派遣社員として働いている人を、自社で直接雇用したいと考える企業は少なくありません。すでに業務に慣れている人であれば、採用後のミスマッチを抑えやすく、教育にかかる時間も短縮しやすいからです。

一方で、派遣社員を直接雇用へ切り替える際は、派遣会社との調整や手数料の確認、本人への労働条件の提示など、事前に確認すべきことがあります。企業側が一方的に話を進めると、派遣会社や本人との認識違いにつながる可能性もあります。

本記事では、派遣社員を直接雇用に切り替える主な方法、手続きの流れ、企業側のメリットと注意点、派遣社員本人が確認したいポイントを解説します。

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派遣社員を直接雇用に切り替えるとは

派遣社員を直接雇用に切り替えるとは、派遣会社と雇用契約を結んでいた派遣社員を、派遣先企業が自社の従業員として雇い入れることです。切り替え後は、派遣会社ではなく派遣先企業が雇用主になります。

派遣で働いている間、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業の指揮命令を受けて働きます。給与の支払いや社会保険の手続きは派遣会社が行い、派遣先企業は派遣会社に派遣料金を支払う仕組みです。

直接雇用に切り替えると、給与の支払い、社会保険の手続き、労働条件の管理、人事評価などは自社で行うことになります。雇用形態は正社員に限らず、契約社員、パート、アルバイトなども含まれます。

直接雇用への切り替えは、派遣社員をそのまま自社の戦力として迎え入れる方法です。ただし、切り替え方によって手続きや費用が変わるため、事前にルートを整理しておくことが大切です。

派遣社員を直接雇用に切り替える主な方法

派遣社員を直接雇用に切り替える方法は、主に「紹介予定派遣を活用する方法」と「通常の派遣から切り替える方法」に分けられます。すでに受け入れている派遣社員を雇用する場合は、雇用安定措置や抵触日のタイミングが関係することもあります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。

紹介予定派遣から直接雇用する

紹介予定派遣とは、派遣期間の終了後に直接雇用へ切り替えることを前提とした派遣の形です。企業と派遣社員の双方が合意すれば、派遣期間後に直接雇用へ移行します。

紹介予定派遣では、通常の派遣とは異なり、事前の面接や書類選考が認められています。実際に働いてもらいながら、スキルや人柄、職場との相性を確認できるため、採用後のミスマッチを抑えやすい点が特徴です。

直接雇用が成立した場合は、派遣会社に職業紹介手数料を支払うのが一般的です。これから新しく人材を受け入れ、将来的な直接雇用まで見据えたい場合は、紹介予定派遣が魅力的な選択肢といえるでしょう。

紹介予定派遣では、一定期間実際に働いたうえで、企業と派遣社員の双方が直接雇用へ進むかを判断できます。通常の派遣との違いや直接雇用までの流れを確認しておきましょう。

通常の派遣から直接雇用へ切り替える

すでに通常の派遣として受け入れている人を、企業が直接雇用したいと考えるケースもあります。長く働く中で業務に習熟し、現場に欠かせない人材になっている場合は、直接雇用への切り替えを検討する価値があります。

この場合、企業が本人へ直接話を進める前に、まず派遣会社へ相談することが大切です。派遣契約の内容によっては、直接雇用にあたって派遣会社との調整や手数料の確認が必要になることがあります。

通常の派遣から切り替える場合でも、本人の同意は欠かせません。企業側が直接雇用を希望していても、本人が派遣という働き方を続けたいと考えている場合もあります。雇用形態や給与、勤務条件を丁寧にすり合わせることが重要です。

雇用安定措置に基づいて直接雇用を検討する

同じ組織単位で一定期間継続して働く見込みがある派遣社員については、派遣会社が雇用安定措置を講じる場合があります。雇用安定措置には、派遣先企業への直接雇用の依頼、別の派遣先の提供、派遣元での無期雇用などがあります。

派遣元から直接雇用の依頼を受けた場合、派遣先企業は自社の採用計画や本人の働きぶり、労働条件を踏まえて検討します。すでに現場で実績のある人であれば、採用後のミスマッチを抑えながら雇用しやすいでしょう。

ただし、雇用安定措置に基づく依頼があったからといって、必ず直接雇用しなければならないわけではありません。自社の人員計画や業務の継続性、本人の希望を確認したうえで判断することが大切です。

抵触日の前後で直接雇用を検討する

派遣社員の受け入れには、原則として期間制限があります。同じ人を同じ組織単位で受け入れ続けられる期間には上限があるため、抵触日が近づいたタイミングで今後の働き方を検討するケースがあります。

抵触日を超えて同じ人に同じ部署で働き続けてもらいたい場合、派遣ではなく直接雇用へ切り替えることが選択肢になります。業務に慣れた人材を継続して確保したい企業にとっては、抵触日が直接雇用を考える一つの節目になります。

期間制限の管理を誤ると、法令上の問題につながる可能性があります。派遣社員の受け入れ期間や抵触日は、派遣会社と確認しながら早めに整理しておきましょう。

抵触日が近づいた場合は、直接雇用だけでなく、別部署への異動や新しい派遣先への変更なども選択肢になります。直接雇用を提案する際の注意点とあわせて確認しておきましょう。

直接雇用へはどの方法で切り替えるべきか

直接雇用への切り替え方法は、現在の受け入れ状況によって向いているルートが変わります。これから人材を受け入れる段階なのか、すでに働いている派遣社員を雇用したいのかで、選ぶべき方法は異なります。

状況向いている方法特徴
これから採用したい紹介予定派遣直接雇用を前提に受け入れ、働きぶりを見て判断できる
すでに派遣で働いている人を雇いたい通常の派遣から切り替え業務に慣れた人材を自社で雇用できる
派遣元から直接雇用の依頼があった雇用安定措置に基づく検討本人の希望や自社の採用計画を踏まえて判断する
抵触日が近づいている抵触日に合わせた切り替え期間制限を踏まえて継続雇用を検討できる

紹介予定派遣は、最初から直接雇用を見据えて進められる点がメリットです。一方、すでに派遣で受け入れている人を雇用したい場合は、派遣会社との契約内容や手数料の有無を確認したうえで進める必要があります。

直接雇用への切り替えでは、自社の希望だけでなく、派遣会社との契約内容と本人の意向を確認することが欠かせません。どのルートを選ぶ場合でも、早めに派遣会社へ相談しましょう。

直接雇用へ切り替える手続きの流れ

派遣社員を直接雇用へ切り替える際は、派遣会社、派遣社員本人、自社の関係部署で認識をそろえながら進める必要があります。一般的な流れは以下の通りです。

  1. 自社内で直接雇用の必要性を整理する
  2. 派遣会社へ直接雇用を検討していることを相談する
  3. 手数料や契約上の取り決めを確認する
  4. 派遣社員本人の意向を確認する
  5. 雇用形態や給与、勤務条件を決める
  6. 労働条件通知書や雇用契約書を用意する
  7. 派遣契約の終了日と直接雇用の開始日を調整する
  8. 社会保険や勤怠管理などの社内手続きを進める

特に重要なのは、派遣契約の終了日と直接雇用の開始日を明確にすることです。日付があいまいだと、雇用主がどちらなのか、給与や社会保険の扱いがどうなるのかで混乱する可能性があります。

また、派遣社員本人に対しては、直接雇用後の条件を口頭だけで伝えるのではなく、書面で提示しましょう。雇用形態、契約期間、給与、就業時間、休日、勤務地、業務内容、試用期間の有無などを明確にしておくことで、切り替え後のミスマッチを防ぎやすくなります。

企業が直接雇用へ切り替えるメリット

派遣社員を直接雇用へ切り替えることには、企業側にも大きなメリットがあります。すでに働きぶりを把握している人材を雇用できるため、新規採用よりもミスマッチを抑えやすい点が特徴です。

業務に慣れた人材を確保できる

派遣社員として一定期間働いている人は、すでに自社の業務内容や職場のルールを理解しています。直接雇用へ切り替えれば、教育にかかる時間を抑えながら、即戦力として働いてもらいやすくなります。

特に、専門的な作業や現場独自のルールが多い職場では、業務に慣れた人を確保できることは大きなメリットです。

採用のミスマッチを抑えやすい

通常の採用では、履歴書や面接だけで判断しなければならないこともあります。一方、派遣からの直接雇用であれば、実際の勤務態度、スキル、周囲との相性を確認したうえで雇用を判断できます。採用後に「思っていた人材と違った」と感じるリスクを減らせるため、定着にもつながりやすくなります。

長期的な育成や配置がしやすくなる

直接雇用に切り替えると、自社の人事制度の中で育成や評価を行いやすくなります。契約更新や派遣期間の制限を気にせず、長期的な戦力として配置を考えられる点もメリットです。

将来的にリーダー業務を任せたい、複数業務を覚えてもらいたいといった場合も、自社雇用のほうが育成計画を立てやすくなります。

企業が注意したいデメリットと確認事項

直接雇用への切り替えにはメリットがある一方で、企業側が確認しておきたい点もあります。雇用主が自社に変わるため、費用や労務管理の負担も変わります。

人件費や労務管理の負担が増える

直接雇用に切り替えると、給与、社会保険料、福利厚生、賞与、退職金制度の有無などを自社で管理することになります。派遣料金として支払っていた費用とは内訳が変わるため、切り替え後の総額を事前に試算しておくことが大切です。

また、勤怠管理、契約更新、評価、教育、労務トラブルへの対応なども自社の責任になります。受け入れ部署だけでなく、人事・総務とも連携して準備しましょう。

紹介手数料が発生することがある

紹介予定派遣や、派遣会社による職業紹介を経て直接雇用する場合は、紹介手数料が発生することがあります。また、通常の派遣から切り替える場合でも、契約内容によっては手数料の取り決めがあるケースがあります。

手数料の有無や金額、発生条件は派遣会社との契約によって異なります。直接雇用を打診する前に、派遣会社へ確認しておきましょう。

本人が直接雇用を希望しない場合もある

企業側が直接雇用を希望していても、派遣社員本人が応じるとは限りません。派遣という働き方の柔軟さを重視している人や、勤務地・勤務時間・仕事内容を限定して働きたい人もいます。

直接雇用への切り替えを進める際は、企業側の都合だけで判断せず、本人の希望を丁寧に確認することが大切です。雇用形態や給与だけでなく、勤務時間、転勤や異動の有無、業務範囲の変化も説明しましょう。

派遣社員が直接雇用を打診されたときに確認したいこと

派遣社員側にとって、直接雇用の打診は大きな転機になります。安定して働ける可能性がある一方で、雇用形態や労働条件が変わるため、内容をよく確認したうえで判断することが大切です。特に、以下の項目は確認しておきましょう。

  • 雇用形態は正社員・契約社員・パートのどれか
  • 雇用期間の定めがあるか
  • 給与や賞与、昇給の有無
  • 社会保険や福利厚生の内容
  • 勤務時間や休日
  • 勤務地や転勤の有無
  • 業務内容や責任範囲の変化
  • 試用期間の有無

「直接雇用」と聞くと正社員をイメージしやすいですが、実際には契約社員やパートとして雇用される場合もあります。派遣のときより収入が下がる、勤務条件が変わる、転勤や異動の対象になるといった可能性もあるため、条件を比較して判断しましょう。

直接雇用を受けるかどうかは、口頭の説明だけで決めず、労働条件通知書や雇用契約書で内容を確認してから判断することが大切です。

派遣社員の直接雇用は派遣会社と本人の意向を確認して進めよう

派遣社員を直接雇用へ切り替える方法には、紹介予定派遣、通常の派遣からの切り替え、雇用安定措置に基づく検討、抵触日に合わせた切り替えなどがあります。どの方法が適しているかは、現在の受け入れ状況や本人の希望、自社の採用計画によって変わります。

企業側は、派遣会社との契約内容や紹介手数料の有無を確認し、本人には雇用形態や給与、勤務条件を明確に提示することが大切です。直接雇用は、業務に慣れた人材を長期的に確保できる一方で、労務管理や人件費の負担も自社に移ります。

直接雇用への切り替えを成功させるには、派遣会社・企業・本人の三者で認識をそろえながら進めることが重要です。派遣でのお仕事探しや、直接雇用につながる職場を探している方は、MARU JOBのお仕事情報もぜひご活用ください。

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