工場で働く方の中には、寮に入って住み込みで勤務している方も多くいます。住み込みで勤務すると生活費を節約できる一方で、厳しい、きついといった意見が散見されるのも事実です。

今回のコラムでは、工場での住み込み勤務がきついと言われる要因を詳しく解説していきます。寮で生活しながら仕事をするメリットやデメリットも紹介しますので、工場での住み込み勤務を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

工場で住み込みできる寮の種類

工場で働く方が生活するために用意される寮は、一人暮らしを想定したワンルームがほとんどであり、大きく自社寮と借り上げ寮の2つに分類できます

自社寮とは、土地と建物を会社が所有している寮のことです。寮費や初期費用が低めに設定される傾向にある一方で、場合によっては以下のように生活する上でのストレス要因が多いケースもあります。

  • 築年数が古い
  • メンテナンスが行き届いていない
  • 厳しいルールが設けられている

企業の名義で借りている戸建てや賃貸マンションを労働者に貸し出す借り上げ寮では、設備が整っている傾向にあり、高い自由度で生活できます。ただし、自社寮に比べると家賃が高いことが多いです。

工場での住み込み勤務をきついと感じる理由

工場での住み込み勤務がきついと言われる要因として、以下の5点が挙げられます。

  • 住む場所の条件を選べない
  • 仕事とプライベートを区別しづらい
  • そもそも工場勤務がきつい
  • 寮のルールが厳しい場合がある
  • 他の住民の生活音が気になる

住む場所の条件を選べない

工場に住み込みで働く方は、企業が準備してくれた寮に入居します。望んでいる条件が整った部屋に入居できるかどうかは企業側に委ねられているため、必ずしも自分が望む条件を満たす環境で生活できるとは限りません。

  • 個室で入浴したいのに大浴場しか利用できない
  • スーパーが近くにない
  • 6畳以上の部屋に住みたいのに5畳の部屋しか入居できない
  • 一人暮らしがしたいのに相部屋にしか入居できない

このように条件が一致せず、日々の暮らしにストレスを感じてしまう方も少なくないようです。寮の条件を勤務先に確認しておくと、入居前に心の準備をしておけるでしょう。

仕事とプライベートを区別しづらい

職場のそばに位置する寮で生活していると、頭の中で仕事とプライベートを切り替えることが難しく感じる方もいるでしょう。

場合によっては、普段一緒に仕事をしている同僚と生活を共にしなければならないケースも考えられます。気を遣う上司や苦手な同僚と日々生活するとなると、人間関係の面で大きなストレスを感じてしまう方も多いようです。

さらに、以下のようなイベントに出席しなければならないこともあります。

  • 新人歓迎会
  • 運動会
  • 防災訓練
  • ボランティア活動

このように、社員寮で生活すると仕事中の人間関係を日常生活に持ち込まなければならず、ストレスを感じやすくなります。

そもそも工場勤務がきつい

  • 長時間立ったまま仕事をしなければならない
  • 不衛生な環境で仕事をしなければならない
  • 夜勤・残業・休日出勤が多い
  • 単純作業が多い

業務内容にもよりますが、工場での勤務は上記のような理由から体力的な負担が大きいと言われています。普段の業務の大変さから寮生活全体をきついと感じてしまう方も多いです。

さらに、工場に近い寮に住んでいると、トラブル対応や人手不足解消のために突然出勤を要請されるケースもあります。

工場勤務は夜勤や早朝からの出勤も多く勤務時間が不規則な傾向にある上、突然業務に駆り出されてしまうと、十分な休息時間を確保することは難しいでしょう。

寮のルールが厳しい場合がある

  • 外泊の際は行先を届け出る
  • 異性を部屋に入れない
  • 共用スペースの掃除を交替で行う
  • 洗濯・食事・入浴の時間が決められている

会社が所有している自社寮では特に、門限や消灯時間の他に上記のような厳しいルールが設定されていることも多いです。生活が制限されることで、気が休まらないと感じる方も少なくありません。

また、寮で暮らす他の住民のモラルが低ければ、以下のように暮らしにくい環境が作られているかもしれません。

  • 浴場やトイレといった共同スペースが清潔に使われていない
  • 消灯時間を過ぎても大きな騒音が聞こえる

他の住民の生活音が気になる

多くの工場では交代制勤務を採用しているため、生活リズムの異なる住民と一緒に生活しなければならないケースがほとんどです。そのため、以下のようにストレスが溜まりやすい傾向にあります。

  • シフトが違う従業員の生活音が気になって眠れない
  • 寝ている従業員のために大きな音を立てないよう気を配らなければならない

工場に住み込みで勤務するメリット

大変な面も多い工場での住み込み勤務ですが、以下のようなメリットもあります。

  • 家賃と生活費が浮く
  • 家電や家具が完備されていることがある
  • スムーズに入居できる
  • 社員間のコミュニケーションが円滑になる

家賃と生活費が浮く

自社寮の場合は特に、普通に家を借りるよりも格安の家賃が設定されていることが多いです。中には、寮費を半額、あるいは全額負担してくれる会社もあります。

食事がついていたり、風呂やトイレを他の住民と共同で使用することができれば、光熱費や食費、水道代を大幅に削減できます。将来のライフプランを見据えて貯金をしたいと考えている方にとって、生活費を抑えられるのは嬉しいポイントだと言えます。

家電や家具が完備されていることがある

新たに一人暮らしを始める場合、物件を契約するだけでなく、生活する上で必要な家具や家電を揃えなければなりません。購入する商品の数や種類によって異なりますが、以下のような家具や家電を新しく用意しようと思うと、約20~30万円の出費を伴います。

  • 冷蔵庫・洗濯機
  • テレビ
  • 炊飯器・電子レンジ
  • エアコン
  • 照明
  • ベッド・カーテン
  • 掃除機

工場の寮に住み込みで働く場合、最低限の家電や家具が揃っていることが一般的であるため、新生活を始める際に必要な費用を大幅に削減できます

家具や家電を買いに店舗に出向いたり、大きな商品をいくつも住居に運び入れたりする手間を省くことができ、入居準備がぐっと楽になるでしょう。

スムーズに入居できる

  • 不動産屋を選定する
  • 立地を検討する
  • 条件の合う物件を探す
  • 内見に行く
  • 入居手続きを行う

新たに物件を契約しようと思うと、上記のような段階を踏まなければなりません。しかし、工場の寮に入る場合は、立地や条件について検討を重ねることは不要です。会社の担当者が必要な手続きのほとんどを行ってくれるため、スムーズに入居することができます。

社員間のコミュニケーションが円滑になる

仕事以外でも同僚との人間関係に配慮しなければならないことに、煩わしさを感じることもあるでしょう。しかし、寮生活において同僚と会話する機会が増えることは、ポジティブにも捉えられます。

以下のように交流を深めることで、同僚と良好な関係を築くチャンスを増やすことができます。

  • 一緒に出かける
  • サークル活動を楽しむ
  • プライベートの話をしてお互いを深く理解する

工場で住み込み勤務をする注意点

先述したように、一度住み込みで働く勤務先を決定してしまうと、住む場所を自分で選ぶことはできません

  • 築年数が古すぎる
  • 工場からの距離が遠すぎる

このような希望と大幅に異なる条件の寮生活を強いられれば、たとえ仕事に大きなやりがいを感じていても、長く続けることは難しいかもしれません。

就職活動の際に社員寮に足を運んで雰囲気を確かめたり、担当者に以下のような条件を事前に確認したりして、納得した上で住み込み勤務を始められると良いでしょう。

  • 食事の有無
  • 門限・消灯時間
  • 入居人数
  • 寮と職場の距離
  • 寮の間取り

寮生活における条件は数多くありますが、日々生活する上で譲れない条件を明確にしておけば、自分が本当に快適に住み続けることができるのかを判断しやすくなります。

条件をすり合わせてから住み込み勤務を始めよう

工場での住み込み勤務を長続きさせるためには、業務時間外のストレス要因をできる限り減らすことが大切です。入居手続きを行う前に寮生活についてしっかりと調査し、ここなら快適に住めそうだと納得した上で、住み込み勤務を始められると良いでしょう。

業務時間以外に社員間でコミュニケーションを取りやすいことは、住み込みで勤務するならではのメリットです。寮生活を通して同僚と積極的に関わることで良好な関係を築き、自分自身で働きやすい環境を作ってみるのもいいかもしれません。