トラックドライバーは物流に欠かせない存在ですが、技術の進歩などにより「将来性がない」「いずれ仕事がなくなる」といった意見も見られるようになっています。トラックドライバーとして働いていて大丈夫なのか、と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、トラックドライバーの将来性と、これからのキャリアパスについて解説していきます。トラックドライバーの魅力もまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。

トラックドライバーに将来性はある?

ネットショッピングの拡大や地方配送の需要の増加に伴い、物流業界の市場規模は拡大傾向にあります。トラックドライバーには高い将来性があるといって良いでしょう。物流の最終拠点から消費者へ商品を届けるラストワンマイル配送の重要性が増す中、地域に密着したドライバーは特に大きな役割を担っています

一方で、少子高齢化による人手不足が深刻化しており、業界全体で働きやすい環境づくりが進められています。労働時間の短縮や賃金の見直し、AIや自動運転技術の導入による作業負担の軽減が期待されています。

配送業の将来が不安視される理由

トラックドライバーの将来性が不安視されるのには、以下のような理由があります。

ドローン配送の可能性

ドローン配送は小規模商品の新たな配送手段として注目されています。とくに、ラストワンマイル配送(消費者の手元までの配送)において、ドローンの導入はコスト削減に効果的だといわれています。

一方、人手に依存するトラックドライバーの需要が減少するのではと懸念されるなど、従来の配送業には不安をもたらしています。ただし、大型貨物や都市部でのドローン運用については課題が残るため、現在人間が担っている配送業の全てをドローンで置き換えることは難しいでしょう。

自動運転の普及

自動運転技術の普及は、配送業界に劇的な変化をもたらすと予測されています。自動運転トラックが実現すれば長距離配送の効率が飛躍的に向上し、人件費の削減や24時間稼働が可能になるでしょう。

その反面、ドライバーの仕事が減少し、職業としての需要が低下する可能性が不安視されています。ただし、自動運転車の導入には高額な初期投資が必要であり、すぐに広く普及するとは考えにくいです。

AIの進歩による流通の最適化

AI技術の進歩により、物流業界では流通プロセスの最適化が急速に進んでいます。具体的には、配送ルートの効率化や需要予測、在庫管理の自動化などに活用されており、業務の生産性向上に大きく寄与しています。

しかし、配送業界の将来に不安をもたらしているという側面もあります。人の手を介さない運用が拡大し、ドライバーの仕事が減少する可能性があるからでしょう。たとえば、AIによる需要の予測が精度を増せば配送回数や人員の削減が可能になり、従来の業務量が減ると予想されています。

AIを活用したリアルタイムデータ分析によりドライバーの仕事が監視される形となり、精神的な負担が増えるという懸念もあります。

すぐにトラックドライバーが不要になることはない

物流業界では先述した自動運転技術やAI、ドローン配送などの新しい技術が進化していますが、現在人間が担っている配送業務を全面的に置き換えるのは難しいと考えられています。

自動運転技術は安全性や法規制の面で課題が多く、特に都市部や複雑な交通環境では実用化が困難とされています。ドローン配送は小規模な荷物には適していますが、大型貨物や特殊配送には不向きです。

このほか、物流の現場では、荷物の積み下ろしや顧客対応など、ドライバーの判断力やコミュニケーション能力が求められる場面が多いです。多様な顧客ニーズに対応する柔軟性や緊急時の対応力は、現在の技術では完全に代替できません。

今後は技術と人力を組み合わせた新しい働き方が求められ、ドライバーの役割が変わっていく可能性が高いでしょう。

トラックドライバーのキャリアパス

変わっていく物流業界において、トラックドライバーにはさまざまなキャリアパスの選択肢が考えられます。

スキルアップによる専門職への転身

トラックドライバーは、スキルアップすることで専門的な職業へ転身する道が開けるでしょう。牽引、大型免許、危険物取扱者資格などを取得することで、大型貨物や危険物輸送といった特殊な分野で活躍できるようになります。

これらの資格が必要なガソリンや化学薬品の輸送、大型トレーラーのドライバーなどは、一般的な貨物に比べて収入が多い傾向にあります。

管理職へのキャリアアップ

トラックドライバーとして培った経験を活かし、運行管理者や物流センター長といった管理職にステップアップする道もあります。

運行管理者資格を取得すれば、ドライバーのスケジュール調整や安全管理、コスト削減などの業務を担い、チーム全体の効率を向上させる役割を果たせます。物流センター長になれば、倉庫運営や配送計画の策定を行い、企業全体の物流戦略に貢献することも可能です。

独立・事業主としての挑戦

トラック運転手の経験を基に、独立して事業主になることも一つのキャリアパスです。個人事業主として自分のトラックを所有し、荷主と直接契約することで、働き方や収入を自由にコントロールできます。

複数台のトラックを所有する運送会社を設立し、経営者としてビジネスを拡大する道もあります。地域密着型のサービスを提供したり、特定のニッチ市場を狙ったりすることで、競争力を高めることが可能です。独立には資金調達や顧客の獲得といった課題が伴いますが、成功すれば経済的な安定と自己実現が達成できます

新技術に対応したポジション

物流業界における新技術の進展に伴い、トラックドライバーには新たな役割が求められる可能性があります。

たとえば、今後は自動運転トラックのオペレーターとして、システム監視やトラブル時の対応を行うポジションが生まれるかもしれません。AIやIoTを活用した運行管理システムのデータ分析や操作スキルを磨けば、物流効率を高める業務に携わることも可能になるでしょう。

上記のようなポジションは、新しい技術を活用しつつ、運転手としての経験を最大限に活かせる未来志向のキャリアパスだと言えます。

トラックドライバーの魅力

ここでは、トラックドライバーの魅力について解説していきます。トラックドライバーになることを考えている人は、ぜひチェックしてください。

高収入を狙いやすい

トラックドライバーは比較的高収入を狙いやすい職業です。とくに、大型トラックや特殊車両(タンクローリーやクレーン車など)の運転は、高い報酬が得られるでしょう。残業代や深夜手当も支払われるほか、会社によっては無事故手当を支給しているケースもあります。そのため、努力次第で収入を大幅に増やすことが可能です。

未経験者からでもキャリアを築ける

トラックドライバーは未経験者からでも始めやすい職業でありながら、長期的に安定したキャリアを築ける点が大きな魅力です。

中型トラックであれば普通免許でスタートでき、働きながら大型免許や特殊車両免許を取得してステップアップすることも可能です。多くの運送会社では、未経験者向けの研修制度や先輩ドライバーによるサポートが整備されており、基礎から丁寧に学べます

性別を問わず活躍できる

トラックドライバーは、性別を問わず活躍できる職業としても注目されています。物流業界全体で「女性も働きやすい環境づくり」が進められており、近年は女性ドライバーも増えてきました。

経験を積めば誰でもスキルアップができるため、性別に関係なくキャリアアップや高収入を目指せる点も魅力です。

物流業界で活躍しよう

トラックドライバーは、高収入が得やすく性別を問わず活躍できるなど、魅力の多い職業です。

トラックドライバーの将来性について不安視する声もありますが、物流の需要がなくなることはなく、ドライバーの需要もすぐになくなるとは考えにくいです。

しかし、AIをはじめとする技術が日々進歩していることを踏まえると、トラックドライバー以外のスキルを身につけておくのも一案かもしれません。今回ご紹介したように、キャリアパスも複数の選択肢が考えられるので、将来を見据えて行動してみてください。