工場の夜勤で大変なことといえば、やはり作業中に眠くなってしまうことです。眠くなると集中力がなくなるので、思いもよらないミスや、重大なケガにつながりかねません。

夜勤中には眠気をコントロールし、作業でトラブルが起こらないように気をつけましょう。

この記事では、夜勤中に眠くなってしまったときにできる眠気覚ましの方法を解説しています。夜勤に備えた家での過ごし方にも触れているので、合わせてご覧ください。

工場の夜勤で眠くなるのは仕方ない

人間の体は、夜体温が上がる仕組みになっており、上がった熱が下がるタイミングで眠くなるようにできています。また、人の眠りに欠かせない脳内ホルモン「メラトニン」は、日光が減る夕方から分泌量が増え、夜に向けて人体を眠りにつきやすい状態にしていきます。

そのため、夜間に眠くなるのはごく自然なことで、工場の夜勤中に眠くなってしまうのも仕方のないことといえるでしょう。

とはいえ、夜勤の最中に眠気によってボーっとしてしまい、ミスやケガにつながっては大変です。夜勤中は、できるかぎり眠気対策を行ってトラブルを防ぐ必要があります。

工場夜勤で活用できる眠気覚ましの方法10選

工場の夜勤中は、休憩中や業務の合間にできる簡単な眠気覚ましが役に立ちます。以下、おすすめの眠気覚まし方法を紹介します。それぞれ適切に活用して、眠い夜勤を乗り切りましょう。

休憩中の仮眠

夜勤中は、たとえ10分程度でも休憩中に仮眠をとることで疲労感が軽減し、スッキリします。熟睡状態から急に目覚めるとかえってボーっとしてしまうので、長くても20分程度を目安に仮眠をとるとよいでしょう。

仮眠スペースが完備されていない場合は、楽な体勢でアイマスクをし、目を閉じるだけでも眼精疲労が和らぎます。

ガム

ミントやカフェイン入り、レモン味、発泡パウダー入りなど、刺激の強いガムも眠気覚ましに効果があるので活用しましょう。

眠気覚まし効果はガムの成分によるものだけでなく、噛むことによってドーパミン、ノルアドレナリンなどの脳内物質が放出され脳が活性化するためと考えられます。

ストレッチ

副交感神経が優位になると眠くなるので、体を動かし、刺激を与えて交感神経を優位にしましょう。軽く背伸びやスクワットをするだけでも効果があります。

また、第二の心臓といわれる「ふくらはぎ」の筋肉を動かすことでも血流が良くなり、眠気の改善につながります。休憩中にかぎらず、作業中の合間にもつま先立ちを数回繰り返すとよいでしょう。

カフェイン摂取

コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインには、鎮痛作用、疲労回復効果があるほか、眠気のもとになる脳内物質を抑える効果があります。

ただし、カフェインを短時間に過剰摂取すると急性中毒になる可能性があり、めまいや吐き気といった症状が出ることもあるため、摂取量には十分注意してください。1日のカフェイン最大摂取量は、健康な人でおよそ400mgとされており、コーヒーならカップ3杯弱(700ml)程度が目安になります。

参考:厚生労働省|食品の安全に関するQ&A

目薬

スーっとする刺激を感じられる、メントール入りの目薬も眠気覚ましに効果があります。また、目が疲れる作業が多い人には、疲労回復効果のあるビタミンやタウリンが配合されている目薬もおすすめです。

ただし、ドライアイやコンタクトレンズ使用など、目の状態によっては合わないものもあるため、自分の目に合ったタイプの目薬を選んでください。

洗顔

冷たい水で顔を洗うと、刺激で血液が脳や顔に集まり、血流が良くなることで頭がスッキリする効果があります。また、メントール入りの洗顔シートで顔を拭くのもおすすめですが、刺激が強いものが多いので、肌が弱い人には不向きかもしれません。

マッサージ

休憩中や作業中に軽くマッサージを行うのもおすすめです。以下のようなツボを意識してマッサージしてみましょう。

  • 晴明(せいめい):目頭の上のくぼみにあるツボで目の疲れに効く
  • 風池(ふうち):首のうしろ(うなじのあたり)にあり、頭がスッキリする
  • 労宮(ろうきゅう):手のひらの中心にあり、上半身の血流を良くする

このほか、さまざまなツボが集まる耳を軽く引っ張るマッサージも効果があるので、試してみてください。ツボを刺激するときは、痛みを感じない程度に優しくマッサージします。

体を冷やす

人の体は、上がった体温が下がるタイミングで眠くなっていきます。そのため体温が上がらないよう、こまめに体を冷やすのが効果的です。

冷たいタオルや冷却スプレーなどで首や脇の下を冷やしますが、体を冷やしすぎると体温が下がって余計眠くなってしまうので、適度に行うことが大切です。

食べ物で眠気覚まし

休憩中に食べるものも、以下のような眠気覚ましに効果のある食材を選ぶとよいでしょう。

  • 梅干し:クエン酸が含まれており疲労回復効果が期待できる
  • ハイカカオのチョコレート:カフェインが含まれている
  • ナッツ:よく噛むことで脳を活性化させる

休憩中に炭水化物をたくさん食べると、血糖値の上昇によって眠くなってしまうので、休憩中の食事には気をつけましょう。

歯磨き

歯磨きで歯茎が刺激されると、脳内の「メラトニン」の分泌が抑えられるといわれています。また、ミントの刺激が強めの歯磨き粉を使えば、口の中がスッキリして目が冷めるでしょう。

食後の歯磨きとは目的が異なるので、1分程度の短い時間で、歯茎を優しくマッサージするように行ってください。

家での過ごし方も重要

夜勤で眠くならないためには、普段、家での過ごし方も重要になります。睡眠の質や入浴など、夜勤に影響がでないように工夫しましょう。

普段の睡眠の質を上げる

夜勤のときは昼間眠ることになるので、寝室の睡眠環境を整え、睡眠の質を上げることが大切です。遮光や防音効果のあるカーテンで刺激を軽減するほか、寝室を快適な室温に調整するといった工夫も効果的です。

入眠前にはスマホやテレビなどの刺激を避け、リラックスできるように心がけましょう。

入浴時間に気をつける

熱いお風呂に入ると、交感神経が優位になり目が覚めてしまうので、睡眠前はぬるめのお風呂に浸かって、副交感神経を優位にしましょう。お風呂に入るタイミングは、就寝予定時間からおよそ1〜2時間前を目安にするのがおすすめですが、個人差があるため自分に合ったタイミングを見つけることが大切です。

「照明を暗くする」「入浴剤を活用する」といった工夫で、リラックス効果を上げるのもよいでしょう。

生活リズムを崩さない

交替勤務で夜勤があると生活リズムが崩れがちになりますが、なるべく規則正しい生活になるよう心がけましょう。夜勤明けの睡眠は、仮眠または3時間程度に留めるなど、夜しっかり眠れるように工夫してみましょう。

休日は寝だめをするという人もいるでしょうが、なるべく普段通りに起き、日光を浴びて体内時計を乱さないことが大切です。

夜勤専従という働き方もある

定期的にシフトが変わり、日勤と夜勤のどちらもこなさなくてはならない場合、どうしても生活リズムが崩れやすくなります。

「高収入を得たいものの生活リズムは崩したくない」という人は、夜勤専従という働き方を検討するのもよいでしょう。

夜勤専従には、以下のような人が向いています。

  • 普段から夜型の生活
  • 体調管理が得意
  • 日中の時間を自由に使いたい

工場夜勤は眠気を覚ましてケガやミスを防止しよう

夜勤中に眠くなるのは仕方のないことですが、眠気のせいでミスやケガをしてしまっては大変です。夜勤中に眠くなったときには、「仮眠」「ストレッチ」「ガムを噛む」など、眠気覚ましに効果のあるものを試してみましょう。

普段の生活でも、睡眠の質を高める、生活リズムを崩さないといった工夫が大切になります。生活スタイルが夜型で、交替勤務だとリズムが崩れるという人は、夜勤専従を検討してみるのもよいでしょう。