期間工は工場勤務の中でも給与が高い雇用形態ではありますが、安定という観点で見ればやはり正社員として働きたいと考える方もいるでしょう。しかし、期間工から正社員になるのは決して簡単ではありません。
この記事では期間工と正社員の違いを踏まえ、期間工が正社員になるメリットやデメリットについて紹介します。期間工から正社員への登用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目 次
そもそも期間工とは
まずは期間工の特徴について紹介します。
期間工とは、主に自動車メーカーや製造業などの工場において働く期間が定められている従業員のことであり、ほとんどが数カ月〜2年11ヵ月までの契約期間とされています。
期間工の雇用期間が2年11ヵ月までとされているのは、労働基準法によって同じ企業で3年以上勤務する派遣社員は、正社員として雇用しなければいけないと定められているためです。しかし、同じ企業内だとしても3年のうちに部署異動などをすれば問題ありません。
期間工が正社員になるメリットとは
期間工と正社員には明確な違いがあり、期間工から正社員になることには、以下のようなさまざまなメリットがあります。
- 長期雇用が保証される
- 昇給や昇格が可能になる
- 社会的信用が高くなる
- スキルアップ・キャリアアップが目指せる
長期雇用が保証される
期間工は雇用の期間が定められているのに対し、正社員は雇用期間が定められておらず、長期での雇用がある程度保証されます。
派遣や契約社員など雇用期間が定められている場合、企業側の業績悪化や社内の経営戦略によって雇用を切られるケースは少なくありません。そのため、自身が長期の就業を望んでいたとしても、いきなり契約を打ち切られてしまうこともあります。
その点、正社員は雇用期間の定めが無く、企業の一方的な都合で雇用を切ってしまうと違法にあたるため、安定して長期就業が可能です。
昇給や昇格が可能になる
期間工は契約期間が定められている代わりに高給与なケースが多いですが、基本的に昇給や昇格はありません。そのため、どれだけ長く就業しても一定の給与で留まってしまいます。
対して正社員の場合はほとんどが昇給や昇格の制度があり、長い期間働けば働くほど給与が上がりやすく、昇格に伴ってキャリアアップも見込みやすいです。期間工と正社員で同じ期間就業をしたとしても、期間工だからという理由で給与が上がらなければ仕事へのモチベーションにも影響してしまうでしょう。
社会的信用が高くなる
期間工は雇用の期間が定められているため、いつ企業から雇用を切られるかわかりません。いつ雇用を切られて収入が無くなってしまうか分からない状態では、社会的な信用が低いと見なされクレジットカードやローンの審査が通りにくくなってしまいます。
そのため、将来的に車や住居の購入をローンで検討している人には、支障が出てしまうでしょう。その点、正社員として長い期間企業に在籍していることで社会的信用が上がり、ローンなどの審査が通りやすくなることで人生にとって大きなメリットに繋がります。
スキルアップ・キャリアアップが目指せる
期間工は基本的に、入社時に契約した仕事以外の仕事は任せてもらえません。同じ工程で同じ作業を繰り返すことになるため、スキルを身につけることが難しいでしょう。
さらに、仕事におけるポジションも変わりません。どれだけ長い期間一生懸命仕事をしても、期間工だからという理由だけで昇格できなければ自身のキャリアアップにも繋げられません。
その点、正社員として就業することで将来的にリーダーや管理職などのスキルアップ・キャリアアップにも繋げやすくなります。
期間工が正社員になるデメリットとは
期間工が正社員になることでさまざまなメリットがありますが、同時にデメリットも伴います。
メリットだけでなくデメリットも把握したうえで期間工から正社員への登用を考えた方が良いので、理解しておきましょう。
- 給与が下がることがある
- 責任が増える
- 多様な業務を任せられる
給与が下がることがある
一般的に1番給与が高くなりやすいのが正社員と思われがちですが、期間工は契約の期間が短い代わりに高給与である働き方です。そのため、短期間だけに焦点を当てた場合、時には正社員よりも期間工の方が給与が高いということも起こり得ます。
期間工の時の給与が無ければ生活面に支障が出てしまうという人は、期間工から正社員になるのは慎重に考えるべきでしょう。
責任が増える
基本的に期間工のときは、ミスをしたり至らない点があったとしても、監督する上司の責任になります。もちろん、仕事をしている以上最低限の責任は伴いますが、そこまで大きな責任が伴うことはありません。
しかし、正社員になると求められる責任が大きくなります。立場の違いはあれど、それぞれの立場に求められる責任を全うできなければ、上司や先輩から指導を受けることがあるでしょう。
多様な業務を任せられる
期間工のときは、基本的に契約時に企業と契約した仕事をしていれば、それ以外の仕事を頼まれることはありません。頼まれたとしても断ることができます。
しかし、正社員になれば今までやらなくてもよかったような雑務を頼まれれば、基本的に応じなければなりません。業務時間中だけでなく、休日の会社イベントへの参加を求められることもあるでしょう。
期間工が正社員になるための条件とは
期間工が正社員になるための条件は企業によって異なりますが、条件をクリアできなければ正社員への登用はできません。
正社員になるための主な条件は、以下のようなことが挙げられます。
- 20代~30代である
- 勤務期間が半年以上である
- 上長から推薦される
- 正社員登用試験に合格する
20代~30代である
期間工から正社員への登用制度を設けている企業の多くは、年齢制限を設けており、20代~30代でなければ正社員になれないことが多いです。会社側としては、今後も長く働いてもらうことを望んで正社員登用をするため、年齢制限を設けています。
しかし、中には上長からの信頼や能力、経験によって40代でも正社員への登用をしている企業もあるため、事前に確認しておきましょう。
勤務期間が半年以上である
期間工が正社員への登用されるには、最低でも半年以上の勤務が必要です。
やる気があったとしても、半年より短い期間で決断を下すのは双方にリスクがあるため、正社員になってもやっていけそうかをある程度の期間働いて見極める必要があります。半年以上勤務して、それでもこの会社で長く働きたいと感じるのであれば、正社員になりたいということを上長に相談してみましょう。
上長から推薦される
期間工が正社員への登用されるためには上長からの信頼が必要不可欠であり、いかに能力や経験があっても上長から認められなければ正社員にはなれません。
上長に認められ信頼されるためにも、日頃から上長とのコミュニケーションを欠かさず、どのような人材が求められているのかを把握しましょう。
正社員登用試験に合格する
上長からの推薦を受けたうえで、正社員への登用試験に合格しなければいけません。
どれだけ上長からの推薦が強かったとしても、試験に合格しなければいつまでも正社員への登用は困難です。試験の内容は企業によって異なりますが、事前に試験の内容や傾向を確認しておくことをおすすめします。
期間工が正社員になるために気を付けることとは
誰でも期間工から正社員になれるわけではありません。正社員になる為にはいくつか気を付けるべきことがあります。
正社員への登用を検討している人は、以下のような点に注意してみてください。
- 日頃の勤務態度
- 職場内の人間関係
- 寮での生活態度
日頃の勤務態度
期間工から正社員になるには、日頃の勤務態度に気を付けましょう。真面目に仕事に取り組むだけでなく、苦手なことにでも意欲的に取り組む姿勢を見せることで周囲から良い印象を持たれるでしょう。
遅刻や欠勤、体調管理なども評価の対象になります。遅刻や欠勤を繰り返せば周囲に迷惑をかけることになり、社会人として最低限のルールを守れないと思われても仕方ありません。頻繁に体調を崩すようであれば、健康上の理由から正社員への登用を推薦されないこともあります。
正社員として就業する以上、周りの従業員の模範となる言動や行動をしなければいけないため、日頃の勤務態度からアピールしていきましょう。
職場内の人間関係
仕事を円滑に進めるためには、職場内で良好な人間関係を築かなければいけません。工場勤務は人と話さなくても良いと思っている人は多いですが、職場の仲間とは良好なコミュニケーションを取る必要があります。
良好な人間関係を築けなければ、職場内の雰囲気を悪くしてしまったり、他の従業員のモチベーションを低下させてしまう恐れがあります。周囲から応援される人材になるためにも、普段から仲間とコミュニケーションを取り、良好な関係を築きましょう。
寮での生活態度
工場で勤務する期間工は、会社が提供する寮で生活することが一般的です。普段の勤務態度が良かったり、職場内で良好な人間関係を保てていたとしても、寮での生活態度が悪ければ印象は悪くなってしまうでしょう。
寮生活のルールを守らない、生活がだらしないなど寮の管理者や周囲の人から苦情が入れば、職場の上長の耳にも届きます。私生活なのである程度のルーズさは許容されるべきですが、会社が提供している施設を使わせてもらっているということも忘れないでおきましょう。
メリット・デメリットを把握したうえで正社員への登用を目指そう!
今回は、期間工から正社員になるメリットやデメリットについて紹介しました。
期間工から正社員になることでさまざまなメリットがありますが、同時にデメリットも伴います。また、人それぞれ仕事に対して求めることが異なるため、一概に正社員になる方が良いというわけではありません。
自身の価値観や考え方に応じて正社員になるのか、期間工のままの方が良いのか検討すると良いでしょう。