派遣社員の受け入れを検討するとき、最初に確認しておきたいのが「労働者派遣契約」です。派遣契約は、派遣会社と受け入れ企業の間で結ぶ契約であり、派遣社員に任せる業務内容や就業場所、就業時間、指揮命令者などを明確にするために必要です。

契約内容があいまいなまま派遣社員を受け入れると、現場で想定外の業務を任せてしまったり、指示を出す担当者が不明確になったりする可能性があります。また、抵触日の通知や待遇情報の提供など、派遣先企業が対応すべき手続きもあります。

本記事では、労働者派遣契約の基本、基本契約書と個別契約書の違い、契約書に記載する主な項目、締結前に必要な手続き、派遣社員を受け入れた後の管理まで、企業の担当者向けに分かりやすく解説します。

派遣のお仕事探しならMARU JOBにお任せください!

MARU JOBは、登録からお仕事開始後まで、担当者が丁寧にフォロー。希望条件の確認や、他の求人提案も柔軟に対応します。具体的な求人応募案件が未確定でも大丈夫!まずは相談・検索から始めてみましょう。

労働者派遣契約とは派遣元と派遣先が結ぶ契約

労働者派遣契約とは、派遣会社である派遣元と、派遣社員を受け入れる派遣先企業の間で結ぶ契約です。ここで押さえておきたいのは、派遣社員本人と派遣先企業が雇用契約を結ぶわけではないという点です。

派遣社員は派遣元と雇用契約を結び、派遣先企業の現場で働きます。派遣先企業は、派遣社員に対して日々の業務指示を出せますが、給与の支払い、社会保険の手続き、年次有給休暇の管理などは雇用主である派遣元が行います。

しかし、派遣先企業にも責任がないわけではありません。派遣先は、契約で定めた業務の範囲内で指揮命令を行い、就業環境や安全衛生、苦情対応などについて派遣元と協力する必要があります。

労働者派遣契約は、派遣元・派遣先・派遣社員の三者関係の中で、誰がどの仕事を、どこで、いつまで行うのかを整理するためのものです。

基本契約書と個別契約書の違い

労働者派遣契約では、実務上「基本契約書」と「個別契約書」を分けて作成することが一般的です。どちらも派遣元と派遣先の間で取り交わす書類ですが、役割が異なります。

書類主な役割記載する内容の例
基本契約書派遣取引全体に共通するルールを定める料金の支払い、機密保持、損害賠償、契約解除など
個別契約書派遣社員が就く具体的な仕事ごとの条件を定める業務内容、就業場所、派遣期間、就業時間、指揮命令者など

基本契約書は、派遣会社との取引全体に共通する条件をまとめるものです。継続的に派遣を受け入れる場合、毎回同じ取引条件を確認する手間を減らせます。たとえば、派遣料金の支払い方法、秘密保持、損害賠償、契約解除時の扱いなどを定めます。

一方、個別契約書は、実際に派遣社員が働く案件ごとに作成する契約書です。どの業務を担当するのか、どの部署で働くのか、就業時間はいつか、誰が指揮命令を行うのかといった具体的な就業条件を記載します。

企業間の取引条件を整理するのが基本契約書、派遣社員の就業条件を明確にするのが個別契約書と考えると分かりやすいでしょう。

個別契約書に記載する主な項目

個別契約書には、派遣社員が実際に働くうえで必要な条件を明確に記載します。記載内容に漏れやあいまいな点があると、派遣元と派遣先の認識がずれ、現場でトラブルになる可能性があります。主に確認したい項目は以下の通りです。

  • 派遣社員が従事する業務内容
  • 業務に伴う責任の程度
  • 就業場所の名称・所在地
  • 所属する部署や組織単位
  • 指揮命令を行う担当者の氏名・役職
  • 派遣期間と就業日
  • 始業・終業時刻、休憩時間
  • 時間外労働や休日労働の取り扱い
  • 安全衛生に関する事項
  • 苦情があった場合の対応窓口
  • 派遣元責任者・派遣先責任者の氏名と連絡先
  • 派遣料金に関する事項
  • 契約解除時の対応に関する事項

特に重要なのが、業務内容と指揮命令者です。業務内容が広すぎると、契約で想定していない仕事まで任せてしまうおそれがあります。また、指揮命令者があいまいだと、複数の社員から異なる指示が出て、派遣社員が混乱する原因になります。

就業場所や組織単位も、単に住所を書くだけでは不十分です。どの事業所のどの部署で働くのかを明確にしておくことで、派遣期間の管理や現場での責任範囲を確認しやすくなります。

個別契約書は形式的に作成するものではなく、現場で派遣社員が安心して働くための前提を整える書類です。実際の業務内容と契約書の記載にズレがないか、締結前に必ず確認しましょう。

派遣社員には、法律上担当できない業務があります。契約締結後のトラブルを防ぐためにも、業務内容を決める段階で禁止業務や注意点を確認しておきましょう。

労働者派遣契約を結ぶ前に必要な手続き

個別契約書を作成する前には、派遣先企業側で確認・対応すべき手続きがあります。派遣会社にすべて任せるのではなく、派遣先として必要な情報を提供することが大切です。

抵触日を派遣元へ通知する

派遣を受け入れる際は、派遣可能期間の制限に関わる「抵触日」を確認する必要があります。抵触日とは、派遣受け入れ期間の制限に抵触する日のことです。派遣先企業は、事業所単位の抵触日を派遣元へ通知します。

抵触日の通知がないままでは、派遣元は適切に契約を進められません。派遣を受け入れる予定がある場合は、自社の事業所でいつから派遣を受け入れているのか、受け入れ期間に問題がないかを確認しておきましょう。

待遇情報を派遣元へ提供する

派遣社員の待遇を決めるためには、派遣先企業から派遣元へ必要な待遇情報を提供する必要があります。派遣社員の待遇決定方式には、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を考える方式と、派遣元の労使協定にもとづく方式があります。

どちらの方式を採用するかによって、派遣先が提供する情報の内容は変わります。たとえば、比較対象となる労働者の業務内容や責任の程度、待遇に関する情報が必要になる場合があります。休憩室や更衣室、給食施設などの福利厚生に関する情報提供が求められることもあります。

派遣元は、派遣先から提供された情報をもとに派遣社員の待遇を決定します。そのため、契約締結の直前になって慌てないよう、派遣会社から求められる情報を早めに確認しておくことが大切です。

派遣社員を受け入れる際は、事業所単位の抵触日を正しく把握し、派遣元へ通知する必要があります。通知のタイミングや記載内容、企業側の注意点を事前に確認しておきましょう。

派遣契約を結ぶまでの流れ

派遣社員を受け入れるまでの流れは、派遣会社や案件によって細かく異なりますが、一般的には以下のように進みます。

  1. 派遣会社へ人材ニーズを相談する
  2. 任せたい業務内容や就業条件を整理する
  3. 必要に応じて基本契約書を締結する
  4. 抵触日を派遣元へ通知する
  5. 待遇情報を派遣元へ提供する
  6. 個別契約書で具体的な就業条件を定める
  7. 派遣社員の受け入れを開始する
  8. 派遣先管理台帳を作成・保管する

契約書を作成する前に、まずは「どの業務を任せたいのか」を自社内で整理しておくことが重要です。業務内容があいまいなまま派遣会社に相談すると、必要なスキルや就業条件が定まりにくく、契約書にも反映しづらくなります。

また、契約締結後は、派遣先管理台帳の作成や就業実績の管理など、受け入れ後の対応も必要です。派遣契約は「契約書を交わしたら終わり」ではありません。実際の就業が契約内容に沿っているかを確認しながら運用することが大切です。

派遣社員を受け入れる際に注意したいポイント

労働者派遣契約を結ぶ際は、書類の記載だけでなく、受け入れ後の現場運用まで考えておく必要があります。特に、以下の点は事前に確認しておきましょう。

契約外の業務を任せない

派遣社員には、個別契約書で定めた業務内容の範囲内で仕事を依頼します。現場で人手が足りないからといって、契約にない業務を任せると、派遣契約とのズレが生じる可能性があります。

業務内容を変更したい場合は、現場だけで判断せず、派遣元へ相談しましょう。必要に応じて契約内容の変更や再確認を行うことが大切です。

指揮命令者を現場で共有しておく

派遣社員に指示を出す担当者は、契約書上だけでなく、現場でも明確にしておく必要があります。指揮命令者が分からない状態では、派遣社員が誰に確認すればよいか迷ってしまいます。

受け入れ前に、派遣社員へ指示を出す担当者、勤怠や業務報告の確認者、困ったときの相談先を社内で共有しておきましょう。

苦情や相談への対応窓口を決めておく

派遣社員が働く中で、業務内容、職場環境、人間関係、就業条件などについて相談したい場面が出てくることがあります。その際、派遣先と派遣元のどちらに相談すればよいのかが分からないと、問題が大きくなる可能性があります。

個別契約書に記載するだけでなく、実際に相談があった場合に誰が対応するのか、派遣元とどのように連携するのかを決めておきましょう。

派遣社員の受け入れ後は、指示の出し方や情報共有、定期的なフォローも重要です。派遣社員の定着や業務成果につながるマネジメント方法を確認しておきましょう。

労働者派遣契約は書類作成だけでなく運用管理まで確認しよう

労働者派遣契約は、派遣会社と派遣先企業の間で結ぶ契約です。実務上は、派遣取引全体のルールを定める基本契約書と、具体的な就業条件を定める個別契約書を分けて作成することが一般的です。

個別契約書には、業務内容、就業場所、派遣期間、就業時間、指揮命令者、責任者、苦情対応など、派遣社員が働くうえで重要な条件を記載します。また、締結前には抵触日の通知や待遇情報の提供といった手続きも必要です。

派遣契約は、単に書類を作るための手続きではなく、派遣社員が安心して働き、派遣先企業が適切に受け入れを行うための土台です。契約内容と実際の現場運用にズレがないかを確認しながら、派遣元と連携して進めましょう。

派遣社員の受け入れや人材活用について相談したい方は、MARU JOBもぜひご活用ください。

派遣のお仕事探しならMARU JOBにお任せください!

MARU JOBは、登録からお仕事開始後まで、担当者が丁寧にフォロー。希望条件の確認や、他の求人提案も柔軟に対応します。具体的な求人応募案件が未確定でも大丈夫!まずは相談・検索から始めてみましょう。