非正規として働く場合、派遣かアルバイトかで迷うことがあります。このとき、それぞれにどのような違いがあるのかを知っていないと、自分に適した方を選べません。
そこで今回は、アルバイトと派遣の違いについて、詳しく解説していきます。両者のメリットデメリットもまとめているので、ぜひ最後まで読んで、お仕事探しの参考にしてください。
派遣とアルバイトの違い

派遣とアルバイトには、大きく以下4つの違いがあります。
雇用主
アルバイトは、実際に働く店舗や会社に直接雇用されます。当然、給与の支払いも勤務先が行うので、勤務条件の調整には会社との交渉が必要です。
一方で派遣社員は、派遣先の企業ではなく、雇用契約を結ぶ派遣会社が雇用主になります。
- 派遣:派遣会社と雇用契約を結び、派遣先にて就業する
- アルバイト:職場や運営会社との直接雇用
派遣社員の場合は、雇用主と勤務先が一致しない点が大きな特徴です。
試用期間
アルバイトで働く場合、試用期間が設けられていることが多いです。これは、適性を見極めたりミスマッチを防いだりする目的で取り入れられており、1〜3か月程度に設定されるのが一般的です。
派遣には、原則として試用期間がありません。多くの場合、最初の派遣期間を1か月に設定し、相性や能力の見極めが行われます。ただし、直接雇用を前提にした「紹介予定派遣」の場合は、最長6か月設けられる派遣期間が、実質的に試用期間の役割を果たします。
福利厚生
アルバイトでも派遣社員でも、一定の条件を満たせば会社の福利厚生を受けることが可能です。たとえば、健康保険・厚生年金保険に加入できる条件は以下のとおりです。
- 週の所定労働時間20時間以上
- 基本給が月8.8万円以上
- 2か月以上の雇用見込みあり
- 学生ではない
さらに派遣社員の場合は、派遣先の福利厚生施設の利用や研修制度が受けられる可能性もあります。
契約内容
アルバイトの雇用契約は比較的シンプルで、仕事内容や時給、勤務時間などを取り決めます。条件の変更やシフト調整も柔軟で、店舗や会社と相談しながら働き方を大きく変えることも可能です。
派遣の場合は、派遣会社、派遣先企業、労働者、この三者間での取り決めのもと、雇用契約を締結します。派遣社員はその契約内容に基づいて働くため、契約外の業務を命じることは原則できません。
また、待遇や業務内容の変更について、派遣社員が派遣先と直接交渉することも困難です。ルールに基づいた安定感がある一方、柔軟性には限界があります。
派遣社員のメリット

派遣社員を選択すると、就活のあらゆる手間が省けるほか、必要に応じて派遣会社のサポートも受けられます。また、ミスマッチが起きにくい点も大きなメリットです。
自分で仕事を探す必要がない
アルバイトのように直接雇用される場合、求人サイトのチェック、応募、面接を受けるといったプロセスをすべて自分で段取りしなくてはなりません。しかし派遣の場合は、登録するだけで、希望条件に合った求人を派遣会社が探してくれます。
勤務地や勤務時間、仕事内容などの希望を事前に伝えておけば、派遣会社が候補を提示してくれるため、効率的に仕事を見つけられるでしょう。
派遣会社がサポートしてくれる
派遣社員は、雇用主である派遣会社から、さまざまなサポートを受けられる点も大きなメリットです。たとえば、就業中のトラブルや疑問を派遣会社の担当者に相談できるため、派遣先で直接言えないことも安心して解決できます。
また、スキルアップを目的とした研修や資格取得の支援を行っている派遣会社も多く、自分のキャリア形成に役立てられるのも利点です。
ミスマッチが起きにくい
派遣社員として働くと、事前に仕事内容や職場環境について派遣会社から詳細な説明を受けられるため、入社後に「思っていたのと違う」というミスマッチが起こりにくいです。希望条件をしっかり伝えておくことで、自分に合った職場を紹介してもらえる可能性が高まります。
また、実際に働いてみて合わないと感じれば、満了に合わせて新しい派遣先を紹介してもらえるので、リスクを最小限に抑えつつ自分に適した職場を見つけやすいのがメリットです。
派遣社員のデメリット
派遣社員として働く場合、雇用期間や業務範囲が明確に決められることがデメリットになりえます。また、スキマ時間を活用したいという人にも向いていない働き方です。
雇用期間に定めがある
有期の派遣契約では、3か月や6か月といった期間の契約を更新しながら働くことになります。そのため、安定的に長く働ける保証がなく、契約が更新されない可能性も常に考慮しなければなりません。
また、同じ組織で働けるのは原則3年までと定められているため、長期的にキャリアを築くには無期雇用契約や直接雇用を検討する必要があります。
業務範囲が限定的
派遣社員は、基本的に契約で定められた範囲の業務しか行えません。契約外の雑務を押し付けられないのはメリットでもありますが、新しい業務に挑戦したい場合には制約になります。
これによりスキルアップが図りにくくなるほか、重要な業務や責任の大きなポジションに就くチャンスも少なくなります。
日雇い派遣は原則禁止
日雇い派遣は、法律で原則禁止とされています。これは雇用の安定性を守るために定められており、60歳以上の人、学生など一部条件を除いては認められていません。
そのため、スキマ時間で1日だけ働きたいというような場合には、派遣ではなく、アルバイトの求人を探す必要があります。
アルバイトのメリット

アルバイトは、シフトや働く日数を柔軟に決められる点がメリットです。派遣と比べて制限が少ないのが魅力です。
柔軟にシフトが組める
アルバイトは、自分の生活スタイルや予定に合わせて柔軟に働けるのが最大のメリットです。たとえば、学生であれば授業や試験期間に合わせてシフトを減らし、長期休暇中に多く入ることも可能です。
固定された勤務時間ではないため、1日数時間だけ働く、週末だけ働くなど多様な働き方が選べます。
単発や短期案件が多い
アルバイトは、短期や単発の求人が豊富にある点も大きな強みです。イベントスタッフや試験監督、引っ越しなどの仕事は1日や数日単位で募集されているため、必要なときだけ働きたいという人に適しています。
このほか、一か所に縛られず、さまざまな職場を経験できるため、自分に合った仕事や業界を見極める機会にもなります。
アルバイトのデメリット
一方で、アルバイトは、給与や信用の面がデメリットになる可能性があります。
時給が低い傾向にある
アルバイトは、派遣社員に比べて基本給が低くなりがちです。とくに、未経験でも始められる接客業や軽作業などは、専門的なスキルを必要としないため、賃金水準が抑えられていることが多いです。
また、アルバイトに対して賞与や退職金の制度がない職場も多く、長期間働いても正社員ほど安定した収入は得られません。そのため、メインの収入源にする場合には経済的に不安定さを感じるケースもあるでしょう。
社会的信用を得にくい
クレジットカードの審査や賃貸住宅の契約、ローンの申請などでは、収入の安定性が重視されるため、アルバイト収入だけでは審査が通りにくい可能性があります。また、長期で働き続けても「一時的な雇用」と見なされる傾向が強く、キャリア形成の観点でも正社員や派遣に比べて不利になる場合があります。
派遣とアルバイトで迷ったら

派遣とアルバイトは、どちらも非正規雇用ですが、それぞれ特徴が異なるため、自分の目的に合わせて選ぶことが大切です。
たとえば、安定した収入や担当者のサポートを重視するなら派遣がおすすめです。派遣会社が条件に合う職場を紹介してくれるため、効率的に就業できます。
一方、生活スタイルに合わせて自由に働きたい、短期や単発で収入を得たいという人にはアルバイトが向いています。どちらがよいか迷ったときは「安定か自由か」といった軸で考えると、自分に合った選択がしやすくなるでしょう。
【派遣orバイト】自分に合った働き方を見つけよう
派遣とアルバイトは、雇用主、試用期間の有無、契約内容などに違いがあります。
派遣社員は、業務内容や雇用期間に制限がある一方、安定した収入を得やすいのが特徴です。アルバイトは、大きく稼ぐことは難しいものの、働く時間や日数を柔軟に調整できるのが強みです。
自分の希望する働き方によって、選ぶべき選択肢は変わるので、収入やキャリアアップ、ワークライフバランスなど、多角的な視点で自分に合っている方を選択しましょう。

 
           
           
          