コールセンターでは電話応対が主な業務であり、キャリア形成や転職に不利だと思われがちです。しかし、コールセンターでは電話応対に限らず幅広いスキルを身に付けられ、様々なキャリアプランを選択することができます。
今回のコラムでは、コールセンターでのキャリアプランについて詳しく解説していきます。コールセンターから転職する上でおすすめの職種も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目 次
コールセンターにおけるキャリアプランとは
コールセンターにおけるキャリアプランは、大きく昇進と転職の2つに分けられます。
コールセンターで働く場合、電話応対を担うオペレーターとしてキャリアをスタートさせます。実力を認められて昇進すれば、新人教育を担ったり、プロジェクトやコールセンター全体をまとめる立場に就いたりすることが可能です。
コールセンターでの経験を通して培われるコミュニケーション力やマネジメント力といった幅広いスキルを生かして、多様なキャリアプランを選択することができます。
昇進と転職、それぞれのキャリアプランについてこの後詳しく紹介していきます。
コールセンターで昇進を目指すキャリアプラン
コールセンターで昇進を目指す場合、以下のような流れでキャリアを形成していくことが一般的です。
- オペレーター
- LD(リーダー)
- SV(スーパーバイザー)
- センター長(グループリーダー)
オペレーター
オペレーターとは、お客様に電話をかけたり、お客様からかかってきた電話に対応したりする職種のことを指します。コールセンターに勤務する方は、まずオペレーターとして電話応対の経験を積み、スキルを磨くことがほとんどです。
- インバウンド:お客様からの電話を受ける
- アウトバウンド:お客様へ電話をかける
オペレーターの仕事は、上記のように大きく2種類に分けられます。インバウンドは自社の商品やサービスの注文や質問、問い合わせといった電話に対応することが多く、お客様の状況を正確に聞き取り、素早く回答する対応力が求められます。
一方、アウトバウンドは訪問や商談のアポイントを取る、商品やサービスの満足度を調査するといった目的で電話をかけることが一般的です。相手のニーズを汲み取った提案をしたり、途中で電話を切られてもうまく気持ちを切り替えられる方が向いていると言えます。
シフト通りに安定して勤務することや電話応対スキルを磨くことはもちろん、目標とする数字を追い結果を出すことが昇進への近道となるでしょう。
LD(リーダー)
昇進を望むオペレーターが最初に目指す役職はLD(リーダー)です。基本的な業務はオペレーターと同様ですが、新人教育や対応に困っているオペレーターのサポート、上長であるSV(スーパーバイザー)のアシスタントといった役割を担います。
アルバイトや派遣として勤務している場合、リーダー以上に昇進すると正社員への登用が見込めることが一般的です。
オペレーターとは異なり、自身に任されたタスクだけでなく、職場全体の業務がスムーズに進むよう最適な行動をとることが求められます。オペレーターや上長からの信頼を集めることが、キャリアアップを目指す上で重要なポイントだと言えます。
SV(スーパーバイザー)
オペレーターやリーダーを率いる立場のSV(スーパーバイザー)は、プロジェクト全体の責任者、オペレーターを取りまとめる管理者としての責任が伴う役職です。勤務先によって異なりますが、一般的に数人~十数人のオペレーターの業務を管理します。
- オペレーターの育成
- 新人教育の進捗管理
- シフト管理
- オペレーターが使用する台本の作成・改善
- オペレーターでは対応できないような難しい問い合わせへの対応
上記のような仕事に加えて、クライアントや営業担当者との打ち合わせに参加したり、プロジェクトの進捗報告を行ったりと、コールセンター外での業務を担当することもあります。
リーダー以上に業務全体を把握して動く力が求められ、かつプロジェクト全体の収支や成果を追い求める姿勢も要求されます。
センター長(マネージャー)
コールセンターの最高責任者であるセンター長(マネージャー)は、スーパーバイザーを管理します。さらに、以下のような業務を担うことで、コールセンター全体の業務が円滑に進むよう戦略を策定していきます。
- 人材配置
- 収支計画
- 情報流出を防ぐためのシステム構築
職場によっては、営業部や商品企画部門といった社内の他の部門や社外のパートナー企業との連携、調整もセンター長の仕事とされることも珍しくありません。
責任が大きい一方で、自身の判断でコールセンター全体の成果を改善できる、やりがいの大きい役職であると言えます。
コールセンターでキャリアアップを目指すには
コールセンターで昇進を目指すためには、主に以下のような要素を身に付けることが求められます。
- 高い電話応対スキル
- プロジェクト全体を理解する力
- 上長や部下からの信頼
- プロジェクトやコールセンターの課題を挙げる力
- 指導・教育スキル
- マネジメント力
コールセンターでの勤務を通してこれらのスキルを身に付けることが、キャリアアップを目指す上で1番の近道です。
この他にスキルをアピールする方法として、資格を取得することが挙げられます。以下のような資格を取れば、自らのスキルレベルを客観的に証明することが可能です。
- コンタクトセンター検定
- CSスペシャリスト検定
- 電話応対技能検定
- MOS
- 日商簿記検定
電話応対スキルを証明できる資格として最も主流なのが、コンタクトセンター検定です。
コンタクトセンター検定は、日本コンタクトセンター教育検定協会が設けた、コールセンターに関する国内初の検定試験です。個人のレベルに合わせて6種類の試験が用意されており、現場ですぐに役立つスキルを持っていることを示すことができます。
コールセンターで身につくスキル
先述したようなキャリアプランを歩んでいく中で、以下のようなスキルを身に付けられます。
- 電話応対スキル
- コンプライアンススキル
- PCスキル
- コミュニケーションスキル
- 業界研究スキル
- 提案スキル
- マネジメントスキル
電話応対を通して身に付けられる電話応対スキルやコミュニケーションスキルはもちろん、調べ物やデータ入力をする中でPCスキルを身に付けることができます。
さらに、自社が属する業界や自社商品、サービスについてお客様に詳しく説明できるくらい深く理解する力や、状況に応じて最適な提案を行う力を身に付けることも可能です。
昇進して役職に就いた場合、オペレーターやプロジェクト、コールセンターを管理する中でマネジメントスキルが得られるでしょう。
これらの能力は、昇進を目指す際に人事評価のポイントになるだけでなく、転職を目指す際に長所としてアピールしたり、志望動機で言及したりすることができます。
コールセンターからの転職におすすめの職種
コールセンターからの転職を目指す方におすすめの職種をご紹介します。
- 営業
- 事務
- 接客業
営業
コールセンターで自社商品に関する問い合わせを受けていると、自社の商品やサービスを深く理解し、お客様に説明できるくらい深く理解するスキルを身に付けられます。営業職として活躍するために欠かせない、以下3つの要素に役立てることができるでしょう。
- 自社の商品を徹底的に理解する
- 情報収集や話を聞くことを通してお客様の話を聞く
- 自社の商品でお客様の課題を解決できることをアピールする
このように、営業職はコールセンターで身に付けた力を遺憾なく発揮できる職種だと言えます。
事務
コールセンターでの業務を通して得られる以下のようなスキルは、事務職に転職する上で大いに役立てることが可能です。
- コミュニケーション力
- 調整力
- 電話応対スキル
- PCスキル
来客応対や業務に関する社内でのやり取りではコミュニケーション力を、書類の作成やデータ入力を速く正確にこなす上ではPCスキルを生かすことが可能です。
幅広い分野のスキルをカバーしなければならない事務職は、業務全体の流れを把握して臨機応変に対応する力も求められます。従って、事務職はリーダー以上に昇進してからのキャリアチェンジにも適した職種だと言えます。
接客業
人と接することが好きな方は、接客業へ転職するのもおすすめです。電話応対スキルやクレーム対応の経験、商品やサービスの説明をする力を生かすことができます。
ここまで紹介してきた3つの職種は、どれもコールセンターでの経験を存分に生かせる職種です。ただし、営業職や接客業の場合は、お客様と顔を合わせてのコミュニケーションが求められる点に留意しておきましょう。
現場で培ったスキルを生かして理想のキャリアを手に入れよう
コールセンターで働くと、昇進や転職を通して幅広いキャリアを形成することができます。ただし、キャリアアップやキャリアチェンジを目指すには、現場での経験を通して培えるコミュニケーション力やマネジメント力といった能力をアピールすることが欠かせません。
オペレーターとして着実に経験を積み、必要なスキルを身に付けて自分が理想とするキャリアの実現を目指してみてください。