さまざまな働き方や雇用形態がある中で、派遣社員と契約社員のどちらが良いのか悩むことがありますが、その違いを詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。どちらの働き方が自分に向いているのかは、ライフスタイルやキャリアプランに応じて選ぶ必要があるため、その違いを知っておくことは大切です。

この記事では、派遣社員と契約社員の違いと、メリット・デメリットについて解説しています。それぞれの働き方に向いている人の特徴もまとめているので、ぜひお仕事探しの参考にしてください。

派遣社員と契約社員の違い

派遣社員と契約社員の大きな違いは「契約している企業」で、派遣社員は派遣元(派遣会社)との契約、契約社員は勤務する企業との直接契約になります。このほかにも、下表のように給与形態や契約期間などに違いがあるので確認しておきましょう。

  派遣社員 契約社員
雇用主 派遣会社 勤務先
給与形態 時給制の場合が多い 時給または月給制で、求められるスキルや業務内容によって変わる
契約期間 3か月ごとなど定期的に契約更新が行われ、同じ派遣先では最長3年まで働ける 契約更新は1年や3年ごとなどに行われ、通算5年以上同じ会社で働く場合は無期雇用への転換が可能
契約期間満了後 派遣会社から新たな派遣先を紹介してもらう 転職サイトやエージェントを使い自分で次の職場を探す

また、派遣社員はフルタイムに限らずフレキシブルな勤務時間を選択することが可能ですが、契約社員の場合は正社員同様フルタイムになることが多いのが特徴です。どちらの働き方にも共通するものとして、条件を満たせば厚生年金や健康保険などに加入できる、各種手当の対象になるという点が挙げられます。

派遣社員の働き方とメリット・デメリット

派遣社員は、働く時間や期間を選ぶことができる自由度の高い働き方です。

一般的な登録型派遣の場合は、登録している派遣会社から紹介された企業で働き、契約期間が終了すれば、新たな派遣先を紹介してもらうという流れになります。そのため、仕事をしていない間は給与が発生しませんが、無期雇用の場合は派遣会社の正社員という扱いになるため、派遣先が決まらない間も給与が保証されます。

派遣される企業は多岐にわたり、各種事務仕事や窓口対応など、職種もさまざまです。

メリット

派遣社員は、多様な企業で働けるため、自分に合っている組織風土や業種を見つけやすいのがメリットです。正社員の場合は、転職の回数が多いと「なにか問題があるのでは」と思われることもありますが、派遣であればその心配はないでしょう。

また、一つの企業で働いている場合、人間関係が限定的になりますが、派遣社員は何社とも関わることになるため広い人脈を築けます。

デメリット

派遣のデメリットは、定められた期間しか働けないという点です。契約が更新されれば期間が延びますが、次回もまた更新されるとは限りません。繁忙期のみだけ雇用するといった企業も多く、長期で働ける保証がないのが難点です。

同じ職場には最長3年までしかいられないので、長く働きたい場合は「紹介予定派遣」として派遣先の正社員や契約社員になれるような働き方を選択するのもよいでしょう。

契約社員の働き方とメリット・デメリット

契約社員は企業と直接雇用契約を結ぶ働き方で、多くの場合フルタイム勤務になりますが、業種によっては勤務時間が短く設定されている場合もあります。一般的に有期雇用となり、期間終了後には新たに仕事を探す必要があります。

契約更新されて通算勤務期間が5年を超える場合は、条件を満たしていれば無期雇用に転換することも可能です。ただし、転換は契約社員本人が申し出なければならないので、ルールや条件を知っておく必要があるでしょう。

メリット

雇用契約で勤務地や部署が定められている場合は、転勤や異動がないのが大きなメリットです。基本的にフルタイム勤務で月給制のため、正社員との間に待遇の差が少ないのも契約社員の利点です。

正社員とほとんど変わらない業務内容、待遇にも関わらず、正社員のように大きな責任を追うことがないという点に魅力を感じる人もいるでしょう。雇用期間が決まっているので退職しやすく、結婚や留学などプライベートな理由で仕事を辞める予定の人でも働きやすいのが利点です。

デメリット

雇用期間が決まっているため、期間満了とともに雇用契約が終了するほか、更新の有無が成果だけでなく企業の業績などによって左右されるのがデメリットです。また、契約社員の給与は契約で決まっているため、仕事で成果を上げても給与に反映されることがほぼありません。

正社員と同等の能力やスキルがあったとしても、昇格の対象として評価されないこともあるので、不満を感じることもあるでしょう。

派遣社員と契約社員どっちが向いている?

派遣社員と契約社員には、雇用主、給与形態、勤務時間など、さまざまな違いがあるため自分に合っている方を選択しましょう。以下、それぞれの働き方に向いている人の特徴を解説します。

派遣社員が向いている人

働くうえで、以下のような希望がある人は、派遣社員で働くのが適しているでしょう。

  • ライフスタイルに合わせて自由な働き方をしたい
  • さまざまな会社で働いてみたい
  • 働きやすい会社で正社員を目指したい

直接雇用を前提に働く「紹介予定派遣」は、試用期間として派遣で働いたあと、3者(派遣会社、派遣先企業、本人)の間で合意があれば直接雇用に転換できます。ただし、直接雇用の形態が正社員とは限らないので、事前にしっかり確認しておきましょう。

契約社員が向いている人

「趣味の時間をしっかり確保したい」「正社員のように責任が多いのは嫌」など、以下のような希望がある人は契約社員が向いているでしょう。

  • プライベートを充実させたい
  • 仕事で責任を負いたくない
  • 特定の仕事以外したくない

デザイナーやエンジニアなど、専門的なスキルを持っていて、それ以外の仕事をしたくないという場合には正社員よりも契約社員の方が働きやすいかもしれません。契約にない仕事をする必要がないため、雑務を押し付けられたくない人にもピッタリです。

派遣社員・契約社員として働く注意点

派遣社員、契約社員として働く際には、それぞれのメリット、デメリットを知り、自分に合った働き方を選択しましょう。雇用形態を選ぶときの注意点を以下にまとめたので、確認しておきましょう。

  • 派遣から契約への切り替えは慎重に
  • 長く働ける保証はない

派遣から契約への切り替えは慎重に

派遣で評価されると、派遣先から直接雇用を打診されることがありますが、派遣社員から契約社員に切り替える際は、契約内容をよく確認して慎重に検討する必要があります。雇用形態が変わると、それに伴い労働時間や業務内容が変更されることがあり、事前に確認しておかないと「思っていたのと違う」という事態になりかねません。

安易に決めず、派遣会社の担当者とよく相談して、自分の求める働き方に合っているかを慎重に考えましょう。

長く働ける保証はない

派遣から契約社員になる場合も、長期の契約が保証されるわけではありません。派遣社員にくらべれば、多くの場合一度の契約期間が長くなりますが、正社員のように安定が担保されるのではないということを念頭に置いておきましょう。

派遣社員から契約社員、そして正社員へというプロセスは一見合理的に見えますが、無期契約や正社員になれる保証はありません。長期で安定的に働きたいなら正社員として就職活動した方が早いかもしれません。

派遣社員と契約社員の違いを理解しよう

派遣社員と契約社員には、契約先、給与形態、契約期間などさまざまな違いがあります。

大きな違いは、派遣会社に雇用されるか、勤務する企業に直接雇用されるかですが、どちらも条件を満たせば社会保険に加入できるほか、正社員と同じように各種手当の対象になることもあります。

それぞれの働き方の特徴やメリット、デメリットをしっかりと確認し、自分に合った働き方を見つけましょう。