工場において、様々な機械や設備を制御・操作する仕事であるマシンオペレーター。「覚えられない」「単調でつまらない」というネガティブな意見が散見されますが、果たして実態はどうなのでしょうか。

今回の記事では、マシンオペレーターの仕事内容について紹介します。向いている人の特徴や将来性についても解説するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

マシンオペレーターの主な仕事内容

マシンオペレーターはただ機械を操作するだけではありません。代表的な仕事内容は以下のようなものがあります。

  • 動力源の確保
  • 稼働準備・停止
  • プログラム選択・データ入力
  • 稼働状況の監視
  • 日常点検と定期保全
  • 突発故障時の初動対応

それぞれ詳しく解説していきます。

動力源の確保

機械を動かすためには、様々な準備が必要です。機械の状態を整えるだけでなく、機械を動かすための動力源を準備するのもマシンオペレーターの仕事です。

機械を動かすための動力源とは、主に、

  • 電気
  • 油圧
  • 空圧

などがあります。

電源を入れなければ、電気を使う機械を動かすことはできないでしょう。油圧を必要とする設備を動かすためには、タンクへ基準以上の作動油を確保しておく必要があります。機械の動きを制御するために、空圧を使用している部品も多くあります。

上記の動力以外にも、設備を動かす条件として冷却用の水や、潤滑油の準備が必要な設備もあるでしょう。機械ごとに必要となる動力源が異なるため、マシンオペレーターが準備して、設備を稼働できるようにしておかなければなりません。

稼働準備・停止

動力を確保できたら、機械を稼働できる状態に準備します。機械を動かすためには、関連する工程の準備も必要になります。

例えば、機械Aで加工された製品を搬送ロボットによって次工程である機械Bに搬送する工程があるとします。この場合、機械Aの準備ができていたとしても搬送ロボットが安全な位置にいなければ、機械Aが動いてしまうと搬送ロボットと衝突して故障するかもしれません。

上記のように、ある機械単体の準備が整っていたとしても、関連する工程の機械が準備できていなければ、機械を正常に稼働させることはできません。そのため、関連する工程の機械の準備も完了させて、稼働できる条件を整える必要があります。

生産が終了したら設備を停止させなければいけません。設備を停止する際は、次に稼働するときにスムーズに準備できるように、停止させる位置や姿勢を工夫する必要があります。

稼働準備・停止作業は、関連する工程の機械の状態も考慮して操作しなければならないため、機械だけでなく工程全体の理解が必要となる仕事だといえます。ちなみに工場では、稼働準備を「立ち上げ」、停止作業を「立ち下げ」と呼ぶことが多いです。

プログラム選択・データ入力

1つの機械で複数の製品を生産・加工することも珍しくありません。製品が変われば、加工条件や製品形状など様々な条件が変わるため、製品に合わせてプログラムを変更する必要があります。

あらかじめ機械に複数のプログラムを覚えさせている場合は、製品ごとに正しいプログラムを選択して稼働条件を変更させましょう。工程によっては、マシンオペレーターが機械に直接プログラムを入力して稼働させる場合もあります。

プログラムだけでなく、データを入力して加工条件を変更することもあります。特に、刃物を回転させて製品を切削するNC旋盤は、1基で様々な製品を生産しているケースが多いため、プログラム変更やデータ入力の作業が発生する可能性が高いでしょう。

選ぶプログラムを間違えたり、誤ったデータを入力したりしてしまうと、製品の品質に影響するだけでなく、部品の破損にも繋がり大きな損害を生み出してしまう可能性があります。慎重に確認して作業を進める丁寧さと責任感が求められるでしょう。

稼働状況の監視

設備が自動で稼働している場合でも、マシンオペレーターは稼働状況を監視しなければなりません。設備が稼働していると思っていても、何らかのトラブルで停まってしまい気付かないまま放置していると、生産数を低下させてしまうからです。

設備が正常に稼働しているかどうかだけでなく、加工された製品に異常がないかも確認しておきましょう。一見、正常に稼働しているように見えても機械になんらかの異常があれば製品の状態に影響を与えることがあります。

正しく監視することで、機械が大きな故障を起こす前に異常を発見することができ、長時間の設備停止を防ぐことができるかもしれません。地道な作業ですが、確認を怠らずにしっかり任務を全うすれば、稼働率向上に大きく貢献できるでしょう。

日常点検と定期保全

日常点検は、消耗品の状態や残量、設備の稼働環境など、設備が正常に稼働し続けられるように点検項目に従って日常的にチェックする作業です。設備が正常に稼働し続けるためには、機械の状態だけでなく、周囲の環境も正常に管理する必要があります。

例えば、冷却用の水の温度が20~30℃と定められているのに、35℃まで上昇してしまっていると、機械が冷却されず高温になり、やがて故障する可能性があります。

上記の例のように、設備が正常に稼働し続けられる条件が整っているかを日々欠かさず確認することが大切です。日常点検で異常が見つかったらすぐに対処することで、機械を停止させることなく正常に稼働を続けることができます。

日常点検だけでなく、定期保全を施すことによって機械を良い状態に保つことができます。「1週間に1回潤滑油を補給する」「2ヵ月に1回着座ピンを交換する」など、取扱説明書に記載されている定期保全項目を実施することも、マシンオペレーターの大切な仕事です。

突発故障時の初動対応

機械を長期間稼働させていると、いずれ突発故障を起こします。突発故障の程度にもよりますが、多くの場合、初動対応はマシンオペレーターが担当することになるでしょう。

突発故障が発生した際は、どういった経緯で故障が起こったか、今この状態で機械に近付いても良いかなど、冷静に状況を分析する能力が求められます。さらに、すぐに復旧して稼働させることが可能か、応急処置でその場をしのぐことができるかなど、的確な判断力も必要になるでしょう。

初動対応をした後に、自力ではどうにもできないと判断した場合は、速やかに保全担当部署や機械の製造メーカーにメンテナンスの依頼をしましょう。正しく情報が伝わるように、状況を整理して簡潔に伝えることが大切です。

マシンオペレーターの仕事が向いている人の特徴

マシンオペレーターの仕事は、以下のような特徴を持っている人に向いているといえます。

  • 冷静で的確な判断ができる人
  • 電気製品や機械に強い人
  • 慎重で丁寧な性格の人

冷静で的確な判断ができる人

マシンオペレーターは、他の職種と比較して頻繁にトラブルに対処する機会があります。そのため、冷静で的確な判断ができる人はマシンオペレーターに向いているといえます。

トラブルが発生した際、焦ってしまうと視野が狭くなってしまい、なかなか的確な判断を下すことが難しくなるでしょう。そのような状況でも、周囲の安全を確保したり、トラブルの経緯を分析したり、むやみに手を出さない冷静さが必要になります。

電気製品や機械に強い人

例えば、普段の生活で扱う家電やパソコン、スマートフォンの操作や取り扱いが得意な人はマシンオペレーターに向いています。マシンオペレーターは担当する機械の操作方法や構造などを理解する必要があるため、それを楽しいと思える人にとっては天職といえるでしょう。

操作や取り扱いが得意なだけでなく、取扱説明書をしっかり読んで機械のことを理解したいと思えれば尚良いです。

電気製品や機械に苦手意識がなければ、マシンオペレーターを目指してみても良いかもしれません。

慎重で丁寧な性格の人

マシンオペレーターは、日常点検や稼働条件の監視など、地道で細かな作業も多くあります。慎重で丁寧な性格な人であれば、項目を見落とさず細かな点検や監視を実施できるため、マシンオペレーターに向いているといえます。

日常点検や定期保全の中には、項目によってスケジュールがそれぞれ決まっているものもあります。大雑把に把握していれば、点検忘れや実施忘れが発生してしまうかもしれません。丁寧な性格であれば、毎日のルーティンワークであっても正確にこなすことができるでしょう。

マシンオペレーターのやりがいとは?

  • 他の職種と比べて上流工程を担当できる
  • 難しい機械や設備に対する理解を深められて知識が習得できる
  • 大きな機械や設備を動かすことに充実感を感じる

マシンオペレーターとして働いていると、上記のようなやりがいを感じることができます。

誰もが担当できる職種ではないため、責任は伴いますがその分上流工程を任せてもらえるという充足感もあるでしょう。

難しい操作がある一方で、スムーズに機械や設備の操作ができるようになってくると自分のスキルアップも実感しやすく、やりがいを見出せます。マシンオペレーターは、力仕事が少ないため男女関係なく活躍することができることも、1つの魅力でしょう。

マシンオペレーターの将来性は?

工場の仕事に限らず、世の中の多くの仕事はいずれロボットやAIに奪われるといわれています。特に工場では人に仕事を任せていると危険な箇所があったり、ミスが発生するリスクがあったりと、自動化を進めている職場も多いです。

しかし、マシンオペレーターはロボットや機械を操作する側なので、その職が奪われることは考えにくいです。そのため、工場の職種の中でも特に将来性がある仕事だといえるのではないでしょうか。

マシンオペレーターの経験を通して、機械や設備に対する知識をさらに深め、メンテナンスできるスキルを身に付けることができれば、より将来性を高めることができます。常にスキルアップする気持ちを忘れずに業務に取り組めば、替えのきかない人材として長く活躍できるでしょう。

マシンオペレーターに転職して工場で活躍しよう

マシンオペレーターの仕事について詳しく解説してきました。マシンオペレーターの仕事内容は多岐にわたり、習得には多くの時間と経験が必要になります。

しかし、他の職種では味わえないようなやりがいを感じることができたり、今後の将来性を見込めたりと様々なメリットもあります。「電気製品や機械に対して苦手意識がない」「機械の操作や理解を深めることが好き」という方にとっては天職といえるかもしれません。

マシンオペレーターの仕事に興味がある人は、ぜひこの記事を参考にしてマシンオペレーターへの転職を検討してみてはいかがでしょうか。