派遣社員として働いていると、忌引き休暇などの休みが取れるのか心配になることがあります。また、忌引きで休んだ場合にお給料がどうなるのかも、気になるところではないでしょうか。

この記事では、派遣社員が知っておくべき忌引き休暇の概要と、休暇の取得方法などを解説しています。その他の休暇についてもまとめているので、あわせてチェックしておきましょう。

派遣社員にも忌引き休暇はある?

派遣社員が忌引き休暇として休みを取得できるかどうかは、派遣会社の規定によって異なります。まずは忌引き休暇について理解し、登録している派遣会社の対応を確認しましょう。

忌引き休暇とは

忌引き(きびき)休暇とは、家族や親族を亡くした従業員が、葬儀参列や喪に服すために取得できる休暇です。

多くの企業では就業規則で規定されており、法定休暇ではないものの福利厚生の一環として提供されています。取得可能な日数は故人との関係性によって異なり、一般的に次のように定められています。

  • 配偶者:7~10日間
  • 親または子:7~10日間
  • 祖父母や兄弟姉妹:3~5日間
  • 配偶者の親:3日間
  • 叔父・叔母:1日間

この休暇制度は、従業員が心身の負担を軽減し、落ち着いて故人を弔う時間を確保するために設けられています。

休暇制度は派遣会社によって異なる

派遣社員の場合、忌引き休暇が取れるかどうかは、派遣会社との契約内容によって異なります。就業規則によって有給の忌引き休暇が取れる場合もあれば、休暇自体が無給扱いになる場合もあります。

また、派遣会社によっては、忌引き休暇に対する定め自体がないことも少なくありません。休暇について不明な場合は、派遣会社の担当者に問い合わせてみましょう。

このほか、派遣先の企業が忌引き休暇を設定している場合でも、多くの場合派遣社員には適用されません。

忌引き休暇がない場合

忌引き休暇がない場合、派遣社員はほかの手段を利用して休暇を取得する必要があります。

代表的な方法としては、有給休暇の利用が挙げられます。有給休暇の残日数がある場合は、忌引きに代わる休暇として申請し、葬儀や弔問のための時間を確保することができます。

ただし、有給休暇が残っていない場合や使用が認められない場合は、欠勤扱いになる可能性があります

また、派遣会社によっては特別休暇として無給で休みを認める場合もありますが、これは福利厚生の範囲外となるため、企業ごとの規定によります。状況に応じて柔軟な対応を取る場合もありますが、必ずしも期待できるわけではありません。

忌引き休暇で給料は減る?

派遣社員の場合、忌引き休暇における給与の取り扱いは、就業規則や契約条件に依存します。一部の派遣会社では忌引き休暇を有給で提供していますが、無給扱いになることも少なくありません

また、有給休暇をあてられるかどうかも、残日数や就業規則によって異なります。そのため、無給の場合は給料が減ることになるでしょう。

忌引き休暇にかかわる給与の詳細は、事前に雇用契約書や就業規則を確認し、必要に応じて担当者に確認することが大切です。

【派遣社員】忌引き休暇の取り方

派遣社員が忌引き休暇を取得する場合は、派遣会社に対して申請を行います。また、必要に応じて書類の準備や引き継ぎもしておきましょう。

派遣会社に連絡

まず、忌引き休暇を希望する場合は、速やかに派遣会社の担当者に連絡しましょう。とくに親族の不幸という緊急性の高い状況では、できるだけ早く事情を伝えることが大切です。

基本的には電話をかけるべきですが、深夜や早朝の場合は、一旦メールで連絡しておくと良いでしょう。このとき、派遣先の企業に直接連絡してはいけません。派遣先へは、派遣会社から伝えてもらうのが一般的です。

担当者との連絡の際には、故人との関係や休暇の希望日数を明確に伝え、派遣会社の規定に従って手続きを進めます。また、遠くへ行く場合や自分が喪主になる場合などは、休暇日数が長くなる可能性についても相談しておきましょう。

必要書類の準備

忌引き休暇の申請時には、次のような書類の提出を求められる場合があります。

  • 死亡診断書
  • 死亡届
  • 火葬(埋葬)許可証
  • 会葬礼状

これらの書類は、休暇の正当性を証明するために必要なものです。派遣会社や派遣先の規定によって求められる書類が異なるため、事前に何が必要かを確認しておきましょう。

提出のタイミングは、休暇明けでよい場合もあれば、事前に求められる場合もあります。

休暇中の引き継ぎを行う

忌引き休暇中も派遣先での業務が円滑に進むよう、可能な範囲で引き継ぎを行うことが望ましいです。

急な休暇の場合でも、担当業務や進行中のタスクについてのメモを作成し、メールなどで派遣先の上司や同僚に共有しておきましょう。会議などの予定が入っている場合には、あわせてキャンセルや日程の変更を先方に伝えてもらうよう依頼しておきます。

また、必要な引き継ぎが済んでいれば連絡が来ることは考えにくいですが、万が一に備えて、緊急連絡先は伝えておくとよいでしょう。このほか、派遣会社にも引き継ぎの状況を報告しておくと、トラブルを防ぐことができます。

派遣社員が知っておきたい休暇

派遣社員も、条件次第でさまざまな休暇が取得できます。その内容や細かい条件は派遣会社によって異なるものもあるので、規定や契約書を確認してみましょう。

以下、派遣社員が一般的に利用できる休暇をまとめています。

年次有給休暇

労働基準法に基づき、派遣社員も一定の条件を満たせば年次有給休暇を取得する権利があります。

  • 付与条件:勤務開始日から6か月が経過し、その間の勤務日数が全労働日の8割以上であること
  • 日数:勤務日数に応じて付与され、週5日勤務であれば初年度の基準は10日間

有給休暇は派遣元が管理するため、申請は派遣会社に対して行います。派遣先ではスケジュールの調整を行い、取得可能なタイミングを確認しておきましょう。

産休・育休休業

産前産後休業や育児休業は、労働者の権利として、雇用形態に関係なく取得することができます。

  • 産前産後休業:出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から出産後8週間の休業が可能
  • 育児休業:原則として1歳未満の子を育てる場合に取得可能

ただし、産前休業は、出産予定日の6週間前に派遣契約がなければ取得できません。産休の開始予定日までに契約が満了になる場合は、更新されることが重要なポイントになります。

また、育休を取得する場合は別途申請が必要になり、条件も派遣会社ごとに異なるので注意が必要です。妊娠がわかった際は、早めに派遣会社に相談しましょう

介護休暇

家族の介護が必要になった場合、派遣社員も一定の条件で介護休業を取得できます。

  • 対象:要介護状態にある家族がいる人
  • 期間:対象家族1人につき、1年最大5日間

より容態が重い場合は、1人につき最大通算93日の介護休業を申請することも可能です。ただし、介護休業の場合は、契約期間などについて一定の条件を満たす必要があるので、派遣会社に確認してください。

慶弔休暇

結婚や親族の死亡時などに取得できる特別休暇です。制度の有無や取得日数は、派遣会社ごとの規定によって異なります。

  • 結婚:1〜3日程度が一般的
  • 親族の死亡時:故人との続柄に応じて1~10日ほど

どちらの休暇も、有給として扱われる場合もあれば無給の場合もあります。派遣会社の規定を確認しておきましょう。

派遣社員も忌引き休暇について確認しておこう

派遣社員でも、忌引き休暇を取得することは可能です。ただし、就業規則や契約内容によっては忌引き休暇の定めがない場合もあるので、派遣会社に確認する必要があります。

また、休暇が取れる場合も、有給なのか無給なのか、また欠勤扱いになるか否かなども、確かめておきましょう。

家族が亡くなって休みを取る場合は、派遣会社の指示に従って必要書類を用意し、派遣先に迷惑がかからないよう、休暇中の引き継ぎを行ってください。そのほかの休暇についても、わからないことがあれば早めに派遣会社に相談することが大切です。