派遣会社にブラックリストが存在するという話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。ブラックリストと聞くと「派遣のお仕事を紹介してもらえなくなるのでは」と不安に思ってしまいますよね。
結論から申し上げると、ブラックリスト(もしくは評価表)は存在します。
ブラックリストという名称を使うかは派遣会社によって異なりますが、同意義の評価表はどの派遣会社にも存在すると考えてよいでしょう。
今回のコラムでは、ブラックリストに載ってしまう行動、載ってしまったらどうなるのか、載ってしまった時の対処法など丁寧に解説します。
目 次
派遣会社にはブラックリストが存在する
冒頭でも述べましたが、派遣会社にはブラックリスト、もしくは同等の評価表が存在します。ではなぜ評価表は存在するのでしょうか。評価表がある理由としては以下の2点が考えられます。
- 派遣担当者が変わっても派遣社員の情報を正しく共有するため
- 派遣社員の成果や頑張りを正しく評価するため
派遣会社の担当者が変わっても、派遣先企業や派遣社員本人からすれば今まで通りの業務が続きます。担当者が変わった際、引き継ぎが行われなければ派遣社員の状況やスキルが正しく伝わらず、派遣先企業や派遣社員に迷惑をかけてしまう恐れがあります。派遣会社がそのような事態を防ぐために評価表を導入しているというケースは珍しくありません。
派遣社員の成果や頑張りを正しく評価し、契約更新の交渉をしたり新しい派遣先を紹介したりするために、派遣社員の評価をつける派遣会社も多いでしょう。良い成果を残している人や真面目に仕事を頑張っている人は、自信を持って派遣先企業に紹介できます。
反対に、勤務態度が悪い人や仕事に対して不真面目な人を派遣先企業に紹介してしまうと、派遣会社と派遣先企業の間でトラブルに発展してしまう可能性が高まります。派遣先企業へ迷惑をかけずに優秀な人材を派遣するためにも、評価表は必要になるのです。
派遣会社のブラックリストに載ってしまう人の特徴
どのような行動をとるとブラックリストに載ってしまうのでしょうか。ブラックリストに載ってしまう人の特徴は以下の通りです。
- 契約途中で突然辞める
- 派遣合意が決まったのに直前で辞退する
- 遅刻・早退・欠勤が多い
- 派遣先でトラブルを起こす
契約途中で突然辞める
派遣社員は契約期間を事前に決めて、その期間は派遣先企業で働くという形で契約を結びます。契約期間中に突然辞められてしまえば、契約違反となり派遣先企業や派遣会社に多大な迷惑をかけることになります。
当然ですが、このような行動をとってしまえば即ブラックリストに載ることになるでしょう。無断退職ではないとしても、電話やメールで「辞めます」とだけ伝えることもNGです。社会人として誠意と常識のある行動をとりましょう。
もし契約途中で辞めたいと思った場合は、突然辞めるのではなく前もって派遣会社の担当者に相談してください。辞めたいという意思を固める前から担当者に連絡して、何か対処できることはないか相談に乗ってもらいましょう。
派遣合意が決まったのに直前で辞退する
派遣先企業との契約内容がまとまり、合意に至ったのに直前で辞退する行為もブラックリストに載る行動の代表的な例です。
派遣会社は派遣先企業との合意を得るまでに多くの時間を費やしています。これまでの苦労や費やした時間を全て水の泡にされてしまうだけでなく、派遣先企業からの信用を一気に失ってしまうことにも繋がるでしょう。
直前で辞退されてしまうと、派遣会社は派遣先企業の選定を一からやり直さなければなりません。もし派遣先企業に対して不安な気持ちがあるのであれば、担当者に隠さず正直に打ち明けてみてください。派遣会社としても直前に突然辞退されるくらいなら、合意前にはっきり拒否してくれた方がよいと考えているでしょう。
遅刻・早退・欠勤が多い
ブラックリストに載ってしまう原因として最も多いと考えられるのが、遅刻・早退・欠勤が多いことです。遅刻・早退・欠勤が多いと、勤務時間が短くなり予定通り仕事を進められず迷惑をかけることになります。
無断で遅刻や欠勤をすることはもちろんNGですが、体調や家族の事情で頻繁に遅刻・早退・欠勤をするような場合でも、ブラックリストに載ってしまう可能性は大いにあります。体調面に不安があったり、家族の事情で遅刻・早退・欠勤が多くなる可能性があったりする場合は、派遣会社にあらかじめ伝えた上で仕事を紹介してもらうようにしましょう。
派遣先でトラブルを起こす
派遣先企業でトラブルを起こしてしまうことも、ブラックリストに載ってしまう原因となる可能性があります。トラブルの程度にもよりますが、派遣先企業から派遣会社へクレームが入ってしまうようなトラブルの場合はブラックリストに載ると考えてよいでしょう。
具体的には、「派遣先企業の人と揉めた」「仕事で大きなミスをして多大な迷惑をかけた」などのトラブルです。派遣先企業の方と人間関係がうまくいかず口論になったり、取引先企業の情報を流出させてしまったりすると派遣会社へクレームが入り、ブラックリストに載ってしまうでしょう。
ブラックリストに載ってしまうとどうなる?
もしブラックリストに載ってしまったとしても、直接担当者から告知されることはありません。そのため、自分がブラックリストに載っているかどうかはっきり把握することはできないでしょう。
これらのことが起きたら、ブラックリストに載ってしまっている可能性があります。
- 仕事を紹介してもらえなくなる
- 契約解除や退会を要請された
- 担当者の対応が冷たくなる
仕事を紹介してもらえなくなる
ブラックリストに載るということは、派遣会社から信用されなくなるということです。当然ですが、信用できない人材を大事な取引先である派遣先企業へ紹介することはできません。
派遣先企業へ問題のある人材を派遣してしまうと、再度トラブルを起こされる可能性があり、最悪の場合取引停止に発展しかねません。そうすると他の派遣社員の方にも迷惑をかけてしまうため、信頼できる人材を紹介したいと考えるのは当然のことです。
「仕事の依頼が突然来なくなった」「大量募集の案件があるのに声がかからなかった」というような状況になれば、ブラックリストに載ったと考えるべきでしょう。
契約解除や退会を要請された
派遣契約の途中にも関わらず契約解除の要請があったり、派遣会社から退会要請があった場合はブラックリストに載ったと考えられます。これは事実上、解雇を言い渡されている状態と同じです。
派遣先企業が勤務態度の悪さや仕事でのトラブルなどの理由によって、契約解除を申し出てくることは十分に考えられます。そのような事態が一度だけならまだしも何度か続くようであれば、仕事を紹介できないという理由で退会を要請してくることもあるでしょう。
担当者の対応が冷たくなる
ブラックリストに載ってしまったら、派遣会社の担当者の態度が冷たくなったり、満足に対応してもらえなくなるかもしれません。ブラックリストに載ってしまえば仕事を紹介できないため、対応する優先度が下がってしまうのは当然のことでしょう。
実際に「担当者の対応が非常に遅くなった」「連絡がつかなくなった」という経験をしたことがある方もいるようです。メールをしてもすぐに返信が来なかったり、曖昧な返答しか返ってこなかったりすると、ブラックリストに載っている可能性が高いです。
ブラックリストに載ってしまったときの対処法
同じ派遣会社に登録し続けている限り、ブラックリストに載ってしまえばその情報が消えることはありません。そのままでは仕事を紹介してもらうことができないため対処する必要があります。
ブラックリストに載った場合の対処法は、以下の2つです。
- 他の派遣会社に登録する
- 派遣登録を解除して再登録する
他の派遣会社に登録する
派遣社員として働き続けたいのであれば、他の派遣会社に登録する必要があります。ブラックリストに載ってしまえば仕事を紹介してもらえなくなるため、止むを得ない選択と言えます。
ブラックリストは他の派遣会社へ共有されることはありません。先述した通り、ブラックリストは派遣社員の評価表なので、センシティブな個人情報です。それを他の会社へ漏らすようなことは労働基準法で禁止されています。
もし、今の派遣会社にこだわらないのであれば、他の派遣会社に登録するとよいでしょう。例えブラックリストに載った経験があるとしても、新しい派遣会社では難なく新しい仕事を紹介してもらえたということは珍しくありません。
派遣登録を解除して再登録する
今の派遣会社へこだわりがあり、もう一度仕事を紹介してもらいたいのであれば、一度登録を解除して一定期間をおいてから再登録するという手段があります。
派遣登録を続けている限り、ブラックリストから外されることは考えにくいです。しかし、一度派遣登録を解除して一定期間置けば、登録情報ごとブラックリストの情報も全て一旦リセットされる場合があります。全ての情報がリセットされた状態で再登録することで、もう一度その派遣会社から仕事を紹介してもらうことができるでしょう。
注意すべきは、一般的に登録情報は解除してから最低でも3年は残るとされている点です。この期間は派遣会社によって様々です。登録情報が消えていない状態で再登録してしまったらブラックリストの情報も残っているため、仕事を紹介してもらえない可能性が高いでしょう。
派遣会社のブラックリストに載らないように注意しよう
派遣会社のブラックリストについて詳しく解説してきました。一度ブラックリストに載ってしまえば派遣先企業や派遣会社に迷惑をかけるだけでなく、仕事を紹介してもらえなくなり自分を苦しめることにもなります。
ブラックリストに載ってしまうような行動を避け、円満な派遣社員ライフを送りましょう。もしブラックリストに載ってしまっても一生派遣として働けなくなるわけではありません。他の派遣会社へ登録したり、一度登録解除してから再登録するなどの対処を取ることで派遣社員として働き続けることができます。