ピッキング作業は、物流倉庫や製造工場で欠かすことができません。ピッキング作業に興味があるけれど、「ピッキング作業はきつい」という声を聞いて不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、ピッキング作業の仕事内容やきついといわれている理由など、ピッキング作業に関する情報を詳しく解説します。ピッキングの仕事に興味があるという人は、ぜひ最後までご覧ください。
目 次
ピッキング作業の仕事内容
ピッキング作業とは、商品や部品を出荷するために指定された物品を倉庫内や工場内から集める作業のことです。ピッキングは、「拾い上げる」という意味を持つ英語の”pick up”（ピックアップ）に由来します。
リストや伝票などの指示書を基に、指定された物品を集めてカゴにまとめたりベルトコンベアに流したりすることが主な仕事内容です。物品の大きさや重さによってはフォークリフトを使うことがありますが、基本的には人の手で作業するため、専門的な知識やスキルは必要ありません。
通信販売の需要拡大に伴い、主に物流倉庫で募集されることが多く、お客様の手に渡る商品を扱うことができる、やりがいのある仕事です。
ピッキングの作業方法
ピッキング作業の進め方は、以下の3種類の方法があります。
- シングルピッキング
- トータルピッキング
- マルチオーダーピッキング
シングルピッキング
シングルピッキングとは、別名「摘み取り方式」とも呼ばれ、受注ごとに商品を1つにまとめる方式です。荷造り担当への引き渡しがスムーズになるというメリットから、通信販売で受けたオーダーを配送する際によく用いられます。
シングルピッキングの作業は、基本的には1人で行います。重い荷物や抱えきれないほどの数量をピッキングする際は、台車やカートを使用することもあるでしょう。工場や倉庫のレイアウトを把握し、おおよそどこに何があるか覚えておくとスムーズに作業が進められます。
トータルピッキング
トータルピッキングとは、別名「種まき方式」とも呼ばれ、複数の配送先へ送る商品を種類ごとにまとめて集め、配送先ごとに仕分ける方式です。物品の数が多くなるためミスが起こりやすいというデメリットがありますが、総出荷数が多い場合は効率良く進められるため、対企業向けの発送方式といわれています。
トータルピッキングは倉庫のエリアごとに担当が決められていることが多く、シングルピッキングのように動き回ってピッキングすることは少ないです。複数名のチーム単位で作業が行われることが一般的なので、チーム内でのコミュニケーションが大切になるでしょう。
マルチオーダーピッキング
マルチオーダーピッキングとは、受注数分のカゴやカートを用意して複数の注文をまとめてピッキングしながら、同時に仕分け作業を行う方式です。ピッキングしながら仕分け作業も同時に行うという、シングルピッキングとトータルピッキングの良い面を掛け合わせたピッキング方式といえます。
マルチオーダーピッキングは、1度にピッキングと仕分けができるため、効率が良く導線が短くて済み、作業者の負担も軽くなります。しかし、ピッキングと仕分けを同時に行うことでミスが発生するリスクが高まるでしょう。誤配送を防ぐために、慎重に検品作業をしなければなりません。
ピッキング作業がきついといわれる理由
ピッキング作業がきつといわれる理由は、以下の通りです。
- 同じ作業の繰り返しで飽きる
- 身体的に疲れる
- 繁忙期が過酷である
- 作業環境が悪い
同じ作業の繰り返しで飽きる
ピッキング作業は難しいルールもなく、指示に従って商品を集めたり仕分けたりする作業の繰り返しです。単調な作業を毎日繰り返すことになるので、だんだん刺激がなくなり飽きてしまってきついと感じることがあるでしょう。
特にシングルピッキングの場合は基本的に1人で黙々と作業するため、休憩時間以外は人と話す機会も少ないです。人と関わりながら仕事がしたい人は、ストレスを感じるかもしれません。
身体的に疲れる
ピッキング作業は広い倉庫や工場を歩き回りながら物品をピッキングするため、歩きっぱなしの作業となり体力を消耗します。ピッキングの際は、しゃがんだり背伸びしたりしながら棚から物品を取り出すこともあるでしょう。
扱う商品によっては、重い物品や大きい物品をピックアップしなければなりません。そのような作業を繰り返すことで身体には負担がかかり、疲労が溜まってくるでしょう。人によっては、慢性的な腰痛や肩こりに悩まされることもあるようです。
体力に自信がない人や、デスクワークのように座ったまま作業をしたい人にとって、ピッキング作業は向いていないでしょう。
繁忙期が過酷である
通信販売の荷物を出荷する物流倉庫であれば、イベントやセールの際に大量の注文が殺到し、極端に忙しくなります。大手の通信販売サイトはイベント期間だけでなく、定期的にセールを実施するため年に数回繁忙期が訪れます。
ブラックフライデーやクリスマス、年末年始は特に忙しくなり、1日でかなりの作業量をこなさなければなりません。当然、ミスが発生するリスクも高まり、ミスを起こしてしまえば上司から指導されることもあるでしょう。
イベントシーズンは世間が賑わっているのに、自分達は過酷なスケジュールで働かなければならないことで、精神的にきついと感じることもあります。繁忙期は、体力的にも精神的にもきついと感じる人は少なくないでしょう。
作業環境が悪い
ピッキング作業は基本的に倉庫や工場などの屋内で行われます。屋内なので「快適な環境で作業できるのでは」と感じる人もいるでしょう。
しかし、倉庫や工場には配送用の車両が頻繁に出入りするため、外気温の影響を大きく受ける可能性があります。夏は暑く、冬は寒いという環境になりやすいので、作業環境が悪くてきついと感じる人も少なくありません。
大きな倉庫や工場になれば空調が効きづらく、なかなか快適な温度では作業できないでしょう。動き回る必要があるため、スポットクーラーやスポットヒーターを設置して作業することもできません。
ピッキング作業の魅力
ピッキング作業は、きついといわれる一方で、以下のような魅力もあります。
- 未経験でも活躍できる
- 適度に身体を動かせる
- 達成感が感じられる
未経験でも活躍できる
ピッキング作業は難しいルールや手順がなく、専門的な知識やスキルも必要ありません。学歴や経験も重視されることがなく、未経験でも活躍することが可能です。
最初は仕事に慣れるまでに不安を感じたり戸惑ったりすることもあるかもしれません。しかし、慣れてくれば作業のコツや効率の良い進め方がわかってくるので、楽に感じることもあるでしょう。
複雑な作業を覚えることが苦手な人や、専門的な知識やスキルを持っていなくても活躍したいという人にとっては大きな魅力です。
適度に身体を動かせる
ピッキング作業は倉庫内や工場内を歩き回ったり、物品を持ち上げたりと身体を動かすことが多い仕事です。デスクワークでずっと座りながら仕事することが苦手な人には、おすすめの仕事といえるでしょう。
運動不足解消にも繋がるため、健康にも良い仕事です。仕事しながら運動不足を解消できるという点は、ピッキング作業の大きな魅力です。
達成感が感じられる
ピッキング作業は、単純作業の繰り返しになるためやりがいが薄い仕事だと思われがちですが、決してそのようなことはありません。ピッキング作業が円滑に進まなければ、工場の生産が滞ってしまったり、お客様の希望時間に商品を届けられなかったりするため、責任感とやりがいを感じられる仕事です。
トータルピッキングではチーム単位で仕事を進めていくため、やりがいや喜びをメンバー同士で共有できることも大きな魅力です。シングルピッキングで1人で作業をしていても、繁忙期を乗り越えた際には、大きな達成感を味わえるでしょう。
ピッキングの仕事が向いている人の特徴
以下の特徴を持っている人は、ピッキング作業が向いてるといえます。
- 丁寧に確認できる人
- 身体を動かしながら働きたい人
- 集中力が高い人
丁寧に確認できる人
ピッキングは指示書の通りに物品を集めなければ、誤配送を起こしてしまい取引先やお客様に迷惑をかけてしまいます。企業の信用も低下させてしまうでしょう。
そのため、ミスを起こさないように丁寧で慎重に仕事をできる人はピッキング作業に向いています。多少心配性なくらい何度も確認を行い、確実にミスを起こさないという気持ちで取り組めば、その姿勢が評価され待遇が良くなるかもしれません。
身体を動かしながら働きたい人
オフィスでのデスクワークや、工場での立ちっぱなしの作業が苦手で身体を動かして働きたいという人にとっては、ピッキングがおすすめです。
ピッキング作業は倉庫や工場を歩き回り、物品をピックアップしていく仕事なので、同じ場所に立ちっぱなし・座りっぱなしになることはほとんどありません。物品を集める際はほどよく筋肉にも負荷がかかり、良い運動になるでしょう。
集中力が高い人
ピッキング作業には高い集中力が必要です。作業に慣れてくると、最初の頃より気を張らずに作業できるようになるため、集中力が低下する傾向があります。集中力が低下するとミスを発生させるリスクも高まります。
ミスを発生させてしまうと取引先やお客様に大きな迷惑をかけてしまい、企業全体の信用を失ってしまうかもしれません。経験を重ねても高い集中力を保ち、ミスを発生させないように緊張感を持って仕事に取り組める人は、ピッキングの仕事に向いているでしょう。
ピッキング作業はきついだけではなく魅力もたくさん！
ピッキング作業について、詳しく解説しました。
ピッキング作業は単純作業の繰り返しや身体的な負担からきついといわれることがありますが、未経験でも活躍できたり達成感が感じられたりするという魅力もあります。特に、物流業界は今後も需要が高まる見込みがあり、私たちの生活基盤を支える重要な役割を果たすため、社会に大きく貢献できる業界です。
慎重で丁寧な性格の人や、高い集中力を保ち続けられる人はピッキングの仕事が向いているので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
