派遣社員として働くうえでは、給料日やボーナスなども気になるところ。働き方を選べるよう、正社員との違いなども知っておきましょう。

給料が支払われるタイミング

派遣社員は派遣会社と契約を結んでいるため、派遣会社のスケジュールに従って給料が支払われます。派遣会社によって「月末締め・翌月15日払い」や「月末締め・翌月25日払い」など、さまざまですが、締日の2〜4週間後に支給されるケースが一般的です。

派遣先企業の給料日とは異なる場合があるので、間違えないようにしましょう。中には日払いや週払いに対応している派遣会社もあって、細かくお金が必要な場合には便利です。ただし、日払いのたびに手数料が発生したり、回数が制限されていたりすることがあるので注意してください。

ボーナスはもらえる?

派遣社員には、基本的にボーナス(賞与)は支給されません。正社員は会社の業績や個人の評価に応じて賞与が支払われることがありますが、派遣社員の給料は業績の良し悪しにかかわらず、時間給として設定されるのが一般的です。

ただし、派遣社員の給料には交通費や手当が含まれており、賞与が加算されているケースもあります。派遣先での直接雇用を見据えた「紹介予定派遣」や、派遣元の正社員や契約社員として働く「常用型派遣」の場合は、企業の規定に沿ってボーナスの対象になります。

正社員の給料の差

派遣社員の給料は、月給ベースで見ると正社員よりも高くなることが多いです。たとえば、同じ1日8時間・月20日勤務した場合、月給の額面は以下のとおりです。

  • 時給1,500円の派遣社員:24万円
  • 固定給20万円の正社員:20万

しかし、正社員にはボーナス、昇給、各種手当があり、長期的に見ると派遣社員よりも収入が安定しやすくなります。短期間で高い収入を得たい場合には派遣が有利ですが、長期的なキャリアを考えると、正社員により大きいメリットがあるかもしれません

派遣の時給は地域や職種で差がある

派遣社員の時給は、勤務地や職種によって差があり、とくに都市部と地方とでは時給の差が大きくなります。地方の時給は、東京や大阪などの大都市圏に比べて低くなりがちです。

一般的に、賃金は物価や景気、企業の人件費の考え方に影響を受けるため、生活費が大きくなる都市部の方が高時給になります。以下のように、職種による時給の違いも顕著です。

  • 時給が低め:一般事務や軽作業、コールセンター など
  • 時給が高め:ITエンジニアや、専門資格を持つ経理事務 など

東京都内のITエンジニアであれば時給2,000円を超えることもありますが、地方の一般事務職では時給1,200円程度の求人も珍しくありません。

派遣スタッフとして働く際は、勤務地や職種の相場を確認し、自分のスキル、生活スタイルに合った求人を選ぶことが重要です。

派遣社員が収入をアップさせる方法

派遣社員は、正社員に比べて昇給しにくいものの、収入を上げることは可能です。自分に合った方法で、収入アップを目指しましょう。

スキルアップをする

派遣社員として収入を増やすためには、スキルアップが効果的な方法です。専門性の高いスキルや資格を獲得することで、高時給の仕事に就ける可能性が高まります

事務職であれば、ITパスポートや日商簿記の上級資格があると、時給が上がる確率が高くなるでしょう。プログラミングやWebデザインなどのIT関連スキルは需要が高く、高時給案件も多いため、オンライン講座など活用してスキルアップを図るのもおすすめです。

語学力がある場合は、翻訳や外資系企業での仕事も視野に入れるなど、業種やキャリアパスに合わせたスキルを身につけることが大切です。

夜勤がある仕事をする

手っ取り早く収入アップを狙うなら、次のように、夜勤のある仕事が有効です。

  • コールセンターの夜間対応
  • 工場・物流センターの夜間勤務
  • 病院や商業施設の夜間警備 など

夜勤は深夜手当が付くため、時給が最低でも1.25倍になります。時給1,500円であれば、深夜22時〜翌5時の間は1,875円。日勤と同じ労働時間でも、効率よく稼ぐことが可能です。

ただし、日勤に比べて体力的な負担が大きくなるため、生活リズムの乱れには注意しなければなりません。

派遣会社に相談する

現在登録している派遣会社の担当者に相談するのも有効な方法です。派遣会社の担当者は多くの求人情報を持っているため、より時給の高い仕事や自分のスキルに合った案件を紹介してくれる可能性があります

契約更新のタイミングで、時給アップの交渉をするのもよいでしょう。同じ職場で長く働いていて派遣先からの評価が高ければ、時給交渉が成功しやすいです。

スキルアップ講座や資格取得支援を提供している派遣会社もあるため、積極的に活用しましょう。

複数の派遣会社を比較する

同じ職種や仕事内容でも派遣会社によって時給が違うため、複数の派遣会社を比較することが大切です。1社だけにこだわらず、複数の派遣会社に登録して、より条件の良い仕事を見つけましょう。

福利厚生や交通費支給、派遣先での待遇など、総合的に条件の良い派遣会社を選べば、収入アップにつながります。派遣会社ごとに扱う案件も違うので、複数の派遣会社に登録して選択肢を増やすのが良いでしょう。

派遣スタッフも手取りを増やすことは可能

正社員と同じく社会保険料などが引かれるため、派遣スタッフの手取り額は額面よりも少なくなることが一般的です。差し引かれた給料は、派遣会社のスケジュールに則って支給されます。

また、地域差や職種、自身のスキルによっても時給は変わってきます。収入を上げたい場合はスキルアップ、派遣会社との交渉、派遣先の変更などが有効です。複数の派遣会社に登録し、より自分に合った条件の良い仕事を見つけてみてください。