派遣で働くことを検討しているものの、「派遣は不安定」と聞いて心配になっていませんか。派遣社員が不安定といわれる理由はいくつかありますが、働き方によっては収入や雇用を安定させることも可能です。

このコラムでは、派遣が不安定といわれる理由を解説するとともに、派遣で働くメリット、仕事を安定させる方法を紹介していきます。ぜひ最後までご覧いただき、あなたに合った働き方を見つけてください。

派遣の仕事が不安定といわれる理由

派遣社員は、有期契約であることや、待遇の面から不安定といわれがちです。以下、それぞれ詳しく解説していきます。

同じ派遣先で3年以上働けない

労働者派遣法により、派遣社員が同じ職場で勤務できる期間は最長3年と定められています。正社員との格差を縮め、長期にわたる派遣労働の固定化を防ぐための制度ですが、派遣社員にとってデメリットになることも少なくありません。

同じ職場で3年働いたあとは、以下のような働き方を検討するのが一般的です。

  • 直接雇用に切り替える
  • 部署を移動する
  • 無期雇用へ変更する
  • 派遣先を変える

しかし、直接雇用に至るケースは多くないため、安定したキャリアを築きにくいという点が、不安定だといわれる理由の一つです。

昇進がない

派遣社員は派遣先で働くにあたって、特定の業務を期間限定で行うことが前提になっています。たとえ役職に就いたとしても、正社員のような責任を負うことは難しいでしょう。

派遣社員が役職に就くケースは稀で、基本的には契約時の業務範囲を超えた仕事を任されることもほぼありません。こうした理由から、キャリアアップの道が限られ、収入の増加や責任のあるポジションを目指しにくいのが現状です。

専門的なスキルがあれば、時給アップの交渉ができる場合もありますが、それでも正社員の昇進制度とは大きく異なります

ボーナスが出ない

多くの派遣会社では、基本的にボーナス(賞与)の支給がありません。正社員は業績や評価に応じてボーナスが支給されますが、派遣社員は契約時に決めた給与のみが支払われます。

ただし、時給が高く設定されている場合は、ボーナス相当額や交通費、手当などが含まれているケースが一般的です。

近年では、「同一労働同一賃金」の観点から、派遣社員が賞与を受け取れる例も増えています。しかし、正社員に比べれば貢献度は低くなりがちなので、正社員と同額のボーナスは期待できないでしょう。

派遣切りにあう可能性がある

景気の悪化や企業の経営方針の変更により、派遣契約が突然打ち切られることは珍しくありません。とくに不景気の際には、企業がコスト削減を図り、派遣社員の契約更新を見送るケースが増えます。

正社員であれば解雇には一定の手続きが必要ですが、派遣社員には契約期間があるため、更新されなければそれで終了です。安定した収入を維持しにくく、突然の失業リスクが常に伴う点が大きな不安要素となります。

派遣会社によって時給が違う

同じ派遣先、業務内容であっても、派遣会社によって時給が異なることはよくあります。これには、次のような理由が挙げられます。

  • マージン(手数料)の違い
  • 派遣先と派遣会社の関係
  • 営業担当者の交渉力の違い

派遣先が支払う料金には、派遣社員の給与と派遣会社への手数料が含まれます。この手数料が高いほど、派遣社員に支払われる額は少なくなります。時給の交渉においては営業担当者の交渉力が問われるため、自分の力で時給を上げることが困難な点も不安定さにつながります

派遣で働くメリット

派遣社員は不安定といわれがちですが、メリットもたくさんあります。派遣で働く利点を含めて、働き方を検討しましょう。

ライフスタイルに合わせて仕事が選べる

派遣社員として働くことの大きなメリットは、自分のライフスタイルに合った働き方ができる点。正社員のように固定された就業時間や勤務地に縛られることなく、短期間や時短勤務、週数日の勤務など、自分の希望に合った案件を選びやすいのが特徴です。

家庭との両立が課題になっている人や、副業や趣味の時間を確保したい人にとって、柔軟な働き方ができるのは大きな魅力になります。

時給が高い

派遣社員の時給にはボーナスや交通費などが含まれているため、一般的にパートやアルバイトよりも高めに設定されています。専門的なスキルを持つ派遣社員は、とくに高時給案件を得やすくなるのが特徴です。

派遣先企業は即戦力の派遣社員を求めているため、語学やIT系の技術など、専門スキルがあると時給が高くなる可能性があります。そのため、短期間で効率的に稼ぎたい人にとって、派遣は魅力的な選択肢になるでしょう。

さまざまな会社で働ける

派遣社員として働けば、業界や職種を問わず、さまざまな企業で経験を積むことができます。異なる職場の雰囲気や業務スタイルを知ることができ、転職やキャリアアップを考える際にも役立ちます。

希望の業界や企業を試しながら自分に合った働き方を模索できるのも、派遣ならではのメリットです。

派遣会社のサポートが受けられる

派遣社員は、派遣会社から以下のようなサポートが受けられます。

  • 職場でのトラブル対応
  • 給与交渉
  • スキルアップ研修の提供 など

職場を変えたい場合にも、自ら企業を探して履歴書の提出や面接を繰り返す必要がなく、転職活動の手間を減らせるのも魅力の一つです。困ったときに相談できる環境が整っていることで、安心して働けるのがメリットです。

仕事を安定させる方法

派遣社員として働きながら仕事を安定させるためには、以下の方法が有効です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

直接雇用を依頼する

派遣社員として働いている企業に直接雇用を依頼することで、安定した仕事を得られる可能性があります。派遣会社を通し、契約更新のタイミングで「正社員や契約社員として働く意思がある」と伝えると、企業が前向きに検討してくれるかもしれません。

企業側が派遣社員の能力を評価し、戦力として長く働いてほしいと考えた場合には、直接雇用に切り替えるケースもあります。

紹介予定派遣を利用すれば、最初から直接雇用を前提に働くことができるため、安定性を重視する方は積極的に活用してみましょう

無期雇用契約を検討する

派遣社員の働き方には、「有期雇用契約」と「無期雇用契約」の2種類があります。一般的には有期契約で、3か月ごとに更新、といったように契約期間が決まっていますが、無期雇用契約を結べば期間の定めなく働くことが可能です。

無期雇用派遣の場合、契約が終了しても次の仕事が見つかるまで休業手当が受けられるため、生活が安定します。同じ職場で長く働けるため、キャリアを築きやすくなる点もメリットです。

正社員を目指す

派遣社員が正社員を目指す場合は、紹介予定派遣を選択するか、働きながら転職活動を行いましょう。

紹介予定派遣は、一定期間派遣社員として働いた後、派遣先と本人の合意があれば直接雇用に切り替える仕組みです。ただし、直接雇用=正社員とは限らない点と求人数が少ない点には注意する必要があります。

確実に正社員を目指すのであれば、派遣として働きながら転職活動を行うのが理想的です。派遣の仕事を通じて業界の知識やスキルを身につけ、それらを武器に正社員採用を目指しましょう

複数の派遣会社に登録する

仕事を安定させるためには、一つの派遣会社だけに頼らず、複数の派遣会社に登録するとよいでしょう。派遣会社によって取り扱う求人の種類や待遇が異なるため、選択肢を増やすことで、より条件の良い仕事を見つけやすくなります

現在の派遣契約が終了してしまった場合でも、他の派遣会社から新たな案件を紹介してもらうことで、ブランクを作らずに働き続けることも可能です。

派遣の仕事は必ずしも不安定ではない

派遣社員は契約期間に制限があったり、キャリアを築きにくかったりする点から不安定といわれがちです。しかし、派遣会社のサポートが受けられる、時給が高いといったメリットもある働き方です。

無期雇用契約や紹介予定派遣を選択することで、収入を安定させることも可能になります。複数の派遣会社に登録し、比較検討すれば、より条件の良い仕事を探せるでしょう。