世の中には様々な仕事があります。日本はモノづくりにおいて常に世界をリードし続け、経済の発展を支えてきました。そのような背景から日本には多くの工場があり、工場で働いてみたいと考える人も多いでしょう。

しかし、工場勤務と言えばきつい仕事が多いというイメージがある人も多いのではないでしょうか?これから工場で働きたいと感じている人は、自分が工場勤務に向いているのか気になりますよね。

そこで今回は、工場で勤務することの魅力や工場勤務が向いている人・向いていない人の特徴などをご紹介します。

工場勤務の魅力

工場で働くことには様々な魅力があります。まずは工場勤務の魅力をご紹介します。

  • 学歴や経験に自信がなくても挑戦しやすい
  • 居住費や食費の補助が受けられる可能性がある
  • 高収入を得やすい

学歴や経験に自信がなくても挑戦しやすい

日本は未だに学歴社会と言われており、良い高校や良い大学を出ていなければ良い会社に就職できないというイメージがあります。実際、求人の募集要項で「大学卒以上」などの学歴で絞っている企業も多くあり、優れた人材であっても書類選考で落とされてしまうこともあります。

しかし、多くの工場では学歴や経験をあまり重視していません。仕事をするうえで、それほど優れた学歴や経験がなくても、入社後に優れた人材となる可能性があるからです。

多くの製造現場では、標準的な作業は手順書やマニュアルによって整備されています。まずはマニュアル通りの作業ができれば、問題なく仕事をこなすことができます。

経験を積んで、全体の工程や上流の仕事についても理解が深まっていけば、例え学歴や経験がなくても優秀な人材として活躍できるようになるでしょう。

居住費や食費の補助が受けられる可能性がある

業種にもよりますが、多くの人材を必要とする工場では寮や社宅を備えている場合があります。寮や社宅があれば、遠く離れた地方からも就職しやすく、人材を確保できるからです。

寮や社宅に入居すれば、相場よりも安く住居を確保できるため、家賃や引っ越し費用を節約することができます。大手企業のなかには、期間従業員の方は寮費を無料にしているところも。毎月固定でかかる住居費が節約できるのはとても魅力的ですよね。

また、工場では食堂でご飯を食べることができることも多いです。通常の外食や、コンビニで売っているお弁当よりも安く食べられる場合もあるので、こちらも節約に繋がります。福利厚生で食堂の利用料を割引してくれるような企業もあるため、食費をあまり気にせずお腹いっぱいご飯を食べられるでしょう。

高収入を目指しやすい

業種や職種によって異なりますが、一般的に工場勤務の方の給料は日本人の平均給与よりも高い傾向にあります。厚生労働省の「2022年国民生活基礎調査」の報告によると、日本人の平均給与は「443万円」なのに対し、製造業は「462万円」という結果が出ています。

工場では、以下のような理由から平均給与が高いと言われています。

  • 残業や休日出勤による手当
  • 深夜勤務による手当
  • 特殊業務による手当
  • 役職への手当

通常の会社員とは勤務形態や仕事内容が特殊なため、様々な手当がつく場合が多いです。手当は、一律で決まっているものもあれば、基本給の支給額によって変動するものもあります。勤続年数が長くなればなるほど給与も増えやすいのも、工場勤務の特徴です。

人材の多い工場では、必然的に管理職の人も多く必要になるため、役職にも就きやすくさらに手当がもらえるでしょう。

工場勤務に向いている人の特徴

それではここから工場勤務に向いている人の特徴をご紹介します。以下のような性格や特徴を持っている方は、工場勤務に向いているといえるでしょう。

  • 1つのことに集中して取り組める
  • 体力と忍耐力に自信がある
  • 決められたルールをきっちり守れる
  • 協調性とコミュニケーション能力がある
  • 改善意欲があり創意工夫できる

1つのことに集中して取り組める

工場では、一般的に1人で同じ作業を黙々とこなす業務を任されることが多いです。特に最初の頃は、難易度の低い業務から任されることが多いため、1つのことに集中して取り組む必要があります。

たまにイレギュラーが発生することはあっても、基本的には勤務中は同じ作業を繰り返し行うことになります。そのような仕事内容でも飽きずに集中できる方は、工場勤務に向いているでしょう。

体力と忍耐力に自信がある

多くの工場では立ち仕事がメインなので、勤務時間中はずっと立ちっぱなしということも珍しくありません。そのため、慣れるまでは身体に負担がかかり疲れやすいでしょう。その他にも、仕事内容によっては重い部品や製品を運搬したり、持ち上げたりすることもあります。

体力に自信があり、身体が疲れるような仕事でもやり通せる気持ちがある人は工場勤務が向いているといえます。また、きついなと感じてもすぐに音をあげず、もう少し頑張ってみようと思える忍耐力がある人も向いているでしょう。

どのようなタイミングかは人それぞれですが、「辞めたい」と思うタイミングはいずれ訪れます。決して無理して続ける必要はありませんが、苦しい時でもグッと堪えて続けられる人は、工場で長く活躍し続けられるかもしれません。

決められたルールをきっちり守れる

工場では、一般的な会社以上に様々なルールや規則が定められていることが多いです。これは従業員の安全を第一に守るため、災害を絶対に起こさないように定められています。会社全体に定めている規則もあれば、職場単位や職種単位で定められている規則もあります。

これらの規則をきっちり守ることができなければ、災害を発生させてしまう恐れがあるので、規則を守ることができない人は工場勤務に向いているとはいえません

さらに、標準作業も手順書やマニュアルで決まっているため、それらの通りにきちんと作業をこなすことが大切です。手順書通りに作業を進められないと前後工程に迷惑をかけてしまったり、品質不良の製品を発生させてしまう恐れがあります。

様々な観点から、工場では決められたルールをきっちり守る必要があるため、工場勤務にはルールを守れる人が向いています。

改善意欲があり創意工夫できる

先述した通り、工場の仕事では手順書やマニュアルで作業の仕方が決められています。しかし、それは現状でベストなだけであり、改善の余地がないわけではありません。より効率的に進められる方法がある可能性があります。

工場の利益を拡大するためには生産性を向上させることが大切であり、生産性を向上させるためには常に改善を続けて効率化していく必要があります。今あるものが当たり前と思わず、改善意欲があり提案できるような人は、工場で貴重な人材として活躍できるでしょう。

工場勤務に向いていない人の特徴

工場勤務に向いている人がいるように、向いていない人もいます。基本的には向いている人の特徴と反対の特徴を持っている人といえますが、別の観点から紹介します。

飛躍的なキャリアアップを望む人

工場勤務では、良くも悪くもキャリアプランが大まかに決まっている場合が多いです。「勤続〇〇年でチームリーダー」といったように、これまで働いてきた人たちをもとに、モデルとなるキャリアプランが示されています。

工場勤務の仕事内容はマニュアル化されていることが多いため、個人の能力による差別化が難しいです。そのため、早く仕事で成果を上げて飛躍的に昇進したいという方には、適している環境とはいえません。

健康状態に不安がある人

工場勤務では健康上の問題を抱えていると働けない可能性が高いです。他の仕事とは違い、化学製品を扱ったり、災害の可能性がある環境で働くため、健康上の問題を抱えていると予期せぬ事故や災害に巻き込まれてしまう可能性があるからです。

定期的な健康診断で社員の健康状態は会社側もある程度把握していますが、体型の変化などで就業制限が設けられる場合もあります。製造業の工場であれば、皮膚が弱くアトピーなどを発症してしまうような人は、そもそも働ける場所が限られてしまうでしょう。

工場勤務で早く昇進・昇給するコツ

工場勤務ではメインの業務に真面目に取り組んでいても、それだけでは早く昇進・昇給することは難しいです。しかし、次のようなコツを押さえておけば、同僚や先輩よりも早く昇進・昇給を叶えることができるかもしれません。

  • 専門的な資格を取得する
  • 改善提案をする
  • 本来業務以外にも積極的に取り組む

専門的な資格を取得する

工場では専門的な資格を持っていなければ任せられない仕事内容がたくさんあります。資格を取得することによって、自身のスキルを向上させたり業務範囲を拡大させたりとキャリアアップに大きな影響を与えてくれます。

実用的で専門性の高い資格を取得することができれば、替えのきかない貴重な人材として様々な場面で活躍できるでしょう。他の従業員とは違った自身のポジションを確立することによって、上司から良い評価を受けるようになり、昇進や昇給に繋がるかもしれません。

改善提案をする

「改善に終わりはない」という言葉を聞いたことはないでしょうか。高い生産性を誇るトヨタ自動車では、従業員が自ら改善に取り組む社風があり、生産性を高め続けています。

これはどの工場においても同じで、常に改善の余地があるのでたゆまぬ改善活動が大切です。ただ日々の業務をこなすだけでなく、「もっとよくできないか」という視点を持って改善案を提案することで、上司にも評価されやすくなるでしょう。

自分が提案した改善案が採用され、生産性向上に繋がれば原価低減や生産数増加など大きな効果を生み出し、さらに評価を高めてくれるでしょう。

本来業務以外にも積極的に取り組む

本来の業務内容以外にも、社内イベントや労働組合活動などに積極的に取り組むことによって、昇進や昇格を早めることができるかもしれません。もちろん、本来業務にしっかり取り組んでいることが前提ですが、他の従業員との差別化を図るための1つの手段となります。

他の人があまりやりたがらないようなことにも積極的に取り組むことで、上司や同僚から信頼され頼られるような存在になるでしょう。そのようなイメージが浸透すれば、組織のリーダーを任せてもらえやすくなり、早く昇進できる可能性が高まります。

工場勤務の注意点

工場で働くことは魅力もありますが、他の業種とは違った注意点もあります。

  • 他の業種より災害のリスクが高い
  • 変則的な勤務になる可能性がある
  • 休日出勤をする可能性がある

他の業種より災害のリスクが高い

工場では様々な災害のリスクがあります。自分が気を付けていたとしても何らかの事故に巻き込まれることがあるかもしれません。

安全に働くためにルールや規則が定められていますが、なぜそのようなルールや規則が設けられているのか理解することが大切です。そして、それらを確実に守り災害を起こさないように安全第一に努めましょう。

変則的な勤務になる可能性がある

工場の勤務形態は、業種や仕事内容によって様々です。一般的な日中の勤務形態だけの部署もあれば、夜勤や日勤をシフトで交互に織り交ぜられていることもあります。

夜勤は慣れた人にとってもきつく感じることもあり、勤務形態がバラバラだと生活リズムが崩れて体調が優れないこともあるでしょう。そのような環境にも適応する必要があるため、しっかり自己管理をすることが大切です。

休日出勤をする可能性がある

生産が予定よりも遅くなってしまった場合、休日出勤を要請されることがあります。休日出勤のあとに、どこかのタイミングで振替休日を取れる場合もありますが、多くの場合はそのまま休日が減るだけでしょう。

休日に予定を入れられなかったり、充分な休息ができず疲れが溜まってしまうことで、ストレスを感じるかもしれません。プライベートの時間は削りたくないという人は、自身の職場で休日出勤が発生する可能性があるか、事前に確認しておきましょう。

自身の特性を理解して工場に務めよう

工場勤務に向いている人の特徴を紹介してきました。工場勤務には様々な魅力があり、向いている人は居心地よく仕事を続けられるでしょう。

工場勤務と一言に言っても様々な業種や仕事内容があります。自身の特性をよく理解したうえで、どのような場所で働きどのような活躍をしたいか考えることで、天職といえる仕事に出会えるかもしれません。