みなさんは履歴書を書いた経験があると思います。履歴書は、正社員の就職だけではなく、アルバイト採用時にも求められることが多いですよね。

一方で、「履歴書は書いたことがあるけど、職務経歴書はない」という人もいるのではないでしょうか。転職活動を行う場合は、履歴書だけではなく「職務経歴書」も必要となる場合があります。

名前が似ているので、履歴書と混同してしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は履歴書と職務経歴書は全く異なる書類なのです。

そこで今回のコラムでは、誤解しやすい「職務経歴書と履歴書の違い」についてご紹介していきます。

履歴書とは?

履歴書は就職や転職、アルバイトなど仕事に応募する上で必須となる選考用の書類のことです。履歴書は応募者の基本情報や略歴を伝えるという役割があり、主に以下のことを記載します。

  • 日付
  • 名前
  • 生年月日
  • 現住所
  • 電話番号
  • 学歴
  • 職歴
  • 免許・資格
  • 志望動機
  • 自己PR
  • 趣味・特技
  • 健康状態
  • 通勤時間

フォーマットがあらかじめ決められており、記入欄に必要な情報を記載することで完成させることができます。手書きで提出する場合は、書店や文房具店に行けば履歴書の原稿を購入することができるでしょう。

職務経歴書とは?

職務経歴書とは、これまでの業務経験やスキルを伝えるために提出する書類です。履歴書と共に提出を求められることが多く、採用担当者は履歴書の略歴と照らし合わせながら、職務経歴書で応募者の業務経験やスキルを確認します。

職務経歴書には、主に以下のことを記載します。

  • 職務要約
  • 職務経歴
  • 業務内容・実績
  • スキル
  • 資格
  • 自己PR

職務経歴には直近に勤めていた企業だけでなく、これまで勤めてきた会社の経歴を全て記載しましょう。豊富な業務経験があれば、効果的なアピールポイントになります。

職務経歴書と履歴書は何が違う?

それでは、職務経歴書と履歴書は何が違うのでしょうか。主な違いは以下の2つです。

  • 職務経歴書は転職の際に必要になる
  • 職務経歴書はフォーマットが決まっていない

職務経歴書は転職の際に必要になる

履歴書は就職や転職、アルバイトの応募など仕事に応募する際に必要な書類です。一方で、職務経歴書は転職する際に必要な書類です。つまり、新卒採用の応募時やアルバイトの応募時には履歴書だけで問題ありませんが、転職で中途採用の求人に応募する際は、履歴書と職務経歴書の両方が必要になるケースがあります。

中途採用の場合、企業にとって即戦力になれるかどうかが選考のポイントになってきます。企業側としては履歴書だけで応募者のスキルや経験を判断することができないため、職歴についてより詳細に記載された職務経歴書を提出してもらい、その情報を元に判断します。必ずしも提出を求められるわけではありませんが、自身が価値ある人材であることを証明するためにも有効であるため、用意しておくことが望ましいです。

職務経歴書はフォーマットが決まっていない

履歴書は記入欄やレイアウトなどのフォーマットが決まっていることが一般的ですが、職務経歴書はこれといったフォーマットが決められていません。自身の職務経歴を伝えることができれば、どのような形で書いても問題ありません。

しかし、職務経歴書がわかりにくいということは、基本的なPCスキルや書類作成スキルがないと判断されかねないため、きれいに整えことが大切です。職務経歴書がわかりにくいと自分が伝えたいことが上手に伝わらない可能性もあります。

採用担当者の立場で考え、「この人なら採用してみたい」と思ってもらえるように、一つひとつの情報をわかりやすく記載しましょう。

職務経歴書の書き方のコツ

職務経歴書はフォーマットが決まっていなく自由度が高い分、個性や特徴が表れやすいです。職務経歴書の書き方のコツを押さえて、自分の個性や特徴を最大限アピールしましょう。

以下の4つが、職務経歴書の書き方のコツです。

  • レイアウトや構成を工夫する
  • 数字を用いて信憑性を持たせる
  • 企業が興味を持ちそうなキーワードを盛り込む
  • 人柄が伝わる情報を盛り込む

レイアウトや構成を工夫する

職務経歴が多ければ多いほど、職務経歴書に記載する情報の量は必然的に多くなってきます。情報量が増えると書類の見やすさは損なわれる傾向があるため、読み手は書類に目を通すのが億劫になってしまうでしょう。

レイアウトや構成を工夫せずに自分が伝えたい情報をたくさん盛り込んでしまうと、大切なポイントが上手に伝わらないかもしれません。反対に、情報量が増えてもレイアウトや構成を工夫することで情報が整理され、大切なポイントがしっかり伝わるでしょう。

読み手だけでなく自分自身のためにも、レイアウトや構成を工夫してなるべくシンプルなものにしましょう。

数字を用いて信憑性を持たせる

職務経歴欄に業務実績を記載する際は、「売上〇〇円達成」「担当案件〇〇件」のように具体的な数字を用いて信憑性を持たせましょう。「前年度より売上が増えた」「たくさんの案件を担当していた」のように記載していても、具体性がない情報は客観的に良し悪しを判断することができません。

数値の表現方法にも工夫が必要です。単純に増加した分の数値を記載するだけでなく、「前年比120%」などのように表現を変えることで、相対的に判断することができ、実績の価値が伝わりやすくなる場合もあります。

企業が興味を持ちそうなキーワードを盛り込む

中途採用の場合、即戦力になることはもちろん、どのような実績を生んでくれそうかというポイントも企業は注目しています。応募職種や業界で需要のある経験やスキルを持っていれば、専門用語などを用いてアピールしましょう。

そうすることで企業は応募者の経歴により関心が強くなり、即戦力として採用する確立が高まるかもしれません。もし面接官が理解できないような用語であっても、面接の場でわかりやすく説明することができれば、より自身のスキルの高さをアピールすることができるでしょう。

人柄が伝わるような情報を盛り込む

企業は応募者のスキルだけでなく、人柄や人物像も重要な要素として注目しています。経験が豊富でスキルの高い優秀な人物だとしても、人柄に問題があったり企業が求める人物像でなければ、採用を見送るという選択も少なくありません。

職務経歴書には、どのような考えを持って仕事に取り組んでいたのか、どのようなことにやりがいを感じるのかなど、人柄や考え方がわかるような情報を記載するようにしましょう。そうすることで、採用担当者は企業理念とマッチするのか、求める人物像にマッチするのか判断することができます。

企業理念や求める人物像にマッチすると判断されれば、採用の可能性が大きく高まるでしょう。事前に応募先企業の経営理念や求める人物像を把握したうえで記載することがポイントです。

職務経歴書のよくある疑問

職務経歴書を初めて書くという方は、「これで本当に大丈夫かな」と疑問に思う点がいくつかあると思います。そこで職務経歴書の書き方や提出方法についてよくある疑問について解説します。

職務経歴書は手書きでも良いの?

職務経歴書は手書きでもPCで作成しても問題ありません。どちらが採用に有利ということもないので、ご自身が書きやすい方で作成しましょう。

しかし、先述した通り職務経歴書にはたくさんの情報を記入することになります。企業に提出する書類のため、鉛筆やシャープペンのように消せる筆記道具ではなく、ボールペン(フリクション不可)で記載しなければなりません。字を間違えてしまった場合は新しく書き直すか、二重線で訂正する必要があるため、PCで作成する方が無難です。

もし手書きで作成するという方は、書店などで市販の職務経歴書の原稿を買うと良いでしょう。白紙から作成しても問題はありませんが、時間がかかってしまうため市販の原稿を買うことをおすすめします。

職務経歴書の添削を誰かに依頼できる?

職務経歴書は書き方や表現を工夫することが大切です。中身は同じでも、表現の仕方や情報の整理の仕方によっては企業に与える印象は大きく変わるでしょう。そのため、職務経歴書は第三者に添削してもらい、万全の状態で提出したいと考える方も多いでしょう。

職務経歴書は、ハローワークの職業相談窓口で添削アドバイスを受けることができます。1人で進めていると主観的な書き方になってしまっていたり、大切なポイントをアピールしきれていないことに気付けなかったりします。誰かに添削してもらいたいと感じたら、お近くのハローワークの職業相談窓口に相談してみましょう。すぐに窓口に行けないという方は、ハローワークインターネットサービスのパンフレットを参考にしてみてください。

ハローワークインターネットサービス 履歴書・職務経歴書の書き方

他にも、転職エージェントサービスに申し込むことで、職務経歴書の添削サービスを受けることができます。転職エージェントサービスは基本的に無料で利用できることが多く、転職市場のトレンドを押さえた有効なアドバイスをもらえることもあります。

職務経歴書の提出マナーは?

企業から職務経歴書の提出を求められたら、できるだけ早く提出しましょう。企業によっては「面接当日までに送付してください」と指示されることもありますが、早めに提出した方が印象が良くなることは珍しくありません。

メールで送付する際は、応募書類が添付されている旨を件名に記載し、担当者が一目でわかるようにしましょう。細かな気遣いがあなたの印象を良くしてくれます。

直接手渡しで提出する際は、封筒に入れて提出しましょう。そのままの姿やクリアファイルで渡すのはNGです。郵送する場合は、送付状も一緒に封入して送ることが好ましいです。上から送付状→履歴書→職務経歴書という順番に重ねて封入しましょう。

職務経歴書で業務経験をアピールしよう

職務経歴書と履歴書の違いについてご紹介してきました。履歴書は基本的なプロフィール情報を提供するための書類です。そのため、これまでの業務経験や仕事に活かせるスキルをアピールする職務経歴書とは目的が異なります。

履歴書はある程度フォーマットが決められていますが、職務経歴書は自由度が高いため注意が必要です。職務経験を長々と書き綴るのではなく、採用担当者が「採用したい!」と思えるような自己PRに繋げましょう。

自分にとって一番のアピールポイントを伝えられる履歴書・職務経歴書を作成して、転職を成功させましょう。