工場検査の仕事へ応募してみようと思っているものの、「検査の仕事はきついらしい」と聞いて不安を感じていませんか。検査は「ものづくり」にとって大切な工程の一つで、品質を守るために重要ですが、向いていない人が従事するときついと感じることも多いようです。

この記事では、工場検査の仕事がきついといわれる理由について解説しています。検査職に向いている人と従事するメリットについてもまとめているので、最後までご覧ください。

工場検査の仕事内容

食品、機械、医薬品など、すべての工場で行われている検査の仕事は、主に製品の検査と製造工程での検査に分けられます。製品の検査は「検品」「品質検査」などと呼ばれ、完成した製品が基準に達しているか、異物混入や動作不良がないかといったことをチェックします。

一方で、製造工程での検査は、製品が規格通りに造られているかを確認し、規格外のものを工程から除去するのが主な仕事です。

工場の検査は、以下のような方法で行われます。

  • 目視検査
  • 機械検査
  • モニター検査
  • ふき取り検査 など

顕微鏡や測定機などの専門機器を使用する機械検査は、目視検査と併用することが多く、工場によっては自動で問題のある製品を除去する検査機械も使われています。

このほか、作業台に有害物質が付着していないか調べる「ふき取り検査」や、画面を見ながらチェックするモニター検査など、さまざまな検査方法がありますが、工場によって検査項目や手順は異なります。

工場検査がきついといわれる理由

検査の仕事は、力仕事ではないので一見楽そうにも見えますが、なぜ「きつい」といわれているのでしょうか。検査の仕事がきついといわれるのには、主に以下の理由があります。

  • 高い集中力が必要になる
  • 同じ作業の繰り返し
  • 身体に負担がかかる場合もある
  • 不備を指摘しなければならない

高い集中力が必要

製品の不良や異物を見落とさないためには、高い集中力が必要です。ライン作業ではベルトコンベアのスピードに合わせて検査しなくてはならないため、集中力が切れてしまうと自分の場所で製品の流れが滞ってしまう可能性があります。

いざ働きはじめると、長い時間集中力を維持する必要があるので、想像以上に疲れを感じるかもしれません。

同じ作業の繰り返し

検査の仕事は同じ作業の繰り返しというのも、きついと感じるポイントです。製造工程や製品に問題が見つかれば、ラインを停めて対処することもありますが、基本的には変化のない作業を繰り返すことになります。

ルーティンワークをこなすのが苦手な人は、モチベーションが維持できず作業がきついと感じてしまうでしょう。

身体に負担がかかる場合もある

工場検査は、業務内容によっては「目が疲れる」「肩が凝る」といった症状に悩まされる人も少なくありません。疲れを溜めないよう、休憩中はしっかり目を休ませる、定期的にストレッチをするといった工夫が必要になるでしょう。

休憩室が完備されている職場では仮眠をとることも可能なので、体の負担を軽減することを考えて休憩時間を過ごしてみてください。

不備を指摘しなければならない

検査した結果、不良品や不備などが見つかった場合は、工程の責任者や作業員に指摘しなければならないケースもあります。こうした機会はそれほど多くありませんが、人とコミュニケーションをとるのが苦手な人はストレスに感じてしまうでしょう。

伝え方によっては人間関係が悪くなってしまうこともあるため、精神的にきついと感じることがあります。

工場検査のメリット

工場検査は、人によってはきついと感じることがありますが、以下のメリットもあるので確認しておきましょう。

  • 未経験でもできる
  • 一人で黙々と作業できる
  • 残業が少ない

未経験でもできる

工場検査は、経験や資格がなくてもできる仕事のため、誰でも働きはじめやすい職種の一つです。マニュアルがあり、決められた手順で検査を行うため、基本的な作業であれば数日〜2週間程度の研修で覚えることが可能です。

毎日新しいことを覚えなければならない仕事ではないため、一度覚えてしまえば、あとはルーティンワークをこなすだけになります。

一人で黙々と作業できる

グループになって作業することはほとんどないので、一人で黙々と作業したい人にはおすすめの職種です。もちろん最初から一人ではなく、慣れるまでは先輩やリーダーがわからないことを教えてくれるので安心です。

仕事を覚えたら、振り分けられた作業を黙々とこなしていきましょう。ただし、ラインのリーダーや品質管理など責任のある立場になると、他部署の人とも連携をとることが増えるので、一人で作業できることは減るでしょう。

残業が少ない

工場によって異なりますが、多くの場合で工場検査の仕事は、よほどの人手不足や繫忙期を除けばほぼ残業がありません。特に交替勤務の場合は、しっかりと勤務時間が分けられるため、決められた時間に帰ることが可能です。

プライベートの時間も大切にしたい人にとっては、残業の少なさは大きなメリットといえるでしょう。

検査の仕事に向いている人

検査の仕事は、向いていない人が従事するときついと感じることが多くなるかもしれません。工場検査は以下のような特徴を持つ人に適しているといえます。

  • 単純作業が好き
  • 責任感がある
  • 違和感に気付きやすい

単純作業が好き

工場検査は、決められたことを繰り返すルーティンワークが得意な人に向いている仕事です。毎日行う検査はマニュアルに沿って進めるため、基本的に変化の少ない単純作業になります。

手順が多い複雑な作業や、臨機応変な対応が苦手な人にも適しています。反対に、同じ作業を繰り返すのが苦手で飽きやすい人は、退屈に感じてしまうかもしれません。

責任感がある

検査で問題を発見したのにも関わらず「このくらいなら大丈夫」「面倒くさいから黙っていよう」といった判断をしてしまうと、最終的に大きなトラブルになる可能性があります。不良品の流通を未然に防げるよう、きちんと責任を持って仕事に取り組める人が検査の仕事に向いています。

真面目で正直な性格の人は、ぜひ検査職に応募してみてください。

違和感に気付きやすい

検査では、違和感や小さな変化に気付くことができなければ、不良や異物を見落としてしまうかもしれません。日頃から違和感に気付きやすく、細かいことが気になる人は検査の仕事に適しているといえます。

日常生活ではネガティブな印象を持たれやすい細かさも、工場検査員としては強みになるので、仕事に自身の特性を活かせるでしょう。

検査の仕事に必要な資格

検査の仕事に従事する際は、資格を持っていなくても問題ありません。ただし、以下のような資格を持っていると任される仕事の幅も広がり、キャリアアップに役立ちます。

  • 機械検査技能士:測定器を使った検査ができる
  • 官能評価士:人間の五感で品質を測定する
  • 品質管理検定(QC検定):品質管理の知識を高める

上記の資格の中でも「機械検査技能士」は国家資格であり、製品の検査だけでなく機械のメンテナンスなども行うスペシャリストとして活躍できます。2級以上の受験になると、実務経験や実技が問われ難易度も上がりますが、安定した技術を習得し、キャリアアップを図りたい人にはおすすめの資格です。

官能評価士と品質管理検定は民間資格ですが、検査に必要な知識を持っていると証明できるため、就職や転職の際にも役に立つでしょう。

自分に合った検査の仕事を探そう

検査の仕事内容は業種によって異なりますが、どの工場にとっても不良品の販売を避けるために重要な仕事です。大きく製造工程での検査と製品の検査に分けられ、製品が基準通りに造られているか、製品に問題がないかを決められた手順に従って検査します。

長時間の集中が必要になり、基本的に同じ作業の繰り返しなので、向いていない人は仕事がきついと感じるでしょう。責任感があって単純作業をコツコツこなせる人は検査職に向いているので、ぜひ自分に合った検査の仕事を探してみましょう。