工場への就職や転職を希望している方の多くが、志望動機をどうすれば良いか悩むと思います。特に異業種からの転職であれば、どのように志望動機を伝えれば採用の可能性が高くなるか気になるでしょう。

今回のコラムでは、工場への就職・転職を希望している方向けに、志望動機の書き方や伝え方のコツを例文付きで解説します。就職・転職活動の際にぜひ役立ててください。

工場勤務は職種も仕事内容も多種多様

工場勤務と一言で言っても、その働き方や業種・職種は多種多様です。まずは自分の中で、どのような働き方で、どのような業種・職種で働きたいのかじっくり考えてみましょう。

工場勤務は他の業界とは異なる点がいくつもあります。勤務形態や仕事内容などは一般的には馴染みのないものが多く、目的や目標がないと辛く感じてしまうこともあるかもしれません。夜勤があっても大丈夫なのか、単純作業の繰り返しでも飽きないかなど自分が働いている姿をイメージしてみてください。

履歴書に志望動機を書く際のコツ

まずは履歴書に志望動機を書く際のコツを3つ紹介します。

  • 応募先の企業についてよく調べる
  • エピソードを交えて自身の長所を伝える
  • 入社後どのように活躍できるか伝える

応募先の企業についてよく調べる

どんな志望動機であれ、応募先企業についてはよく調べておきましょう。求人に掲載されている情報だけで応募することはおすすめしません。

採用担当者は、志望動機が強ければ強いほど良い印象を受けます。どの企業に対しても言えるようなことではなく、その企業だからこその動機を伝えることが重要です。

企業のホームページをインターネットで検索し、会社情報や企業理念、採用情報のページは必須でチェックしましょう。特に企業理念のページには、その企業のこだわりが詰まっており、会社のビジョンや社長メッセージなどが書かれているケースがあります。企業理念や社長メッセージなどについて言及すれば、しっかり調べたうえで応募してきているということを証明できるため、より良い印象を与えることができるかもしれません。

エピソードを交えて自身の長所を伝える

志望動機の欄では自身の長所をアピールすることで、採用担当者に対し自分がどのような人間であるかを伝えましょう。企業が求める人物像とマッチしていれば、書類選考通過の可能性が高まるかもしれません。

自身の長所をアピールする際は、エピソードも一緒に記載することで信憑性が高まります。これまでの経験から、自身の長所をよく表しているエピソードを簡潔に記載することをおすすめします。

入社後どのように活躍できるか伝える

志望動機の最後の文章では、自身が入社後にどのように活躍できると考えているか記載すると良いです。企業の特性や自身の長所を踏まえたうえで、入社後の意気込みを伝えることで採用担当者に自分の働いている姿を想像させることができるかもしれません。

また、自分がその会社で一生懸命働く意思があるというアピールにも繋がります。文章全体も綺麗に締まるため、簡単にでも良いので入社後のことについても触れておきましょう。

面接で志望動機を伝える際のコツ

書類選考が通れば、いよいよ面接です。面接の際に志望動機を伝えるコツは、基本的には履歴書に記載する場合と同じです。しかし、面接ならではのコツもあるのでご紹介します。

  • エピソードをより深掘る
  • 自分の言葉で伝える

エピソードをより深掘る

自身の長所を伝える際は、具体的なエピソードを交えて伝えることが大切であることはおわかりいただけたと思います。しかし、履歴書の志望動機の記入欄はスペースが決まっており、全てを詳細に書くことはできません。

自身のエピソードを深掘りして具体的に話すことで、より詳細に自身の長所や経験を伝えることができアピールに繋がるでしょう。話が肥大しすぎないように、要点を押さえつつ当時の心情を交えながら伝えると、印象に残りやすくなります。

自分の言葉で伝える

面接では、拙くても自分の言葉で伝えることが大切です。面接官は、どんな内容の回答をするか以上に、その人がどんな人物であるかという点に着目しています。

インターネットで調べれば模範解答のような解答例はたくさん出てきますが、それらをそのまま話していてもあなたの人柄を上手に伝えることができません。インターネットの情報を参考にするのは良いですが、そのまま回答にしてしまうのは好ましくないでしょう。

工場の志望動機として相応しくないNG例

たとえ本心であっても、志望動機として履歴書や面接で伝えるのに相応しくないものがあります。

  • 条件面が主な志望動機になっている
  • 意欲が無さそうに感じる
  • テンプレート化されている

条件面が主な志望動機になっている

工場は他の職業と比べて、勤務時間が長い分収入が多くなる傾向があります。寮や食堂を完備していることもあり、条件面で恵まれている職場が多いです。待遇が良いことは工場勤務の魅力でもありますが、それを履歴書や面接で志望動機として伝えるのは相応しくありません。

「職場が家に近くて通いやすいから」という理由もNGです。条件面には触れず、あくまで面接官に良い印象を与えられるような理由を伝えるのが好ましいです。

意欲が無さそうに感じる

工場のライン作業は、単純作業の繰り返しになる場合が多いです。複雑で難しい仕事を覚えられる自信がなく、簡単に覚えられる仕事をしたいと思っていても、そのまま伝えることはNGです。

もしライン作業が単純で簡単そうと思っていても、それをストレートに伝えてはいけません。「集中力があり同じ作業の繰り返しでも一つひとつ丁寧に作業ができる」というように、自身の長所を活かせるようなアピールをすると良いでしょう。

テンプレート化されている

就職活動や転職活動をしていると、複数の企業に応募するでしょう。履歴書は応募先企業毎に作成する必要があるため、志望動機を企業ごとに使い回す、いわゆる「テンプレート化」している人もいます。

しかし、テンプレート化された志望動機は個性がなく、どの企業でも同じことが言えるような内容ばかりになるでしょう。書類選考を担当する人に使いまわしていることが伝わり、あまり意欲が感じられないという印象を受けるかもしれません。企業毎にしっかり志望動機を考え、履歴書に記入するようにしましょう。

工場の系統別志望動機の例

機械オペレーターの手元の画像

それでは、工場の系統別に具体的な志望動機のポイントや例文を紹介します。

自動車系工場の志望動機

自動車を製造している会社、及び自動車部品メーカーや周辺機器メーカーを想定します。ご存知の通り、日本は世界の自動車業界でもトップクラスの技術力と生産台数を誇り、日本を代表する産業の1つです。

技術の進歩と市場ニーズの変化から、自動車の所持に対する価値観や在り方が変化している時代ですが、やはり私たちの生活には自動車が欠かせません。自動車製造に携わることは、日本の技術力を継承し、世界中の人々の役に立てるとてもやりがいのある仕事です。

自動車系工場への志望動機は、なぜその分野・部品に興味を持ったのかなどを交えながら伝えると良いでしょう。以下は実際の例文です。

「私は、貴社が製造するソナーセンサーに強い関心があります。自動車は我々が生活する上で欠かすことのできない存在である一方で、事故により人の命を奪ってしまう可能性があることも事実です。しかし、安全技術の発達により自動車事故が減少しており、その中でも特に、追突事故が大幅に減少していることを知りました。貴社が製造しているソナーセンサーは、大手自動車メーカーの自動車に組み込まれていることから、日本だけでなく世界中の多くの人々の安全を担っており、とても重要な部品です。私は子どもの頃に、自動車の追突事故を目撃しており、いつか事故のない社会の実現に貢献したいと強く考えていました。貴社に入社した際は、自分の長所である責任感と几帳面な性格を活かし、製品の検査工程で品質管理の仕事に携わりたいと考えております。」

飲食料品工場の志望動機

飲食料品工場では、お客様が口にする飲料や食品を製造・加工するため徹底的な衛生管理が求められます。飲料や食品はとても身近なものであり、その企業の商品が好きで携わりたいと考える人もいるでしょう。

飲食料品の工場では、手作業による仕事と機械を操作・管理する作業の2つに分かれます。どんな職種や工程に携わりたいか明確にしましょう。ただ「調理が好き」などの理由ではなく、なぜその企業の食品・飲料品に携わりたいのかを伝えることも重要です。

以下が実際の例文です。

「私は、貴社の工場見学をさせていただいた際に、貴社が掲げる美味しさへのこだわりと徹底した品質管理意識の高さに感銘を受けました。私の両親は共働きで、お弁当にはいつも貴社の冷凍食品が詰められていました。そんなお弁当が私は大好きで、いつもお弁当の時間を楽しみにしていたことをよく覚えています。そのような経験から、貴社の一員として製造に携わり、安心で安全な食品をお客様に提供することで、食の素晴らしさを伝え、幸せにすることに貢献したいと考えております。私は小さなころから母の料理の手伝いをしていたため、衛生管理の意識が高く料理が得意です。貴社に入社しましたら、それらの長所を活かし、調理工程で貢献したいと考えております。」

衣料系工場の志望動機

衣料系工場では、デザイナーが設計した服や服飾雑貨を製造する業務に携わります。アパレル関係には様々な職種があり、多くの方々は販売員やデザイナーなどに憧れ、アパレル業界で働きたいと考えるでしょう。そのため、どのようなきっかけや理由があって製造工程に興味を持ったかを明確に伝えることが大切です。

また、アパレル業界はブランド毎に異なった特徴があります。なぜそのブランドの製品に携わりたいと考えたかも言及することで、より熱意や関心が伝わりやすいでしょう。

実際の例文は以下のようになります。

「私は、中学生まであまりファッションにこだわりがなく、両親が買ってくれた服を着ているだけでした。しかし、高校生になってから自分でアルバイトをしてオシャレな服を買ったとき、ファッションの楽しさを実感し、感動しました。それから私はアパレル業界で働きたいと考え、貴社の販売員としてアルバイトを経験しました。私自身、貴社が販売している商品が大好きで、お客様の喜ぶ顔を見ることが大きなやりがいでした。私は貴社の製品のデザインはもちろんですが、品質の高さに感銘を受けております。次第に私は貴社の製品の製造工程に興味を持つようになり、貴社の素晴らしい商品をお客様に長く愛用していただきたいという想いが強くなってきたため、製造工程で貴社に貢献したいと考えるようになり、この度志望しました。貴社に入社しましたら、妥協しない責任感と貴社への愛社精神で、高い品質の製品をお客様に届けられるよう、生産管理の業務に従事したいと考えております。」

上手に志望動機を伝えて工場勤務への転職を叶えよう

工場勤務の志望動機に大切なポイントと、系統別に志望動機を紹介しました。どのような動機であれ、採用する側の気持ちになって上手に伝えることが大切です。正直に自分の気持ちを伝えるあまり、採用担当者の心象を悪くしてしまわないように表現を工夫するように心がけましょう。

そして、誰かが作った文章を覚えるのではなく、今回紹介したポイントや例文を参考に、自身の言葉で伝えることが重要です。志望動機を上手に伝えて、採用される可能性を高めましょう。